ハモグリバエは一見すると普通のハエのような見た目をしていますが、葉肉内に産卵することで野菜の生育を妨げ、私達の生活に大きな被害をもたらす農業害虫です。この記事では、ハモグリバエの種類や対策法、予防法などについて紹介します。
ハモグリバエの生態について
まずはハモグリバエがどのような昆虫なのか知るところから始めましょう。ハモグリバエの生態を先に知っておくことで、この後に紹介する駆除方法が把握しやすくなります。
ハモグリバエとは
ハモグリバエとは、ハエ目ハモグリバエ科に属する昆虫の総称です。種類により差はありますが、卵は直径約0.2mm、幼虫や蛹、成虫は体長約2mmから3mmです。漢字で書くと「葉潜り蝿」となります。
名前のとおり、葉肉の中に産卵するのが特徴で、孵化した幼虫は葉肉を食害してしまうことで知られる農業害虫です。繁殖力がとても強く、1匹で約400個ほどの卵を生むと言われています。
ハモグリバエの被害にあった植物には葉に白い線ができるのが特徴で、その様子から「エカキムシ」とも呼ばれています。
ハモグリバエは生まれてから3週間で成虫になると言われており、この短いサイクルを止めるためにも、駆除する際は成虫と卵どちらも対策しなければいけません。
ハモグリバエの発生時期は5月から10月
ハモグリバエは5月から10月頃までの比較的暖かい時期に発生し、冬は蛹の状態で越冬します。
高温かつ乾燥した土地を好むため、これらの環境で野菜を育てている方は特に防虫・駆除を徹底して行わなければなりません。
ハモグリバエの種類と見分け方
世界には2,500種ほどのハモグリバエが存在しているといわれています。
そのうち日本で確認できるハモグリバエは、「マモハモグリバエ」「トマトハモグリバエ」「ナスハモグリバエ」「アシグロハモグリバエ」「ネギハモグリバエ」「ナモグリバエ」などです。
種類によって寄生する植物に違いがあるため、見た目で種類を判断するというよりも、「どの植物に寄生しているか」で種類を特定することが多いです。
以下に日本でよく見られる6種類のハモグリバエについて、どのような植物に寄生するのかを紹介します。
マモハモグリバエ | イネ科・バラ科・ヒルガオ科以外の幅広い植物に寄生 |
トマトハモグリバエ | キュウリ・メロン・トマト・ミニトマトなどに寄生 |
ナスハモグリバエ | ナス・アブラナ科・ナデシコ科のカスミソウなどに寄生 |
アシグロハモグリバエ | ナス科・ウリ科の果菜類・ホウレンソウ・菊やアスターなどの花き類など幅広い植物に寄生 |
ネギハモグリバエ | ネギ・ニラ・玉ネギなどに寄生 |
ナモグリバエ | マメ科・アブラナ科などに寄生 |
また、種類によって活動時期が異なる点にも注意しましょう。特にトマトハモグリバエは繁殖力が高く、
幼虫と成虫の特徴
ハモグリバエの幼虫は3〜5mmの体で、脚は生えていません。色は白っぽい黄色か緑色をしており、葉を食べながら前進します。
幼虫が食べた跡はハッキリと白い線として残るため、すぐに被害を受けたことが確認できるでしょう。
成虫は黒や灰色、黄色の見た目をしています。ただ、黄色のハモグリバエはそこまで多いわけではなく、黒や灰色のハモグリバエが多いです。
寿命は10〜15日間と非常に短いですが、その間に交尾と摂食、産卵を行います。
ハモグリバエによる被害
ハモグリバエは、ガーデニングや農作業をしている方にとっては天敵となる存在です。具体的にどのような被害を受けるのでしょうか。
食害性害虫として扱われている
ハモグリバエは食害性害虫として扱われています。食害性害虫とは、植物の葉や茎を食べ荒らす害虫のことであり、ハモグリバエは幼虫も成虫も食部に害を与えます。
成虫は葉に穴を開けて産卵。孵化した幼虫は葉を食べながら進んでいき、白い跡を残します。
その結果として植物の生育が悪くなる上に、葉が白っぽくなってしまい、見た目が悪くなってしまうのです。
被害にあいやすい野菜
ハモグリバエはさまざまな種類がいるだけでなく、種類によって好む植物の種類が異なるのが特徴です。その結果、非常に広範囲の植物が被害の対象になっています。
よって、ある特定の植物だけが被害にあいやすいとは言い切れないのが現状です。
しかし、ナス・トマト・ピーマン・ジャガイモなどの夏野菜のほか、エンドウ・インゲン・ソラマメなどのマメ科、キュウリ・カボチャ・メロンなどのウリ科、キク科、アブラナ科、ネギ科の植物は被害にあいやすいといわれています。
ハモグリバエを駆除するには?
ハモグリバエを駆除する方法としては3種類あります。それぞれ内容が異なるため、自分に合ったものを選びましょう。
1匹ずつ駆除する
ハモグリバエの被害にあった葉を見つけたら、まずはその葉を切り落としましょう。被害が深刻で広範囲に及ぶ場合は、全て落とすのではなく、より弱っている葉のみにします。
そして、葉についている幼虫を一匹ずつ駆除していきましょう。手間のかかる作業ですが、家庭菜園程度の小さな規模のものであればこの方法で駆除できる場合もあります。最後に殺虫剤も併用すると、より確実です。
また時期によってはハモグリバエのサナギが葉の下の地面に落ちている場合もあります。これも併せて駆除しましょう。
殺虫剤の使用
農家など大規模に植物を育てている場合には、1匹ずつ駆除するのは気の遠くなるような作業です。そのため、ある程度以上の規模の植物に対してハモグリバエ駆除を行いたい場合には、専用の農薬を使用します。
さまざまなメーカーから商品が販売されており、液体式で葉に吹きかけるものもあれば、土の上にかける粒タイプのもの、液体式で土に吹きかけるものもあります。
種類によって使える植物に違いがあるため、「目的の作物に使えるかどうか」や「用法」「容量」をしっかり確認した上で使用しましょう。
おすすめの殺虫剤はオルトラン(一般名:アセフェート)を使用したものです。水溶性で浸透移行性が高いことが特徴で、雨に流されづらく、効果が長期間続きます。1973年から使用されているポピュラーな農薬なので、安心して使用できます。
注意点としては使用可能な農作物の範囲が意外と狭いため、きちんと作る作物に使用できるか考慮して使用しなければなりません。
おすすめのオルトラン殺虫剤は以下の2つです。
①住友化学園芸 オルトランDX粒剤
②住友化学園芸 GFオルトラン粒剤
粒剤のほかにも液剤などがあります。使用可能な農作物などから自分の用途にあったものを選択しましょう。
ハモグリバエの天敵にお願いする
ハモグリバエには天敵が存在しており、それらに駆除を任せる方法も一般的です。
ハモグリミドリヒメコバチ(通称ミドリヒメ)という、ハモグリバエ類の幼虫に卵を産み付ける特徴を持つハチを畑に撒くことで、農薬を使用せずにハモグリバエを駆除できます。
有機栽培・減農薬栽培などにも使用でき、人の体や環境に比較的優しい方法といえるでしょう。
ハモグリバエを寄せ付けない予防策
最後の項目では、ハモグリバエを寄せ付けない方法を紹介します。予防策を知っておくことで、駆除する手間も減らせます。
防虫ネットを使う
ハモグリバエを予防するには、植物に産卵させないために、近寄らせないことが最もシンプルな方法といえます。
葉がまだ大きくならないうちに防虫ネットを被せ、ハモグリバエが入らないように対策しましょう。
またネットの網は0.8mm以下のものを使用するとよいといわれています。ハモグリバエは体が小さめなので、網目が大きい防虫ネットでは簡単に進入できてしまう点に注意しましょう。
おすすめの防虫ネットはこちらです。
ネットの網目が0.6mmと小さく、ハモグリバエの他にもアブラムシなどの害虫の侵入も防ぐことができます。
減農薬や無農薬栽培を目指している方には必須の製品といっても過言ではありません。
成虫をおびき寄せる粘着板を使う
成虫をおびき寄せる黄色粘着板を使うことで、植物にハモグリバエが寄りつかないようにする方法も有効です。
粘着板はハモグリバエ以外に、コナジラミといった他の害虫防止に使うことも可能なため、設置しておくと幅広く役立つでしょう。
価格自体もそこまで高くないので、気軽にトライしやすい点もメリットの駆除方法といえます。
しっかり予防して大事な作物を守ろう
ハモグリバエは食害性害虫として扱われており、さまざまな植物に害を与えます。
被害にあわないようにするためには、事前にハモグリバエの知識をもち、対策することが重要といえるでしょう。
もしも被害にあってしまった場合には、素早い対処が必要です。初期段階でハモグリバエを発見できれば、被害を最小限に留めることができます。白い線を葉に見つけたら、ハモグリバエを疑いましょう。
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