雑草対策で防草シートの処置をしようと考えたとき「シートを止めるピンはどんなものを選べばいいの?」と悩む方は多いのではないでしょうか。

防草シートの固定ピンには、大きく分けて6つの種類があります。適当に選ぶと、いざ処置をしようとしたときに失敗してしまうことも。それぞれの役割をしっかり理解し、目的にあったピンを必要数用意することが大切です。
ここでは防草シートを止めるピンの種類や選び方を、さまざまな角度で比較しながら紹介していきます。自分の目的に合うピンを見つけてくださいね。
シートのずれ・破け・めくれといったことがないように、しっかりと対策していきましょう。
防草シートの固定ピン6種類を比較!役割や強度を確認しよう
防草シートの固定ピンには、大きく分けて「鉄製ピン」「プラスチックピン」「釘」のタイプがあります。さらに細かく見ると6つの種類に分類されます。以下に一覧にして並べますので、まずは特徴やメリット・デメリットなどを見ていきましょう。
種類 | 特徴 | メリット | デメリット | |
鉄製ピン | 角型 | 最もスタンダード | ・打ち込みがしやすい
・止めたあとに凹凸ができない |
硬い地盤には不向き |
U字型 | ゆるやかな膨らみを持つ | 抜きやすい | 地中の石に当たり安い | |
L字型 | 差し込み部分が一本のみの形 | ・地面に打ち込みがしやすい
・石をよけやすい |
柔らかい地盤には不向き | |
プラスチックピン | 跳ね返りなし | 軽いうえに錆びない | ・地中に配管があっても使える
・安い |
・強度が低い
・長期の使用には向かない ・抜けやすい |
跳ね返りあり | ピンにトゲのようなもの(返し)がついている | ・地中に配管があっても使える ・抜けにくい |
・強度が低い
・長期の使用には向かない |
|
固定釘 | 一般的な釘とほぼ同じ見た目 | ・固い地盤でも問題なし
・打ち付けやすい |
柔らかい地盤には不向き |
【使いやすさ比較(打ち込みやすい順)】
固定釘>L字>角型≧プラスチック≧U字型
【費用比較(安い順)】
プラスチック>角型=U字型≧L字型>固定釘(商品・お店によって変動あり)
【固定力比較(強い順)】
角型≧U字型≧L字=固定釘>プラスチック
それぞれのピンの詳細を見ていきましょう。
角型固定ピン:地盤が柔らかめの場所におすすめ
最も多く使われている固定ピンです。商品名には「U字型」と書かれているものが多いですが、角ばっている(コの字型になっている)ものは角型と考えてOK。
強度が強く価格も安いというメリットがあります。配管が少なく、地盤の固さが普通~柔らかめの場所に打ち込む方は使いやすいでしょう。
U字型固定ピン:一時的な雑草対策におすすめ
角形のように角ばっておらず、ゆるやかに膨らんだ形をしています。
打ち込んだ後に抜きやすいという特徴があります。そのため「今は防草シートを使うけれど後で施工し直す可能性がある」というように、後でピンを抜くかもしれない方におすすめです。
U字になっているので、地中の石にぶつかりやすくなる点に注意が必要です。
L字型固定ピン:地盤が固く、石がたくさんある場所での使用におすすめ
地盤が固い場所に向いています。また固定ピンのロスを少なくしたい方は、L字型固定ピンが使いやすいです。
角型やU字ピンは地中にある石に当たれば曲がって使えなくなってしまいます。しかしL字型固定ピンは他の鉄製ピンより太く長く作られており、石に当たっても曲がりにくい仕様。さらに、引き抜けば角度を変えて再利用ができるので、シートに開けた穴の処理にも困りません。
プラスチックピン(跳ね返りあり/なし):配管が多い場所・一時的なピン留めにおすすめ
プラスチック製の固定ピンは、畑や配管が多い工事現場などでよく使われています。
プラスチック製であれば、万が一配管に打ち込んでしまっても傷を付けずに済むからです。ただし鉄製に比べて強度が落ちるため、配管が多い場所や農作期間だけに使用するのがおすすめです。
また、プラスチック製固定ピンは形が単純なので大量生産しやすく、費用があまりかからないという特徴があります。コストを重視したい方は、一度プラスチック製を検討してみるのも良いと思いますよ。
ちなみに、プラスチック製を購入するなら「跳ね返り有りタイプ」がおすすめです。ピンが地面から抜けにくくなるように、トゲのような物が付けられているタイプです。プラスチック製は土から抜けやすいというデメリットがあるので、できる限り跳ね返りがあるものを選びましょう。
固定釘:ピンでは歯が立たない固い地盤におすすめ
「地面が固く、固定ピンだとすぐに曲がったり折れたりしてしまう」というときには、固定釘を使うと打ち込みやすくなりますよ。基本的にはどんな固さでも対応できます。ただし、釘には以下のようなデメリットがあります。
- 柔らかい土地だとすぐに抜けてしまう
- 防草シートが破れやすくなってしまう
対策として、基本的には固い土地のみで使うこと。そして固定釘を使う際には、ワッシャーというアイテム(後述)を併用することで、防草シートの破れを防止できます。
ちなみに、固定釘には大頭釘(おおあたまくぎ)という種類のものがおすすめです。大頭釘は頭が平べったく大きな形をしているため、風に煽られてもシートが外れにくいというメリットがあるのです。
固定ピンだけでなく、ワッシャーで隙間をなくせるとより効果的
ワッシャーとは防草シートを押さえるための平らな円盤のようなもの。
防草シートの上にワッシャーを敷き、その上からピンを刺すことで、隙間ができるのを防ぎます。要はフタをするようなイメージですね。これにより、隙間から雑草が伸びてくるのが防止できます。
ワッシャーとピンは必ず一緒に使います。コストは高くなりますが、耐久性が著しく向上しますよ。ピンの隙間から雑草が伸びる可能性をなくしたい方は、利用してみましょう。
防草シートに使うワッシャーはゴム製が一般的です。
防草シート固定ピンの選び方
では、防草シート固定ピンの選び方を見ていきましょう。ピンを選ぶ時には、以下3つのポイントを確認してください。
- 地盤の質
- ピンの長さ
- 打ち込む間隔と本数
ポイント①:地盤の質を考える
まずはどの種類のピンを選ぶのかを決めます。各ピンの詳細でもお伝えした通り、どんな土地に打ち込むかによって、最適なピンが変わります。
- かなり固い地盤:固定釘+ワッシャー
- 固い地盤:L字型固定ピン
- 普通の地盤:角型固定ピン
- ゆるい地盤:U字型固定ピン
- 地中にガス管や水道管などがある:プラスチックピン(跳ね返りあり)
ポイント②:ピンの長さを考える
同じ種類の固定ピンでも、商品によっては長いものや短いものがあります。
ピンは長いほどに抜けにくくなり、シートをしっかりと押さえてくれます。しかし打ち込むときに不便なうえ、地中の石や配管などにぶつかってしまうリスクがあるので注意が必要。短いピンはその逆で、押さえる力は弱いが打ち込みやすいという特徴があります。
一般的には以下の長さのピンが使われます。
- 30cm:水道やガス管・石などがなさそうな場所で強度を優先したい方におすすめ
- 15cm:打ち込みやすさを重視する方、配管への影響が心配な方におすすめ
15cmのピンを使う場合は、打ち込む本数を多くして、強度の低さを補うのがおすすめです。
ポイント③:打ち込む間隔と必要本数を事前に確認しておく
「自分の場合は固定ピンが何本必要なのか」を事前に確認しておきましょう。
ピンは基本的に、25cm間隔か50cm間隔でシートに打ち込みます。間隔が狭ければ狭いほど確実にシートを止めることができます。しかしその分本数が必要になるため、費用が高くなりがちです。
以下は広さごとに必要なピンの本数(目安)です。こちらを参考にして、自分の処理する場所には何本の固定ピンが必要かを確認してみてください。
面積 | 25cm間隔の場合に必要な本数 | 50cm間隔の場合に必要な本数 |
1㎡ | 20本 | 7本 |
10㎡ | 207本 | 70本 |
20㎡ | 405本 | 125本 |
30㎡ | 586本 | 185本 |
40㎡ | 766本 | 240本 |
50㎡ | 947本 | 295本 |
60㎡ | 1127本 | 353本 |
70㎡ | 1307本 | 410本 |
80㎡ | 1488本 | 465本 |
90㎡ | 1668本 | 520本 |
100㎡ | 1849本 | 575本 |
間隔を広くすればするほど、シートがめくれてしまったり、隙間から雑草が出てきたりする可能性が高くなります。確実に雑草対策をしたいのであれば、やはり25cmの間隔がおすすめですよ。
コストが気になる方は、本数を少なくするのでなく、単価の安い固定ピンを選ぶという方法もあります。最初に比較したように、ピンをコストが低い順番に並べると以下のようになるのが一般的です。
(安い)プラスチック>角型=U字型≧L字型>固定釘(高い)
もちろん商品によって金額は変わりますので、売り場で最も安価な商品を探してみてくださいね。
ピンの本数を減らしたければ、防草シートを大きくするのもおすすめ
予算の問題でピンを多く用意できないという方もいますよね。そんな場合には、防草シートのサイズを大きくしてみましょう。その方がピンを多く購入するよりも安く済むケースがあります。
固定ピンの打ち方!防草シートを敷いてから固定するまでの手順を解説
防草シートを敷いてピンを打つまでの手順は以下の通りです。
- 地表の石をどけ、防草シートを敷く
- ハンマーで固定ピンを打ち込む(ワッシャーを使う場合、ワッシャーの上から打つ)
- ワッシャーを使わない場合はテープでピンの頭を固定する
- 全体を止め終わったら、シートの端っこの不要部分を切り取って処理する
防草シートは対策したい面積よりも少し大き目に切っておきましょう。全ての辺が+10cm長いくらいにしておくのがおすすめです。複数のシートを敷く場合には、シート同士の端を10cm程度重ねましょう。
ピン同士の間隔は50cmがギリギリ大丈夫な幅で、確実さを求めるなら25cm間隔です。工具は金槌や木製のハンマーなど、自宅にあるもので構いません。地中の配管を傷つけてしまう可能性がある場合は、思いっきり打ち込むことはせず軽めの力で作業するのがおすすめです。
ちなみに、防草シートの固定ピンは人工芝を土の上に敷くときにも使います。その場合も使い方やピンの間隔は同じです。
防草シートにピンが刺さらない場合の原因と対処法
防草シートにピンが刺さらない場合、地中にある石や配管に当たっているのかもしれません。無理に打ち込もうとするとピンが折れて破損したり、ガス管や水道管などを破ってしまったりする恐れがあります。いったん打ち込みをやめ、取り出しましょう。
対処法としては、
- 長いピンではなく短いピンで打ち込み直す
- 角度を斜めにして打ち込み直す
という方法があります。場所を変えて打ち込むときには、最初に開けたシートの穴をテープで塞いでおきましょう。
おすすめの固定ピンを紹介!
固定ピンは本当に種類が多い商品で、各メーカーによって少しずつ特徴も違います。ここではそれぞれのタイプごとに一押しの商品を紹介しますね。
角型ピン:グリーンアーツ株式会社「U型ピン」
先をとがらせてあり、刺しこみやすいピンです。シートを押さえる力が強いと人気。長さ15cmのピン50本入りが一番売れています。
U字型ピン:株式会社マツモト「黒丸付U型シート押えピン」
ワッシャーが付いているのでそのまま施工でき、強度を高くできますよ。15cmのピンが200本入っています。
L字型ピン:セーレン「グラスガードL字型ピン」
打ち込みやすく、太いため強度も完璧。しっかりとシートを止めたい方におすすめです。太さ9mm・長さ20cmのピンが200本入りで販売されています。
プラスチック製(跳ね返しなし)ピン:グリーンフィールド「プラピン」
短めのプラスチックピンが欲しいという方に人気の商品です。太さ2.5㎝・長さ11.5㎝のプラスチックピンが50本入っています。
プラスチック製(跳ね返しあり)ピン: ILOHA「防草シートピン」
プラスチック製の中でも抜けにくく頑丈というのがウリの商品です。長さ11㎝×100本セットが人気。打ち込み用のゴムハンマーとセットのものもありますよ。
防草シートのピンは別の何かで代用できる?
基本的には、防草シートの固定ピンは専用のものを使うのがおすすめです。別のもので代用すると上手くいかない可能性が高いからです。
しかし「狭い場所への施工だし、ホームセンターで販売されている固定ピンでは本数が多すぎる」といった場合には、100円ショップの固定ピンを使うのもOK。
大きな100円ショップでは園芸用品として扱われ、固定ピンは4本入りで100円!サイズは小さ目ですが、シートも販売されています。
「ピンの本数は少なくていい」という方は、利用してみてはいかがでしょうか。
なお、ホームセンターで販売されている「防草シート用テープ」や「防草シート用接着剤」は、固定ピンと併用して雑草対策をするアイテムです。固定ピンの代わりにはなりませんので、注意してくださいね。
ブロックや土嚢(どのう)で代用するのはおすすめしない!
固定ピンの代わりにブロックや土嚢(どのう)などを使おうと考える方もいるでしょう。しかし、これらは基本的にはおすすめしません。
ブロックを固定ピンの代わりに置く場合は、かなりの量が必要となり、見栄えがよくありません。間隔を開けて置けば隙間からタネが入り込んでしまう可能性も上がります。
また、土嚢を重石代わりにすることも避けた方が無難でしょう。土嚢から土が防草シートにこぼれてしまうと、そこから雑草が生える可能性があるからです。
そもそも雑草対策に防草シートは必要か否か
防草シートは雑草対策にかなり有効な方法です。長期的に雑草を予防したいのであれば、取り入れるのがおすすめですよ。
草刈りは体力的にも気力的にもつらいもの。そのため、一度やれば次からはもっと楽にやりたいと考える方も多いですよね。そこで防草シートです。除草剤も種類によっては予防効果がありますが、防草シートよりも効果は短期的。長期間草刈りをせずに済ませようとするなら、防草シートの方が適しています。
最も雑草の予防効果が高いのは、草刈りをして綺麗になった土地に防草シートを敷き詰め、固定ピンをたくさん打つこと。さらに防草シートの上に砂利を敷けば、長期間雑草に悩まされることはないでしょう。