庭や駐車場など雑草を生やしたくない場所には、防草シートが効果的です。1度敷いてしまえば定期的に除草作業をしなくて済むでしょう。防草シートのメリット・デメリットや張り方を紹介します。併せて道具の選び方や事前準備内容なども見ていきましょう。
防草シートの基礎知識
防草シートは雑草の性質を利用することで防草効果を得ています。ここでは防草シートのメリットやデメリットなど、基礎知識を紹介します。
防草シートとは?
防草シートとはその名のとおり、地面に敷くだけで雑草が生えるのを防ぐシートです。ほとんどの防草シートは遮光性が高いため、雑草が成長するのに不可欠な光合成をさせないのです。
通常雑草の成長を防ぐには、定期的に草を刈らねばなりません。しかも地面から根こそぎ抜かないとまたすぐに伸びてきてしまいます。除草剤をまく手段もありますが、完璧に根絶やしできないので度々作業する手間がかかるでしょう。
しかし防草シートは、1度敷いてしまえばこれらの手間が省ける便利なアイテムです。庭やウッドデッキの下など、雑草を生やしたくない場所にはよく敷かれます。
防草シートのメリット
防草シートのメリットは安く手軽に防草対策ができることです。1度敷くだけで長く効果が得られます。
例えば自宅の駐車場に雑草を生やしたくないのであれば、いっそのことコンクリートで固めてしまう手段があります。しかしこれだと高い費用がかかってしまうでしょう。
防草シートの場合、地面の上に敷くだけなので土地をそのまま活用できます。家庭菜園など再度土地を利用することも可能です。また雑草が成長しなければ、害虫や害獣などが住みつくのも防いでくれます。
さらに庭へ砂利をまきたい場合にも効果的です。そのまま砂利をまくと、歩くたびに砂利が地面に食い込んでしまいますが、防草シートの上にまけばそのようなことはありません。
防草シートのデメリット
防草シートは永久的に使用できるものではありません。商品によりますが4~10年ほど経てば劣化してしまい、いたるところから雑草が生えてきてしまいます。そうなれば敷き替えが必要です。
面積が広ければ1度敷いた防草シートをはがし再度敷き直すのは、かなりの負担がかかるでしょう。防草シートの上に砂利などを載せておけばなおさらです。
また一般的に防草シートを敷く前は土地をならすなど事前準備が必要ですが、これも手間がかかります。しっかり作業しなければ防草シートのつなぎ目から雑草が生えてくるでしょう。
防草シートを敷く前の準備
防草シートを敷く際は事前の準備が必要です。これを怠ると大きな防草効果が得られないなど、仕上がりに影響を及ぼしてしまいます。防草シートを敷く前の事前準備を紹介します。
必要な道具
必要な道具はほとんどホームセンターでそろえられるはずです。まず防草シートはなるべく水はけがよく耐久性の高いものを選択する方が好ましいでしょう。
次に防草シートを固定するピンです。シートがめくれてしまうのを防ぐピンには、くぎのようなものやU字形のものがあり、ほとんど鉄やプラスチックで作られています。
また防草シートのつなぎ目を貼り合わせる際に使用する、テープや接着剤も必要です。これは粘着力の高い防草シート専用のタイプを選びましょう。
他にもハサミやハンマーが必要ですが、これは一般的なもので大丈夫です。整地のために除草剤やレーキ・トンボも用意します。
除草と整地
防草シートを敷く際は、事前に除草しなければなりません。そのまま敷いてしまうと下の雑草がシートを傷つけたり、害虫の住みかになってしまったりする可能性が高くなります。除草は草を刈るのもよいですが、除草剤を散布すると効果的です。
また除草が済んだら土地を平らに整地します。地面がでこぼこのまま防草シートを張ると、歩くたびにシートが引っ張られ、ずれる可能性があるからです。
そして防草シートにくぼみができると、砂ぼこりがたまり雨水で泥になってしまいます。その泥に飛来した雑草の種が付着すると、そこから草が生えてしまうでしょう。
さらにシートを固定するピンもうまく打ち込めなくなる可能性があります。
防草シートの張り方
防草シートを張るためにはいくつかポイントがあります。ピンで固定したり粘着テープを貼ったりしますが、うまく施工しないとあらゆるすき間から雑草が生えてきてしまうでしょう。
防草シートの上手な張り方を紹介します。
仮置きとシートのカット
防草シートは敷いて固定する前に、仮設置して位置やサイズを確かめましょう。
複数枚使用する場合は、互いの端を10cmほど重ね合わせ、すき間なく埋めていくのがコツです。この重なりが短いと、雑草が生えてきたり風でめくれたりしてしまいます。
仮置きが完了したら、シートを地形に合わせてカットしていきます。シートの端は地面から10cmほど余裕をもって切断しましょう。
ぴったりに合わせてカットすると施工していくうちにすき間ができることがあるためです。
ピンで固定する
防草シートを敷いた後は、シートを上からピンで打ち抜きます。ハンマーを使用して、ピンの頭が浮かないよう最後まで打ち込むのがコツです。
ピンの頭が出ていると、使っているうちに抜けてシートがずれてしまうでしょう。
またピンは基本的にシートを取り囲むようにして約50cm間隔で打設していきます。シートのつなぎ目も、しっかりピンを打ち込みましょう。
さらに内側にもマス目状にピンを打ちますが、こちらは約100cm間隔で打ち込みます。
なお地盤が柔らかい場合はピンが抜けやすいので、より多めに打つとよいでしょう。シートの上に砂利などを載せるのであれば、それが重しになるためピンを少なくしても大丈夫です。
テープを貼る
防草シートのつなぎ目を粘着テープで固定します。すき間ができないようキレイに貼っていきましょう。必須の作業ではありませんが、風の吹き込みや雑草が生えてくるのを防げます。
このとき使用するテープが家庭用のガムテープの場合、雨や日光で劣化してしまいます。そのため必ず防草シート専用のテープを利用しましょう。
またピンを打った上にもテープを貼っていきます。これはピン穴から雑草が生えてくるのを防ぐためです。
他にも切り込みが入った粘着テープを使用するのも便利でしょう。ピン穴を塞ぐのに適したサイズで切り込みが入っています。
防草シートを選ぶポイント
防草シートは質が悪いものを選ぶと、すぐに張り替えが必要になる場合があります。しっかり選定ポイントを押さえ、失敗の少ない防草シートを選びましょう。
防草シートを選ぶ際に注意すべきポイントを解説します。
遮光性の高さと水はけのよさ
まずは日光を遮る性能を表す「遮光性」が高いものかどうかを確認しましょう。商品のパッケージに遮光率が明記されているので、数値が高いものを選択するようにします。
一般的に厚みがあるものやフィルムが黒いものは、遮光率が高くなります。これが高くなればなるほど、雑草の成長を妨げる力が強いです。
また水はけのよさも選ぶポイントです。水はけが悪いとシートの上に水がたまり、泥を生じやすくなります。この泥に雑草の種が飛来すると雑草が生えてしまうのです。
商品説明にはよく透水性という言葉が使用されており、斜面で使用することを前提としたタイプのシートは透水性がありません。商品説明にはよく目を通し、透水性の有無を確認しましょう。
耐用年数
耐用年数は防草シートの耐久性を表します。この年数が短いと短期間でシートを張り替えなければなりません。
防草シートの素材には、大きく分けて織布と不織布の2種類があります。織布の耐用年数は約5年で不織布は約10年です。そのため不織布の方が頑丈といえるでしょう。
また素材がポリプロピレンの不織布であれば密度が高く、一般的に耐用年数が長くなります。他の素材は水で成分が流れてしまう加水分解が起きやすく、劣化が早い商品もあります。
そのためポリプロピレンの不織布を選択すると、長く使用できるでしょう。
固定ピンの選び方
固定ピンにはいくつか種類があります。形・長さ・太さに加え材質にも違いがあり、それぞれ適した場所が異なります。これらを上手く考慮した固定ピンの選び方を紹介しましょう。
固定ピンの種類
固定ピンにはU字形やJ字形があります。他にもくぎやL字形もあり、それぞれ特徴があります。
例えばU字形は柔らかい地面でも抜けにくく安定していますが、硬い地面では刺さりにくいでしょう。
またくぎやL字形は抜けやすいのですが、硬い地面でも刺さりやすい利点があります。J字形はU字形とくぎの中間に位置し、1度刺すとやや抜けにくく、硬い地面でも比較的刺しやすくなります。
これらの特徴から、地面が硬い場所や土中に石が多い場所には、くぎ形やL字形がおすすめです。地面が柔らかく風が強い場所にはU字形がよいでしょう。
長さや太さの違い
ピンが長いと抜けにくく、しっかりシートを固定してくれるでしょう。しかしあまりにも長いと、頭まで打ち込むのが大変です。さらに地中に石が多ければ最後まで刺せないこともあります。
そのため長いピンと短いピンの両方を用意しておくのがおすすめです。
またピンの太さは打ち込む際の耐久性に影響します。太いピンだとシートに穴が空く面積が大きくなりますが、頑丈なのでしっかり打ち込めるでしょう。
一方細いピンは打ち込む際に曲がったり、うまく刺さらなかったりすることがあります。
材質別の特徴
ピンの材質には鉄やプラスチック、ステンレスなどがあります。プラスチックは価格が安く抜けにくい特徴がありますが、地面が硬いと折れやすく耐用年数も短いです。
またステンレスは地面が硬くても刺さりやすく、サビも発生しません。その反面価格が高くなりがちで、サビないので抜けやすい特徴もあります。
価格が安く、硬い地面にも刺さりやすいものが鉄です。サビがシートに付着することもありますが、サビのおかげで抜けにくくなるメリットがあります。
おすすめの防草シート
商品によっては耐久性の高いものや、セット品になって複数の道具をそろえなくてもよいものなど、さまざまに特徴があります。その中でもおすすめの防草シートを2つ紹介します。
アストロ「防草シート」
また透水性も優れており、悪臭や害虫の心配もありません。液体肥料も通すので園芸目的にも最適です。
1ロールあたり2・3・5・10・20mの中から自由に選べるため、使い終わった後にシートが大きく余ることはないでしょう。
XiaZ「防草シート」
1×10mのシートと、コ型ピンとワッシャーそれぞれ15個がセットになっています。そのため別の付属品などを買うことなく、この商品のみできちんと使うことができます。
耐久年数は5年とまずまずながら、機能も豊富です。130g/㎡の高密度ポリプロピレンでできたシートは厚手で破れにくく、遮光率も約95%と高いです。さらにシートにはUV剤が含まれており、紫外線による劣化を防ぎます。
厚手ながら水はけも良く、通気性にも優れています。除草剤は未使用のため、庭木や花壇など、枯らしたくない植物に悪影響が及びません。
比較的安価でコストパフォーマンスに優れており、ウッドデッキ下や墓地にも使用できます。
防草シートの上に敷くとよいもの
防草シートの上に砂利や人工芝またはウッドチップを敷くと、景観をよくするだけでなくシート自体にもよい効果があります。防草シートの上に敷くとよいアイテムについて解説しましょう。
砂利
防草シートの上に砂利が敷かれることがよくあります。砂利を敷くことで景観を維持したり駐車場を作ったりできます。さらに家の周囲にまけば防犯対策にもなるでしょう。
砂利は直接地面に敷くと、歩くたびに土の中へ埋没してしまいます。ひどい場合は一目で目減りが分かるでしょう。これを防ぐためにも防草シートが利用されます。
また防草シートは紫外線に弱く、むき出しに敷いておくと経年劣化を早めてしまいます。砂利を敷いておくことで、紫外線を弱めることが可能です。
人工芝
庭を美しい緑で埋めたい場合は、防草シートの上に人工芝を敷くとよいでしょう。
本物の芝生であれば、定期的な草刈りや肥料の散布などが必要です。しかし人工芝であれば、手間やお金もかからず1年中美しい緑色が楽しめます。子供やペットが遊ぶスペースとしても最適です。
また商品によっては、本物の芝に似せたものもあります。あえて枯れていそうな色をしたビニールを混ぜることで、あからさまに人工的な見た目にならないようにしているのです。
人工芝を直接敷くとすき間から雑草が生えてきてしまう可能性がありますが、防草シートを敷けばそれを防いでくれるでしょう。
ウッドチップ
ウッドチップは見た目も美しく、高級感を演出できます。家の庭や玄関周りに敷くとキレイな外観が得られるでしょう。そんなウッドチップの下に防草シートを敷けば、直にまくよりも長持ちさせることができます。
また砂利と同様にそのまま敷くと地中に埋没してしまうほか、雑草がすき間から生えてくるでしょう。ところどころに葉が伸びているとキレイな見た目が台無しです。
防草シートにとっても紫外線を防いでくれる役割を持つので、劣化につながるダメージを軽減してくれます。
防草シートで庭を綺麗に保つ
防草シートを敷くと手軽に雑草の成長を防いでくれるだけでなく、害虫が住みにくい環境を作ってくれるでしょう。しかし経年劣化は免れないので、買い替えは必要です。
シートを敷く前は事前準備が必要であり、これを怠ると防草効果を損ねてしまいます。敷地を除草したり平らにならしたりする整地はしっかり行いましょう。
また防草シートはピンで固定させますが、できる限り均一の間隔で挿すようにします。すき間ができないよう、粘着テープでつなぎ目やピン止め箇所を塞ぐのも重要です。
シートだけでは紫外線を直に浴びてしまい劣化が早まるので、砂利やウッドチップなどを散らすのも効果的です。
防草シートで庭をキレイに保ってみてはいかがでしょうか。