クログワイは駆除が難しい「難防除雑草」の一種です。水田で発生するクログワイの生態について知り、効果的な対策を実施しましょう。
この記事ではクログワイの特徴や代表的な防除方法、効果的な除草剤について徹底解説。よく似たホタルイとの違いや、食用としての利用方法も紹介します。
厄介な雑草クログワイの生態
水田に発生する雑草の中でも特に厄介なクログワイには、どのような生態があるのでしょうか?基本的な特徴や被害について知ることで、効果的な対策へつなげましょう。
クログワイの特徴は?
クログワイはカヤツリグサ科の多年草で、水田のほかに池や沼などの湿地に生息します。地中にある「塊茎(かいけい)」と呼ばれるイモのような部分から発芽し、4~9月の長い期間にわたって、まっすぐな茎を伸ばすのです。
直径3cmほどの茎は中が空洞になっています。空洞になっている部分にはタケノコのような膜があり、つぶすと「ぷちっ」と音がするのも特徴です。
また地下の塊茎は秋になると増え、翌年以降に新たな株として生長します。塊茎は生命力が強く、このサイクルを通じて「5~7年」は生き続けます。
そのため地表に出ている茎部分を処理した場合や、秋になり枯れた場合でも、塊茎が残っていると繰り返し発芽してしまうので注意が必要です。この塊茎の処理が難しいことから「難防除雑草」に分類されているのです。
クログワイの生態と被害
防除の難しいクログワイですが、そのままにしておくと稲の収穫量に大きな被害を与える可能性があり、注意しなければいけません。本来であれば作物が吸収するはずだった水分や養分を、クログワイが奪ってしまうからです。
そのためクログワイが多く発生している水田では、稲の根元から新しい茎が出にくくなり、穂数が本来より少なくなってしまいます。穂数が少なければその分、収穫量が減ってしまうのです。
防除が十分に行なわれていない水田では、収穫量が50%減ったケースもあります。
クログワイの発生を抑える対策
クログワイの発生を抑えるには、塊茎を地中に残さないことが大切なポイントです。塊茎から発芽するクログワイは、地中に塊茎が残っていると次々に増えていきます。
クログワイを増やさないためには、水田を使用していない秋冬に地面を耕して、塊茎をできるだけ取り除きます。また発生量が多い場合には翌年の作付けを中止し、休耕田としたうえで塊茎を処理しましょう。
ほかには、大豆を植えて地下の余剰養分を使い、クログワイが十分に育てない環境を作る方法もあります。塊茎を取り除くことと生長を抑制することで、徐々に数を減らしていくのです。
クログワイの防除方法
クログワイを防除するには、除草剤の散布や乾燥させて枯死させる方法が効果的です。それぞれの方法を確認して、適切な方法でしっかりとした対策を行いましょう。
除草剤の散布が効果的
クログワイの防除方法として効果的なのは「除草剤」の散布です。クログワイが広範囲に生い茂ると、除草するだけで大変な労力ですし、地中にある塊茎を全て手作業で取り除くことも現実的とはいえません。
そこで地中にある塊茎まで枯らすことのできるタイプの除草剤を使います。クログワイに効果的な製品であることを確認した上で、購入することが大切です。
また水田で育てている稲に除草剤の影響が出ないよう注意しましょう。周りにある田畑や周囲の環境にも配慮し、適切な量と時期を考慮して利用します。
除草剤散布に適した時期
除草剤はいつ使っても同じような効果を発揮するわけではありません。使う時期によっては十分な効果が出ず、期待したほどクログワイを取り除けないことがあるのです。
散布しても除草剤の効果を発揮できないといったことを避けるため、適期を確認した上で利用しましょう。例えば「移植後15~55日(ただし収穫60日前まで)」と記載されていれば、この記載に従って散布します。
注意したいのは気候変動の影響で、適期がずれている可能性です。温暖化によりクログワイの生長が例年より早い場合、除草剤に記載されている通りに散布しても、思ったほど除草できないことがあります。
除草剤で処理できるサイズより大きく生長したクログワイには、十分な効果を発揮できないためです。
複数回の散布が必要
クログワイの塊茎は、1回除草剤を散布しただけでは処理しきれないことがほとんどです。数年かけて計画的に散布し、徐々に数を減らしていきましょう。
また除草剤を散布してしばらくは発芽しなかった塊茎も、除草剤の効き目が切れてくると芽が出ることがあります。長期間にわたり発生を抑えるために、中期剤や後期剤を用いて除草効果をキープすることが大切です。
乾燥させて枯死させる
効率的な対策方法として役立つ除草剤ですが、できるだけ使用せずに駆除したい方もいるでしょう。そのような場合には塊茎を地中から掘り起こし、乾燥させる方法が有効です。
湿地を好むクログワイは十分な水分がある地中では長期間生き続けますが、地表の乾燥や寒さには弱い性質があります。そのため秋から冬にかけて地中から掘り出しておくと、枯死させられるのです。
塊茎は地表近くだけでなく地中深くにもあります。そのためできるだけ深く耕し、取り除くことが大切です。
ただし乾燥や寒さで枯死させる方法は、暖かい地域ではできない場合もあります。十分に気温が下がる寒冷地で有効な方法です。
クログワイ防除に適した除草剤
さまざまな種類の除草剤が販売されていますが、どれを選んでもよいわけではありません。クログワイに適した除草剤を選ぶことで、高い効果が期待できます。代表的な除草剤について見ていきましょう。
日産化学工業「ラウンドアップ マックスロード」
稲刈りの25日後に使い、翌年の塊茎の生長を抑えられるのが、日産化学工業「ラウンドアップ マックスロード」です。水1Lに対して製品20mlを加えて散布します。
未使用の水田と比較した場合、塊茎の再生率を大幅に減らせるという調査結果もある除草剤です。
除草剤は葉が緑のうちに散布することで効果的に枯らせるため、気温が低くなると効果が出ない製品もあります。この製品は気温が低い秋にも、葉が緑なら十分な効果を発揮できるのが特徴です。
また雨に強いのもポイントといえます。散布してから1時間以上経過していれば、雨が降っても効果が落ちません。3年ほどを目安に連続で使うことにより、クログワイの防除をしやすくなります。
大成農材「サンフーロン」
リーズナブルな価格で十分な除草効果を得るには、ジェネリック農薬の大成農材「サンフーロン」が向いています。アミノ酸系の主成分が葉から雑草の内部へ入っていき、根まで行きわたって枯らす除草剤です。
急性毒性試験・慢性毒性試験(発がん性試験等)・薬効薬害試験・残留性試験といった厳しい審査をクリアしているため、使用上の注意を守れば安心して使えます。
クログワイには50倍希釈液を散布しましょう。水10lに「サンフーロン」200mlを加えて用います。風が弱い天気のいい日に雑草の葉がしっとりぬれるくらいの量を、ムラなく散布すればOKです。
クログワイとホタルイの違い
雑草の中にはよく似ていて区別するのが難しいものもあります。クログワイであれば、ホタルイと間違えてしまうことがあるでしょう。雑草の種類を間違えていると、効果的な除草剤を使用できないこともあるため、正しく見分けることが大切です。
塊茎と種子・芽生えで見分ける
まずポイントとなるのが塊茎か種子かという点です。塊茎から発芽するクログワイに対して、ホタルイは種子から芽が出ます。引き抜いたとき根に小さなイモのようなものが付いていれば、クログワイと判断可能です。
芽生えの状態も両者で異なります。クログワイは塊茎から出た茎が直立した状態で伸びますが、ホタルイは種子から出た葉が外側に向かって伸びます。
地際で見分ける
クログワイとホタルイは地際の状態でも見分けられます。どちらも地際には鞘葉(しょうよう)という葉や茎を包む部分があり、両者で形状が異なります。
鞘葉の違い
クログワイ |
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ホタルイ |
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クログワイの鞘葉は膜のような質感で縦じま模様が入っているのに対し、ホタルイは固くて先端がとがっています。
葉や茎の状態だけで見分けられない場合は、鞘葉を見ると区別しやすいでしょう。
食用としてのクログワイ
対策が大変な雑草として扱われているクログワイですが、地中に埋まっている塊茎は食用にもなります。どのように食べられているのでしょうか。
小塊茎は食べることができる
クログワイの小塊茎は食べられます。塊茎ができ株が増えていくクログワイは、秋になると地下茎の先に1cmほどの塊茎ができます。皮は黒いものの剥くと白く、食用にできる素材です。特に飢きんで食べ物が少ないときには、よく食べられていた歴史があります。
ゆでて三杯酢で味付けをするほか、生食でも食べることが可能です。
中華料理に用いられる
日本では日常的に食べられることはないクログワイですが、中華料理にはクログワイの栽培用変種が用いられます。原産地である揚子江周辺だけでなく、華中から東南アジアまで広い地域で栽培されているのです。
ナシのようなさくさくした食感が特徴の食材で、炒め物やあんかけなどに細かく刻んで入っています。
メイン食材として使われることは少ないですが、アクセントとしてさまざまな料理に使われているのです。
クログワイの防除には正しい知識が必要
地中に埋まった塊茎から発芽するクログワイは、寿命が長いため翌年も姿を現します。きれいに掘り出したはずでも、地中深くに埋まっていた塊茎から新たな株ができることもあるのです。
十分な防除ができないままだと稲の減収につながるため、適切な方法で防除しなければいけません。代表的なのは除草剤を散布する方法です。製品ごとに適切な量や時期があるので、確認した上で用いましょう。
また除草剤を使用しない場合は、乾燥と寒さで塊茎を枯死させることも可能です。秋に稲の収穫が終了してから、塊茎を掘り出します。
クログワイは一度対策したからといって根絶できるものではありません。適切な対策の継続的な実施で、徐々に減らせることを覚えておきましょう。
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