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【保存版】労働保険の年度更新は怖くない!計算や申告方法、気をつけたいポイントも

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最終更新日: 2019年06月30日

労働保険の保険料清算は「年度更新」と呼ばれ、一年に1度申告納付が必要です。5月下旬、緑色の封筒が届いたら準備を始めましょう。

保険料の計算基礎の賃金には交通費は入るのか、出向の扱いはどうなるのかなど、労働保険のポイントを押さえつつ、具体的な計算方法や申告方法を解説します。

労働保険の年度更新とは?適用対象は?

年度更新とは
年度更新とは

労働保険は労災保険と雇用保険の総称で、適用事業所は必ず決まった期日に年度更新を行う必要があります。この申告は会社単位で1回の申告でよいのでしょうか?事務所や建設現場なども同じ申告方法でしょうか?

ここでは年度更新の概略と適用対象の考え方をみていきましょう。

労働保険の年度更新とは?適用対象は?

労働保険(労災保険・雇用保険)は、政府が行う保険制度です。1人でも労働者を雇用していると労災保険が適用され、加えて週20時間以上の雇用契約があれば雇用保険が適用されます。雇用保険は労働者も一部保険料を支払いますが、それ以外の保険料と労災保険は事業主が負担します。

労働保険の保険料清算は「年度更新」と呼ばれており、原則一年に1度行います。基本的な考え方としては、保険年度(4月から3月)において、事業主が労働者に支払った賃金に業種別の保険料率を掛けた金額を申告納付します。

  • 前年度(前年4月から今年3月)の保険料を精算するための申告・納付
  • 今年度(今年4月から翌年3月)の保険料を納付するための申告・納付

上記のように、年度更新では2年間に渡る保険料を計算しなければいけません。この前年度の保険料を確定保険料、今年度の保険料を概算保険料といい、この二種類を用いて申告します。

労働保険の成立には、一元適用と二元適用という二種類の成立の仕方があります。多くの事業は労災保険と雇用保険を一緒にまとめて申告納付する一元適用です。建設業や農林漁業など限られた業種が二元適用と呼ばれ、これらは労災保険と雇用保険を別々に申告納付します。

継続事業

年度更新の詳しい説明の前に、労災保険の適用事業所についてみていきましょう。労災保険の保険料率は業種によって異なります。例えばタクシー運転手をしている人と、本社で働く事務員では、労働災害が起きる可能性は同等でしょうか?違いますよね。明らかに現場で働く人のほうが事故は起きやすいでしょう。つまり、本社、支店、工場のように独立性を持ったまとまりを単位として、事業所には業種別の保険料率が適用されます。継続事業とは、いわゆる普通の工場、商店、事務所などのことで、建設現場のような期間が限定されない事業をいいます。

一括有期事業(建築業など)

建設業や農林漁業の労働保険は、労災保険と雇用保険を別々に申告納付します。例えば駅前の再開発で大きなビルを建設する場合、そのビル建設のために新しく労災保険を成立し概算保険料を支払います。その後、工事が終了すると保険料が確定するため、最初に支払った見込の概算保険料と確定保険料の差額を計算して申告します。清算が完了すると、労災保険は廃止されます。これがいわゆる現場労災の基本的な考え方です。

ただし、小さな建設現場や立木の伐採の事業でいちいち保険成立をするのも大変でしょう。そのため、規模の小さな工事や立木の伐採の現場に関しては、継続事業と同じように年間を通して労災保険を適用できるようになっています。これを一括有期事業といい、建設業では事業主が同一人であり、一工事の請負額が1億8千万円未満、かつ、概算保険料額が160万円未満の小さな工事が対象になります。なお、今年4月からは工事区域の制限がなくなり、どこの区域でも一括有期事業としてまとめて取り扱いできるようになりました。

労働保険の年度更新手続きの流れ【いつ・どこで・何をする?】

年度更新 いつどこで何をする?
年度更新 いつどこで何をする?

年に1度の年度更新。毎年6月から7月10日が申告期間です。5月下旬に労働局から申告書が届きます。申告書には保険料率や前年に納付した金額などが印字されており、労働者の賃金を書いて保険料を計算します。ここでは具体的な計算に入る前に確定保険料と概算保険料の違いを整理し、手続きの流れをみていきましょう。

いつ・どこで?

今年の年度更新の申告期間は6月3日から7月10日です。取り扱い金融機関への提出や労働基準監督署への窓口持参、郵送ならびに電子申請など幾つかの方法で申告書を提出できます。

何をする?(1) 確定保険料の計算をする

納付金額を決定するためには、まず確定保険料を計算します。申告書の上段が確定保険料の記載部分です。

確定保険料とは、保険年度(前年4月1日から今年3月31日)の期間に、労働者が働いた賃金に対して、業種別の保険料率を掛けて計算します。つまり、確定保険料とは、過去一年の確定した賃金にかかる保険料のことです。

何をする?(2) 概算保険料の計算をする

次に概算保険料を計算します。申告書中段が概算保険料の記載部分です。

概算保険料は、保険年度(今年4月1日から来年3月31日)の間に支払われる賃金の見込額に対して、業種別の保険料率を掛けて計算します。つまり、概算保険料とは、この先一年の保険料の前払いであり、賃金の予想額にかかる保険料のことです。

何をする?(3)  労働保険料を計算し納付する

前年に申告納付した概算保険料と、実際にかかった確定保険料の間では通常、金額の差異が出るものです。当初の予想よりも人件費が膨らんだら、保険料は不足しているはず。この差額と次の一年度の概算保険料および後述する一般拠出金を加えたら、納付する労働保険料が決まります。納付書払いの場合は7月10日までに支払いましょう。ただし前年の納付額により今回の納付額は変わってきます。

  • 前年に支払った金額よりも実際の確定保険料が多いケース→前年度の不足額と今年度の概算保険料を合算して申告納付します。
  • 前年に支払った金額よりも実際の確定保険料が少ないケース→前年度の余剰額は今年度の概算保険料などに充当しましょう。つまり、前年の残りと今回の支払い分を相殺します。相殺して残った概算保険料の金額を申告納付します。
  • 前年に支払った金額よりも実際の確定保険料が少なく充当しても余るケース→充当してもまだ前年の納付額が余る場合は、年度更新と併せて還付請求をします。数ヶ月後に希望の振込口座に戻ってきます。

今年支払う概算保険料が40万円(片側保険の場合は20万円)以上では、3回の分納もできます。分納の納付期日は7月10日、10月31日、1月31日です。

労働保険料率から確定保険料を計算しよう!

確定保険料を計算してみよう
確定保険料を計算してみよう

ここからは確定保険料の計算方法をみていきましょう。確定保険料は労働者の賃金に対して業種別の保険料率を掛けて計算します。ただし、保険料の基礎になる賃金は給与支払い全てではありません。また、末締め翌月払いは起算月も注意が必要です。賃金の考え方を整理し、具体的な計算方法をみていきましょう。

確定保険料の計算方法

確定保険料=年間の賃金総額×業種別の保険料率

労働保険料の基礎は、過去1年分の労働者の賃金です。月別の賃金と賞与を合算して年間の賃金総額を集計しましょう。

この賃金総額は、労災保険と雇用保険に分けて考える必要があります。

  • 労災保険の基礎となる賃金=事業所で働いた労働者に支払った賃金
  • 雇用保険の基礎となる賃金=事業所で雇用保険に加入している労働者に支払った賃金

労働者全員が雇用保険に加入している事業所では、労災保険の賃金と雇用保険の賃金は同じです。学生など雇用保険に入っていない人が多い事業所では、労災保険よりも雇用保険の方が賃金は少なくなります。

雇用保険は、2020年3月まで高年齢被保険者の保険料が本人も事業所も免除されています。この高年齢被保険者とは、4月1日時点で64歳以上の雇用保険の加入者のことです。雇用保険の賃金から除くために、この方たちについても賃金を集計しておきましょう。

自分の事業の労災保険料率・雇用保険料率を確認する

労災保険料率雇用保険料率

確定保険料を計算するためには、保険料率の把握をしましょう。労災保険料率は、労働災害の起きやすい業種ほど料率が高いものです。

例えばコンクリート製造販売の会社の保険料率は以下の通りです。

労災保険料率

工場 コンクリート製造業(66業種)・・保険料率は1,000分の13

本社 卸売小売事業(98業種)・・・・・保険料率は1,000分の3

雇用保険料率

雇用保険料率 一般の事業

一般の事業・・・・・・・・・・・・・・保険料率は1,000分の9

(労働者負担として1,000の3を含む)

労働局から届く申告書にはあらかじめ保険料率が印字されています。申告書が手元にない場合は、ホームページで労災保険料率表と雇用保険料率を確認しましょう。

労災保険料率表(平成30年4月1日施行)|厚生労働省

平成31年度の雇用保険料率表|厚生労働省

確定保険料の対象期間はいつ? 翌月払いの場合は?

確定保険料の対象期間は、前年4月1日から今年3月31日まで。その期間に働いた分に対して支払われる賃金です。そのため、給与の締め日により起算月が変わります。注意しましょう。

  • 15日締め当月25日払い・・前年4月支払の賃金から今年3月支払の賃金まで
  • 月末締め翌月25日払い・・・前年5月支払の賃金から今年4月支払の賃金まで

賃金総額に含まれるもの・含まれないもの

労働保険料の対象となる賃金の一覧は以下の表で確認できます。

労働保険料 賃金
労働保険料の算定基礎となる賃金早見表 出典:神奈川労働局

労働保険の賃金とは、労働の対価として支払うものに限定されます。ただし、給与の中には労働の対価にあたらないものも沢山あるでしょう。例えば、出張旅費や取引先に行くための立替交通費、慶弔見舞金などは実費弁償的、恩恵的なものと考えられ、労働保険の賃金に含まれません。逆に会社に行くための通勤交通費は賃金に含まれます。

出向や派遣の賃金は以下のルールに沿って考えます。

  • 出向先・・・労災保険の賃金に含める。
  • 出向元・・・・労災保険の賃金に含めない。
  • 派遣(受入)・・・・労災保険雇用保険共に賃金に含めない(派遣元で計上する)

出向労働者の雇用保険料は、出向契約の内容によって異なります。主に賃金を払っている事業所で算定します。

なお、出向の賃金を加減する場合は、労働者の人数の加減も忘れないようにしましょう。

労働保険料の算定基礎となる賃金早見表 (例示)|神奈川労働局-厚生労働省

概算保険料を計算しよう!

概算保険料 計算
概算保険料を計算しよう!

確定保険料が確定した後は、概算保険料を計算します。前年度と今年度の賃金総額がさほど変わらない場合は、確定保険料の賃金を概算保険料の賃金とみなしましょう。前年度と比べて大幅に変わる場合は、想定される見込額から計算します。

概算保険料の計算方法

概算保険料=年間の見込賃金総額×保険料率

概算保険料にかかる賃金は、今年4月1日から来年3月31日までの労働に対する賃金です。見込賃金額に、業種別の保険料率を掛けて保険料を計算します。

概算保険料は前年度の賃金総額と同じにする?

今年一年の賃金見込額が大幅に変わらない場合は、前年度の賃金総額と同じで構いません。この大幅に変わるとは、前年度と比較して2倍以上になる場合や2分の1以下になる場合のことです。今年の賃金は前年と比べて2倍を以上になることが分かっていれば、予想される見込額から概算保険料を計算しましょう。

労働保険料を申告し、年度更新手続きを行おう!

年度更新を行おう
年度更新を行おう

確定保険料や概算保険料の計算方法を理解したら、算定基礎賃金集計表を作成しましょう。端数処理に気をつけながら、確定保険料を集計し、申告書に記入します。本社と工場で労働保険番号が異なる場合は、それぞれの申告書が必要です。申告書は都道府県別で印字が異なります。必ず納付先の申告書を使うように注意しましょう。

労働保険 算定基礎賃金集計表と年度更新申告書の書き方

算定基礎賃金集計表 書き方
算定基礎賃金集計表の書き方 出典:厚生労働省

確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金計算表に、毎月支払った賃金を転記します。労働者について記載するため、兼務役員の労働者賃金や、受入出向の賃金も含めます。各月と賞与について1円単位まで転記し、年間の賃金合計を計算します。

年度更新申告書 書き方
年度更新申告書の書き方 出典:厚生労働省

次に確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金計算表で計算した年間の賃金合計額を、申告書に転記します。上段が確定保険料、中段が概算保険料の賃金を記載する部分です。その上で、昨年納付した金額を差し引き、今年の納付額を計算していきます。なお、一般拠出金とは、石綿(アスベスト)健康被害者の救済費用に充てるために拠出するもので、全額が事業主負担となっています。

端数処理

年度更新の計算をしている際に、保険料率を掛けると小数点以下の端数が出る場合があります。その場合は小数点以下を切り捨てにします。四捨五入や切上ではありませんので、注意しましょう。

労働者が全て雇用保険に加入している事業所では労災保険と雇用保険の賃金額が同額になります。その場合は労災保険と雇用保険の合計の料率をまとめて賃金総額に掛け、最後に小数点以下を切り捨てましょう。例えば労災保険料率1,000分の3+雇用保険料率1,000分の9では、合計1,000分の12を賃金総額に掛けてから端数を切り捨てします。

【番外編】労働保険年度更新手続きは電子申請できる!

年度更新の電子申請
年度更新の電子申請

政府が積極的に推奨していることもあり、徐々に電子申請が広まっています。年度更新を電子申請で行う場合は、事業主の電子証明書を事前に入手した上で、労働局から送られてきた申告書の右上に印字されているアクセスコードを用いて申請します。法人としての申請の場合も、代表取締役の個人の電子証明書が求められる場合があります。今の仕組みでは、自社の申請を電子化することは、まだまだハードルが高いかもしれません。

【まとめ】労働保険の年度更新は、労働保険料の計算・申告・納付が必要!

年度更新はプロに任せよう
年度更新はプロに任せよう

年度更新は6月から7月10日までの約40日の間に毎年申告しなければいけません。申告を忘れると労働局から認定決定の通知が届き、追徴金の支払いも求められます。また延滞している期間に労働災害が起こると、その治療費などについては事業主負担が非常に重くなる仕組みになっています。もし初めての年度更新で良く分からない場合は、専門家に申告を依頼しても良いでしょう。ミツモアでは社会保険の手続きのプロである社会保険労務士が沢山登録しています。面倒な手続きは、お気に入りのプロを探して早めに任せてしまいましょう。

この記事を監修した社労士

ドラフト労務管理事務所 - 大阪府大阪市東成区

関西弁で丁寧に対応する社会保険労務士事務所です。 ●重点取扱分野 労務相談/過労等の疾病・過労死の労災申請・障害年金申請代理 派遣元責任者講習講師/労働局・労働基準監督署等の監査立会業務 派遣業・職業紹介業の許可申請業務 ●働き方改革推進支援センターアドバイザー/教えて!goo・Yahoo!知恵袋 認定専門家/経済産業省後援ドリームゲートアドバイザー。 ●ドラフト労務管理事務所 代表社会保険労務士 鈴木圭史 JR玉造駅から東へ徒歩3分
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