ようこそ!ポートレート撮影の世界へ!カメラマンのMphotoです。
「ポートレートは逆光が基本」というのは、写真を撮る人の間では定説になっています。
ではなぜ「基本」なのでしょうか。
ここでは逆光がいい理由、またはレフ板の使い方、青空との関係、ストロボとの合わせ技など、そのあたりを掘り下げてお話ししたいと思います。
逆光の使い方のコツさえ掴めば、家族写真や、お子さんの写真、または女性スナップやポートレートなども、かっこよく撮れますよ!
ポートレートを逆光で撮るのはなぜか
たまに「ここ、逆光だけどいいですか?」ってモデルさんに聞かれますが、いいのです!!
光が人物の顔にあたっていないので疑問に思われる方もいると思いますが、目で見た光景と写真の光景は違います。
その光と影を操るのが、撮影なのです。
まずは逆光と順光について
撮影に置いての逆光とは、太陽に背を向けた被写体を前から撮ることです。
つまり太陽とカメラは向き合うことになります。
逆光で撮影すると下のような写真になります。
それに対して順光は太陽を背にしたカメラが、被写体を撮ることです。
カメラと太陽は同じ方向を向き、向かい合うことはありません。
むしろモデルと太陽が向き合ってしまいます。
※順光と逆光の簡単なイメージ図↓
これが逆光と順光です。
それではポートレートの逆光によるメリット、デメリットについてみていきましょう。
ポートレートを逆光で撮るメリット
【メリット】
- 背景と人物の明暗差が生まれる(コントラストがあり写真として綺麗に仕上がる)
- アンダーで撮ると、シルエットになり絵本の中のような幻想的な絵が撮りやすい。
- 顔には柔らかい光が回り込んでいるので顔に露出を合わせると、表情が明るく撮れるうえにシワや顔の立体感(頬骨や毛穴など)が目立たない。
- 髪にツヤができて綺麗に撮れる。
- 被写体が眩しそうな顔にならない。
逆光撮影は光源の方をカメラが向いています。そのため光っている部分と、その光を背に受けた被写体には明暗差が生まれます。その明暗差がコントラストであり、その光と影が写真として美しいのです。
ですので、人間の生理反応として逆光写真は「綺麗だ」と感じやすいのが特徴です。
また、その明暗差により背景と被写体に差ができ、人物のアウトラインが浮き彫りになります。つまり露出がアンダーであればシルエットが綺麗に撮れます。その時、光が固ければ人物のアウトラインに沿って光の筋(キーライト)ができます。そこを狙うのもおすすめです。
逆光撮影の際、被写体の顔には光があたっていないのですが、全くあたっていないのかと言われればそれは違います。光は様々な角度から回り込んで、反射光として柔らかく顔に回り込んでいるので顔に露出を合わせると、表情が明るく撮れます。
さらに柔らかく回り込んでいるため、シワや顔の立体感が目立たなくすることができます。レフ版を使うとさらに効果的ですが、その話は後述致します。
それと髪にツヤができるのもポイントです。髪に綺麗なツヤがあるとやはり若々しく見えてきます。
ポートレートを逆光で撮るデメリット
【デメリット】
- 明暗差により、調整が難しい
- アイキャッチを入れづらい
- 青空バックでは撮りづらい(背景とのバランスが難しい)
逆光で撮るデメリットは、簡単に言うと少し難しいところです。一眼レフを使い慣れていないと、戸惑うかもしれません。
それと目の中に光を入れづらいのもデメリットと言えます。人物の撮影の時は、目に光を入れる(アイキャッチを入れる)と人物を魅力的に見せることができますが、逆光撮影だと入れることが少し難しいです。(※その対処法は後述致します)
余談ですがモデルの撮影のライティングを知りたい場合はモデルの目をよく見てみましょう。そこには実はライトが写っています。カメラマンが写っている時もあるくらいです。
さて、話を戻します。
逆光撮影の場合は青空バックでは非常に撮りづらいです。なぜなら青空は順光の時に発生するからです。太陽の周りは青ではなく白く飛んでいます。太陽から離れれば離れるほど、空は青くなるのです。
ですので逆光撮影の場合は、太陽に向かって構えているので物理的には撮れないということになります。しかし、方法はあります。それも後述します。
※逆光で撮影する時のメリット&デメリットまとめ↓
【メリット】 | ・背景と人物の明暗差が生まれ、綺麗に仕上がる ・絵本の中のような幻想的な絵が撮りやすい ・シワや顔の立体感(頬骨や毛穴など)が目立たない。 ・髪にツヤができて綺麗に撮れる。 ・被写体が眩しそうな顔にならない |
【デメリット】 | ・明暗差により、調整が難しい ・アイキャッチを入れづらい ・青空バックでは撮りづらい(背景とのバランスが難しい) |
ポートレートを逆光で撮る時のポイント
逆光撮影の時のポイントとしては、「何を見せたいかを自分の中ではっきりさせておくこと」です。
見せたいのは、表情なのか人物のシルエットなのか、背景はどれぐらい写すかなど、自分の中ではっきりとさせておく必要があります。それを瞬時に決定していくのもポイントです。
その表現したいものを決めるということと、あとはカメラの設定もポイントです。
それでは撮りやすいカメラの設定について詳しくみていきましょう。
●ポートレートを逆光で撮る時のカメラの設定
カメラの設定を確認しましょう。
カメラはメーカーや機種によってボタンの位置が変わったり微妙に名称が変わったりします。必ずご自身のカメラで確認してください。
カメラの設定を把握しておけば、逆光写真も怖くありません。レタッチしやすい設定もあるので、参考にしてくださいね。
f値は小さめにする
f値は小さめにしましょう。なぜなら被写界深度の法則により背景がぼけやすく綺麗に撮れるからです。ぼけている背景は人物を際立たせることができます。木漏れ日を背景にすると、葉と葉の間の光が丸くぼけてキラキラと綺麗です。
ただし、被写界深度が浅すぎると、ずっと目にピントを合わせていたつもりでも、少し動いただけでボケボケになってしまうことがあるのでご注意を!
絞り優先オート
f値を小さめに固定して撮影したい場合は、絞り優先オートで撮りましょう。
絞り優先モードは、決めたf値が固定で定まるので、同じボカシ加減で撮影を続けられます。光が足りないところだとシャッタースピードが遅くなりすぎてしまうことがあります。
ですので感度は高めにしても問題ありません。ISOを確保すると撮りやすいです。
露出補正で表現方法を演出
マイナスの露出補正にするとシルエットになります。プラスの露出補正にすると、顔の表情を捉えることができます。
シルエットは絵本の中のような幻想的な光景が撮れます。空の表情も抑えられますし、それはそれで綺麗に撮れます。プラスの露出補正では、顔を明るく写し、背景を白く飛ばしぎみにすることで明るい健康的なイメージを作ることができます。
どちらかに振り切れる必要もありません。アンダー寄りで撮影し、顔がぼやーっと薄っすら見えているような状態でも、それはそれで儚げで綺麗だと思います。表現方法によって決定していきましょう。
測光モードの設定
測光モードはスポット測光をおすすめします。
先ほどからお話している通り、逆光の撮影時では明暗差が激しいので全体で測光してもどうなるのか予測がつきずらいところがあります。
撮影の時に気にするのは人物の顔です。ですのでそこに標準を合わせて光を読みましょう。
レタッチしやすい設定
撮影時には、可能であればraw + jpgで撮影しましょう。
やはりrawデータはレタッチに強いです。そしてレタッチ用として考えるのであれば、どちらかというとアンダーで撮ることをおすすめします。
白く飛んでいるのはデータがそこには無いということですが、飛んでいないのはデータは生きているので調整が効きます。
それと先ほどの青空の撮影のときも、どうしても青空に映らないときは画像処理で青にするのもありだと思っています。なぜなら仕事の場合、やはりクライアントの要望があるからです。
撮影の状況と、クライアントの意図を両立させるには画像処理も大事な撮影要素だと思っています。
逆光の光を補い、光を操るコツ4つ!
逆光がどういうものなのかが解り、さらには設定もしっかりと把握したら、次は実践です。実際に逆光撮影を行うときに気をつけることや、必要な備品についてお話しします。
コツはたったの4つです!!
1.ストロボで日中シンクロ
クリップオンストロボもしくは内臓ストロボを逆光の時に使うと効果的です。
逆光により顔が暗くなったのを、ストロボの光で前から補います。この太陽光とフラッシュを合わせて使う技を「日中シンクロ」といいます。
日中シンクロを使えば、逆光でありながら顔の表情をはっきりと見せることができます。逆光がメインなのでそれよりも少し弱くあてることがポイントです。当然逆光の方が強いので、後ろに影が出る心配もありません。
ただ、内臓ストロボの発光設定は常時発光にし、光の強さはマニュアルで調整しましょう。おそらくカメラからしたら、光は十分に足りていると判断しているはずです。
ですので常時発光に設定し、光の強さは自分でみながら変えていきましょう。
2.レフ板やレフ版代わりのものを使用して光を補う
レフ版も光を補うことができる備品です。レフ版の素材は白いものならなんでも大丈夫です。発泡スチロールでも、ケント紙でもOK。ただ真っ直ぐ差せるように硬い素材でできている方がいいでしょいう。
レフ版は内臓ストロボとは違う点が2つあります。
一つは内臓ストロボのように硬い光ではなく、柔らかい光をあてることができること。もう一つは下から光をあてるなどして、角度を調整できることです。柔らかい光の方が表現として適していると判断した場合はレフ版を使いましょう。
また、下からあてることでシワに反射光を直で狙い撃ちできます。調整が利く分、しっかりとシワを目立たなくできるのでおすすめです。機材屋で売っている折りたたみ式のレフ板は、持ち運びに便利です!
それと上の写真は光ったコップが目に映りこんで、アイキャッチになっています。レフ版や何か反射させるものを写り込ませれば、逆光撮影でもアイキャッチを入れることが出来るのです。
このようにして自然光をライティングしていきましょう。
3.物を使って光を緩和させる
上からの直射日光のときには撮影って難しいですよね。そもそも光が強くて硬いときは光も影も強いので撮りづらいです。
そのときの対処法としては、先ほどお話ししたレフ版を傘のようにしてモデルの頭上に差します。当然カメラから見えない位置に差します。アシスタント役の人が必要にはなってくるのですが。
そうしてレフ版を差せば、人物は必然的に影の中に入り、人物にあたる光を緩和させることができます。実際にモデルに日傘を差してもらったり、帽子を被ってもらうのもありです。
それと物を使って緩和させるのは、太陽光だけではありません。日中シンクロの際に、内臓ストロボの光源部分にトレーシングペーパーを貼り光を柔らかくすることも可能です。
顔にあたる光の硬さが弱まり、より自然な仕上がりになりますよ。※ちなみにカメラマンが白い服を着るのもありです。白い服が反射して光を補うことができます。
4.フレアやゴーストを入れる
以前はフレアやゴーストを入れることは避けるべきことだったのですが、最近ではどちらかというと積極的に入れていく傾向にありますね。デジタルの進歩で、フレア部分の解像度が増し、光がかぶっていてもディティールが失われなくなったからだと個人的には考えています。
フレアやゴーストが入った写真は、キラキラしていて綺麗ですよね。ノスタルジックな記憶の中のような印象も受けます。非常に幻想的な写真になります。
ただ、太陽の写り方に注意しましょう。太陽は丸いです。その太陽の輪郭である丸がはっきりと写っていると、太陽の主張が激しくなってしまいます。すると人物写真としてはあまり良いとは言い難い傾向にあります。人物に目が行きづらいからです。
ですので、なにか木や葉や建物や人物に、光源を重ねて光を散らしたりすることをおすすめします。
以上のコツ4つを使って撮影すればきっと、写真が変わるはずです。逆光は、写真の面白さを引き出してくれる要素です。そして女性ポートレートに向いている光です。たくさん撮って、実践を積んでいきましょう。
ただ、目に光が入り込んでくるので目が疲れますので気をつけてくださいね。
プロのカメラマンにポートレート撮影をお願いしてみる
ここまでは逆光でのポートレート撮影でのカメラ設定や撮影のコツをご紹介してきました。
実際に自分のポートレートを撮影してもらいたい場合はセルフポートレートよりも誰かに撮影してもらうことが良いでしょう。そのような時はプロのカメラマンに撮影をお願いしてみることがおすすめです。
クオリティの高い写真が手に入るだけでなく、プロのカメラマンの撮影を間近で、自分が被写体になって見ることが出来ます。プロのテクニックや経験を学び、(良い意味で)盗めるいい機会だからです。
プロフィール写真撮影専門カメラマンがいます
様々なテクニックや撮り方のコツを紹介しましたが、どうしても納得のいく写真が撮れなかったり、雰囲気をうまく出せない場合もあるでしょう。
セルフポートレートに挑戦しても、一人で全て完結させるのはなかなか困難です。ポートレート写真を撮る際には、そうした写真が得意なプロのカメラマンに頼むのも一つの手です。
プロに頼むメリット
プロフィール写真やポートレートが得意なプロのカメラマンに頼む一番のメリットは、写真のクオリティを豊富な経験で担保してくれることです。
経験豊富なプロカメラマンは、直接会った時から雰囲気作りを何よりも考えたコミュニケーションをとってくれます。実際に撮影が始まってからも、良いシチュエーションを読んだり、その場の雰囲気作りが非常に上手いです。
また、被写体の感じる警戒感なども理解し立場をわきまえているので、適切な距離感で写真を撮影してくれます。特に異性の場合は、下手に素人カメラマンに頼むと、距離感を不自然に詰めてこようとしてトラブルの元になる可能性もあります。
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