ハエは成虫だけを駆除しても、発生し続ける可能性があります。卵が残っていれば、孵化してまたハエが大量発生してしまうかもしれないためです。卵から根本的に駆除するための方法や、ハエを発生させないための予防法などについて紹介します。
ハエの卵はどんなもの?
日本の家に侵入するハエの種類には、主にイエバエやクロバエなどが挙げられます。種類によっては卵の大きさや産む場所が異なるので、主な種類ごとに特徴を覚えておくとよいでしょう。
ハエの卵の特徴や、よく産みつける場所などを紹介します。
卵の形状や色
ハエの卵は白くて細長い楕円形で、見た目は白ごまのようなものです。クロバエの卵は比較的大きく1mm以上あるため目に留まる可能性がありますが、コバエの卵は1mm以下になるのでほとんど気付けません。
ハエの卵が産みつけられているか確認する場合は、虫メガネなど拡大するものを利用した方がよいでしょう。
しかし、現実的には「卵を発見してから対処する」よりも、「卵が発生しそうな場所に対して予防策を打つ」「ハエが頻繁に出る場所には卵がある可能性が高いと疑って対処する」というように、ある程度推測も混ぜながら駆除するのがよいといえます。
屋内の産卵場所
ハエは餌や水分が補給しやすい場所を好み、そこに卵を産みつけます。屋内ではキッチンや風呂場の排水口がよく狙われるポイントです。不衛生なトイレやゴミ箱も代表的な産卵場所になります。
これらの暗くて不衛生な場所は、ハエにとって暮らしやすい環境です。日頃からこまめに清掃してハエを寄せつけないようにしましょう。
また種類によっては珍しい場所に卵を産むハエもいます。例えばキノコバエという種類のハエは、観葉植物に卵を産みます。成虫の種類を特定し、卵が産みつけられる場所を中心に対策するとよいでしょう。
気温25度前後がハエの産卵時期
ハエが活発になる季節は、6~7月と9~10月頃です。おおよそ気温が25℃前後になると、ハエは最も活動的になり卵を産みつけます。人間が過ごしやすい時期はハエも活発であると覚えておきましょう。
逆に真夏や真冬は、行動が鈍り産卵はあまり行われません。そのため、この時期にハエを駆除するのも有効です。
卵をあまり産まないので個体数も少なく、駆除する負担も比較的少ないでしょう。
ハエは衛生害虫
ハエはただ見た目が不快でうっとうしいだけではありません。健康的な害を及ぼす可能性もある害虫です。
ここからはハエが人にどのような影響を与えるのか解説します。
不快感がある
ハエは羽音がうるさく、周囲を飛び回られると手で払いたくなる人が多いでしょう。見た目も気持ち悪く、不快感を感じる人は多いのではないでしょうか。
またハエが食卓で食べ物に止まったりコップのふちに付いたりすることがあります。ハエは衛生害虫のため、人が口にする場所に触れると、美味しい食事も台無しになってしまうでしょう。
そのうえ振り払ってもハエは簡単にはたたき落せません。仕留めるのが難しいためストレスのもとになります。
病原菌を運ぶ
ハエは見た目などで不快感を与えるだけでなく、人の健康に害を及ぼす病原菌を媒介します。日本に生息しているハエは約3,000種類ですが、そのうち100種類は病気を媒介するといわれています。
どのようなルートで人間の体に菌が入るかというと、まずハエが汚物や不衛生な場所で過ごし病原菌を体に付けるのです。
それから人間の食糧にたかったり口に触れるモノに飛び乗ったりすることで、病原菌を媒介するのです。
媒介している代表的な病原菌には大腸菌やサルモネラ菌だけでなく、赤痢菌やO-157など危険な菌まで存在します。
家庭でも一度は見かける機会があるハエですが、深刻な健康被害をもたらす可能性があるので発生したらすぐに駆除しましょう。
卵を見逃さないことが重要
ハエの成長スピードはとても速いため、大量発生する可能性があります。それを避けるには卵を見逃さないことが重要です。
ハエの一生サイクルや一度に生む卵の量などを紹介します。
ハエは成長速度が速い
ハエは卵から孵化して約2週間で成虫になリます。成長速度が速く、卵を産みつけられると短期間で大量発生してしまうかもしれません。
卵は産みつけられてから1~3日で孵化します。幼虫はいわゆるウジ虫で、約1週間後にはサナギになります。それから4~5日後に成虫になり、4~5日以内には産卵を開始するのです。
ハエの寿命は約1カ月ですが、その間に約500個の卵は産むといわれています。ハエが住みついたまま放置しておくと大変なことになりかねません。
1度の産卵で大量発生しやすい
ハエが1度に産む卵の数は50~150個です。それがたった約2週間で成虫になるため大量発生しやすいのです。
気温が低ければ成虫になるまで20日ほどかかりますが、暖かくなると早くて約10日後には成虫になってしまいます。
ハエの発生を防ぐには成虫の駆除だけでなく卵の早期発見や、ウジ虫の駆除が必要です。特にまだ動きが鈍いウジの状態で成長を食い止められれば、大量の卵を産みつけられることもないでしょう。
また卵を見逃さないことも重要です。ハエが発生しやすい排水口やゴミ箱周りを確認してみましょう。またはウジが発生している場所があれば、そこに卵が大量にあるかもしれません。
ハエの駆除方法
ハエは成虫を殺虫するだけでなく、卵も駆除しないとあまり効果がありません。幼虫や卵を駆除する方法を紹介します。
卵には熱湯をかける
ハエの卵を見かけた場合は、熱湯をかけましょう。卵は熱に弱く、60℃以上の熱湯をかけると死滅します。市販製品を購入せず手軽にできる方法なのでおすすめです。
しかし熱湯をかける場所が鉄の排水管などであれば問題ありませんが、樹脂系の排水口などは熱で変形してしまうため注意しましょう。
どうしても熱を与えられない場所に産みつけられていれば、洗浄剤や卵に効く殺虫剤を利用します。市販されている商品には複数の種類があるため、しっかり用途や効能を確認して購入しましょう。
幼虫や成虫には殺虫剤
市販の殺虫剤を使用すれば幼虫や成虫は駆除できます。成虫が素早く飛び回っていても、噴射の範囲は広く届く距離も長いため、簡単に駆除できるでしょう。
特にハエが複数匹いる場合は効果的です。一匹ずつハエたたきなどで退治してまわるより効率が上がります。
また道具ではたいたり素手でたたいたりすると、死骸の破片が飛び散ってしまう恐れもあるでしょう。後処理の手間がかかってしまうことや、飛散した場所に病原菌が付着してしまうことがあります。
めんつゆトラップを仕掛ける
手ではたいたり殺虫剤を使ったりするなど直接的な方法もありますが、トラップを仕掛けて駆除するのも効率がよく負担も少なくなるでしょう。
ハエを駆除するトラップとして代表的なものがめんつゆトラップです。ハエはめんつゆやお酢などの匂いを好みます。これらの匂いにつられて集まる習性があるのです。
作り方はまずペットボトルの底から数センチ上を切り取ります。次にペットボトルに1cmほど水を入れめんつゆと食器用洗剤を数滴入れてください。
ハエは気孔と呼ばれる器官で呼吸していますが、洗剤に含まれる界面活性剤の影響で水を弾けなくなります。するとハエは液体の中で窒息死するのです。
ハエの発生を防ぐには
家を不衛生な環境にするとハエが住みついてしまいます。こまめな清掃や殺虫剤の散布は害虫発生を予防してくれるでしょう。ハエの発生を防ぐ方法を紹介します。
部屋を清潔に保つ
ハエを寄せつけないためには、家を清潔に保つことが重要です。ホコリや小さな虫の死骸にもハエは卵を産みつけます。定期的に掃除していない家は、ハエが繁殖しやすい環境になるのです。
また生ゴミを毎日捨てずゴミ袋を一定期間家に放置している場合、ウジが湧いてしまう可能性が高くなります。
キッチンや風呂場の排水口も定期的に清掃しましょう。ヘドロがたまるとチョウバエが発生しやすくなってしまいます。
油汚れや水分がある家ではハエが寄り付きやすくなるので、床を拭いたり水気を残さないよう気を付けたりすると効果的です。
排水溝など発生源に駆除剤を散布
ある程度ハエが発生する場所を特定できているのであれば、駆除剤を散布する方法も効果的です。市販されているものには、か粒タイプや水で希釈する液体タイプなどがあります。
これらは成虫だけでなくウジにも効果があるため、発生源を根本から解消したい場合によく使用されます。
使われる場所は家庭であればキッチンや風呂場などの排水口、農家では家畜のフンや堆肥などです。
ハエの種類によって発生源が異なるので、発生している成虫がどの種類にあたるのか事前に確認しておきましょう。例えばチョウバエは、ゴミ箱よりも風呂場などの排水口に散布すると効果的です。
生ゴミに要注意
家庭でのハエが発生する原因のひとつに生ごみの臭いがあります。生ごみは数日家に放置するのではなくこまめに捨てましょう。どうしても外に捨てられない際は口をきつく縛り密閉します。
生ごみをため込まなければ、卵を産みつけられても成虫が孵化するのは難しくなります。
注意が必要なことは生ごみそのものだけでなく、トレーに付いた汁などもハエが発生する原因になることです。
またキッチンでは生ごみを扱う場面が多くなりますが、シンクで利用する三角コーナーも定期的に掃除してください。ジュースやビールなどの空き缶も水洗いしてから捨てるようにします。
ハエの卵を見つけたらすぐに駆除を
ハエはうっとうしいだけでなく病原菌を媒介する害虫です。ハエが発生したり卵を見つけたりした場合は速やかに駆除しましょう。
ハエの成長スピードは速く、約2週間で成虫になってしまいます。また一度に産む卵の量は50~150個です。そのまま放置していると大量発生する可能性があるので、殺虫剤などで根本から対策しましょう。
また卵は熱湯をかけると効果的です。熱湯が使えない場所では卵にも効く殺虫剤を使用します。
部屋を清潔に保ち生ごみはこまめに捨てるなど、普段からハエを寄せつけない行動を心掛けましょう。
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