人工芝を設置したいならば、正しい敷き方を知ることが大切です。
必要な道具や下地の整備の仕方、敷き方の手順まで紹介します。つなぎ目をなめらかにして自然な仕上がりにするコツもチェックしましょう。憧れの芝生のある庭をDIYできます。
鮮やかで見栄えのよい「人工芝」は、ペットや子どもがいる家庭に人気です。リモートワークの増加に伴い、近年は「自宅の庭やベランダに人工芝を敷いて快適なおうち時間を過ごしたい!」という人も増えています。
芝生との違いや人工芝を敷くメリットを考えてみましょう。
芝生との違い
「人工芝」は基布の上に草を模したパイルを貼り付けてできた人工物です。
材料にはポリエチレンやウレタンなどの合成樹脂が使われているため、水やり・施肥・除草は必要ありません。
好みの色が選べ、長さにムラがない上に、年間を通して青々とした緑が楽しめるのが天然芝との大きな違いでしょう。
パイルの長さや基布の大きさは選択が可能で、自分のイメージ通りの芝に仕上がりやすいのもメリットです。
ただ、天然芝は触り心地が柔らかいのに対し、人工芝には硬さがあります。草特有の香りや温もりが感じられない点は少し物足りないかもしれません。
人工芝を敷くメリット
人工芝のメリットは、手入れや管理が容易な点でしょう。天然芝は土壌づくりから始まり、施肥・植え付け・除草・目土など多くの作業が必要です。
美しい景観を保つには、普段からこまめに刈り込みをしなければならず、初心者には管理が難しいかもしれません。
人工芝も劣化しますが、購入から7~10年は施工時とほぼ変わらぬ外観を保ち続けます。
維持費がほとんどかからないため、「コストを抑えて芝を楽しみたい」という人にはぴったりでしょう。ほかにも下記のようなメリットがあります。
- 虫が発生しにくい
- 寝転んでも服が土や泥で汚れない
- 日当たりの悪い場所やベランダにも設置できる
- 雨や風で芝が傷まない
人工芝の種類
人工芝には「景観用(ガーデン用)」と「スポーツ用」があり、それぞれ用途が異なります。
景観用は「見た目の美しさ」や「施工のしやすさ」に特化しており、主に一般家庭のベランダや庭などに用いられることが多いでしょう。
一方、スポーツ用は「競技者の安全性」「パフォーマンス性」「耐久性」が重視されます。
用途によってパイルの長さや形状が選べるのも人工芝ならではです。
- クリンプ型(カール):クッション性が高い
- フラット型(I型):手触りが柔らかい
- ダイヤモンド型:弾力性・耐久性が高く、ボリューム感がある
- U型・C型:弾力性・柔軟性に優れる
- V型:直立し倒れにくい
- W型:弾力性・形状記憶性・耐久性に優れる
芝の上で子どもを遊ばせたい場合は「クッション性」や「柔軟性」に優れたタイプがおすすめです。
人工芝の施工費用
人工芝は維持費がほとんどかからないものの、初期費用は天然芝よりも高くなる傾向があります。DIYする場合と、業者に依頼した場合の施工費用を比較してみましょう。
人工芝DIYにかかる費用
人工芝DIYでは「材料費」がかかりますが、業者に依頼した場合の「施工費」が浮くと考えましょう。
購入が必要な材料は以下の通りです。
- 人工芝:1平米あたり500~5,000円程度
- 防草シート:1平米あたり200~600円程度
- 丸くぎ・U字ピン:数十円~(1本)
- 人工芝接続テープ・養生テープ:500円程度
人工芝には必要な分をカットできる「ロールタイプ」と、30×30cm程度の正方形をつなぎ合わせて使う「パネルタイプ」があります。
自宅の庭に敷くのであれば、継ぎ目が分かりにくいロールタイプがよいでしょう。物にもよりますが、ロールタイプの方が安価です。
価格はパイルの形状や密度などによっても変わるため、カタログや見本を確認しましょう。
業者に依頼した場合の費用
業者に依頼した場合「材料費」+「施工費」がかかります。人件費には以下の作業が含まれるのが一般的です。
- 除草
- 整地
- 防草シートの設置
- 人工芝の設置
- 芝目の調整
施工費は業者によって差がありますが、1平米あたり4,000円~が相場でしょう。これに材料費分が上乗せされます。
価格は「施工面積」や「土地の状態」によっても左右されます。
例えば、雑草が多かったり、天然芝がまばらに生えていたりすれば除草に労力がかかるため、料金は割高になるでしょう。
業者を選ぶ際は「相見積もり」を行うのが基本です。2~3社を比べることで、仕事が丁寧で、かつ良心的な価格の業者が見つかります。
施工が始まってから追加料金が出ないように、内訳もチェックしておきましょう。
必要な道具をそろえよう
DIYで人工芝を敷くなら、まずは必要な道具をそろえましょう。一通り道具を用意して作業を開始すれば、スムーズに人工芝を敷けます。
人工芝と防草シート
まず用意しなければいけないのは「人工芝」です。葉の長さや密度の異なるさまざまなタイプがあるため、好みに合ったものを選びましょう。
中にはクッション層を持った柔らかなものもあります。人工芝を敷く場所や用途に合わせて、適したものを用いることが大切です。
あわせて「防草シート」も用意します。人工芝のみでは地面に日光が届いてしまい、隙間から雑草が生える可能性があるため、光を遮る防草シートを下に敷いて雑草対策をするのです。
雑草の発生を抑えられて、きれいな状態を長期間キープしやすくなります。
人工芝のカットや固定に必要な道具
人工芝を敷くときには下の地面を整える必要があります。そのために「スコップ」を用意します。土を追加したり平らにならしたりするために必要です。
また人工芝はロール状で、敷く場所に合わせてカットし使うタイプがほとんどです。そのため切るときに使う「カッター」を用意しましょう。繰り返し使っていると切れ味が悪くなるため、替え刃も用意します。
カットした人工芝がずれないよう固定するための「U字ピン」や、打ち付けるときに使う「ハンマー」も必要です。加えて人工芝の葉を立たせるのに使う「デッキブラシ」や「竹ぼうき」があるときれいに仕上げられます。
人工芝を敷く前に行う整地の仕方
庭に人工芝を敷くときには、まず下地となる地面の整地が必要です。具体的にどのような手順で進めるのかをチェックしてから下地作りをしましょう。
雑草や石を取り除く
土に大小の石や植物の根がある場合は取り除きます。地面に凹凸を作るものの上に人工芝を敷くと、ぼこぼこした仕上がりで見た目が悪くなってしまうのです。
それに加えて取り除ききれていない雑草の根は、人工芝の下から雑草が生えてくる可能性も出てきます。地面をうまく踏み固められないと、凹凸により排水がうまくいかずに水がたまりやすくなります。
手間のかかる作業ですが、丁寧に整地することで仕上がりやその後の状態に差が出る部分でもあるので、きちんと行いましょう。
砂利も全て取り除く
人工芝を敷きたいと考えている場所に砂利がある場合には、全て取り除きましょう。砂利の上に人工芝を敷くと、下地がでこぼこしているため安定せず、隙間から砂利が出てくることも考えられます。
踏み固められた地面と比べて砂利は移動しやすいため、人工芝がたわむこともあるでしょう。地道な作業ですが、丁寧に取り除いていきます。
砂利を取り除くのが難しいなら埋め立てる方法もあります。ただし埋め立てには専門的な技術が必要なためDIYには向きません。業者へ依頼することで確実に埋め立て可能です。
平らにして固める
雑草や石などの障害物を除去したら、スコップで地面をならし平らにします。さらに足を使いしっかり踏み固めましょう。
転圧機やトンボなど専用の道具があると便利ですが、家庭の庭であれば道具がなくても整えられることがほとんどです。また狭い場所であれば、レンガを使い平らに固めていく方法もあります。
人工芝をきれいに敷きやすくするには、この段階で平らに仕上げることが大切です。凹凸が残っていると人工芝の沈み込みや、排水がうまくいかずに水たまりができる原因になるため、念入りに踏み固めましょう。
防草シートで雑草対策
整地した地面にじかに人工芝を敷くと、隙間から徐々に雑草が生えてくるかもしれません。せっかく人工芝を敷いたとしても、きれいな状態が長続きしないことがあるのです。そこで雑草対策として防草シートを敷く方法を紹介します。
防草シートを広げてU字ピンで固定する
防草シートは整地した地面に敷いて使います。複数枚のシートを使い敷く場合には、シート同士を10cm以上重ねると隙間ができにくく、光が入りにくいでしょう。ずれが気になる場合は、「防草シート専用のテープ」を使って重ねた部分を貼り合わせるのもおすすめです。
次に端から30〜50cm間隔でU字ピンを打ち込みます。メジャーなどを使いしっかり測って目安に印を付けることで、防草シートがずれるのを防ぎます。
最後に余った部分をカッターで切り離しましょう。防草シートを小さく切り過ぎないように少し大きめに切ってください。油性ペンなどでラインを引いておくと失敗せずに切れます。
防草シートは不織布を選ぼう
同じ防草シートでも「プラスチック系」「クロスシート」「不織布」といった素材ごとに特徴が異なります。強度で選ぶならプラスチック系、コスト重視ならクロスシートですが、人工芝と使うなら不織布がぴったりです。
不織布は繊維を織らずに作られる素材で、防草効果が高いという特徴があります。特に厚手のタイプであれば、スギナやチガヤなどの強力な雑草も抑えられる効果が期待できます。
比較的軽くカットしやすい素材のため、DIYで敷くときに扱いやすい点でも優れています。
人工芝の敷き方
防草シートを地面に敷き終えたら、その上に人工芝を敷きます。プラスチックの素材感やつなぎ目・U字ピンを目立たせないよう美しく仕上げるには、紹介するポイントを押さえて作業することが大切です。
人工芝を同じ向きにして広げる
人工芝は葉に向きがあるため、芝目をそろえて敷くときれいに仕上がります。向きがそろっていると複数枚の人工芝を合わせた場合でも、一体感があり広々とした印象に仕上がるのです。
人工芝の先端をよく見られる方へ向けるという方法もあります。ベランダや庭に出る窓から見ることが多いなら、その方向へ葉先を向けると緑色がきれいに見えるように敷けます。
そのためにも、向きをよく確認した上で広げることを意識しましょう。広げるときにロール状の人工芝が丸まりうまくできない場合、反対向きに丸めると広げやすくなります。
大きさを合わせてカットする
人工芝を敷く向きが決まったら、敷く場所に合わせてカッターで切りましょう。芝の生えていない裏側から切ると作業しやすくおすすめです。
縦向きに切るときにはミシン目をガイドにカットします。横向きは印になるものがないため、定規や角材を使うとまっすぐに切れるでしょう。あらかじめ油性ペンで線を引いておく方法もあります。
また1回できれいに切れる素材ではないため、2回・3回となぞって切り離すことが大切です。無理にカットするのではなく、切込みを入れて徐々に深くしていくと、うまくいきやすいでしょう。
つなぎ目を合わせる
複数枚の人工芝をつなぐときには、重ならないようにして間隔が空き過ぎないこと、つなぎ目がまっすぐになっていることを確認します。その上で人工芝の葉を保護するためつなぎ目に養生テープを貼ります。
養生テープは人工芝の裏面に半分の幅で貼り、そのままコの字のように表面に貼り付ければOKです。これで合わせるときに葉が邪魔になりません。
つなぎ目を合わせるときには、隙間を3mmほど空けるのがポイントです。重なると人工芝が盛り上がりうまく敷けません。適切な間隔でつなぎ目を合わせられたら、養生テープをはがします。
このままではつなぎ目がどこにあるかはっきり分かりますが、葉を立たせるようになじませると目立たなくなり一体感が出るのです。
人工芝を固定して完成
敷く位置が決まったら、U字ピンで固定します。人工芝の周りを30〜50cm間隔で、外周と平行になるように打ち込むのです。つなぎ目の部分は2枚の人工芝をまたぐようにU字ピンを打ち込み固定します。
ピンに葉を巻き込むと、その部分の葉が寝た状態になりピンが目立ってしまうため、巻き込んだ葉を出してなじませましょう。全体をピンで固定できたら完成です。
人工芝のつなぎ目のポイント
きれいに人工芝を敷くには、つなぎ目の処理がポイントです。つなぎ目が目立つ状態では、見た目にきれいではありませんし安全性にも問題が出る可能性があります。
どのような点に注意して固定すれば、つなぎ目を自然な状態にできるのか確認しましょう。
しっかり固定する
まずポイントとして挙げられるのは、しっかり固定することです。U字ピンで人工芝同士をつなぐように固定すれば、つなぎ目が気にならなくなります。
単にきれいに人工芝を敷けるだけでなく、安全に利用できる状態を整えられるのもポイントです。人工芝は端がはがれると転倒の原因になります。できるだけぴったりと合わさるように固定できれば、安全に利用できるのです。
葉が長い、量が多い人工芝を使う
人工芝そのものの選び方もポイントといえます。できるだけ葉が長く多い人工芝を用いると、つなぎ目のわずかな隙間やU字ピンが葉の中に隠れやすく、目立たなくなるのです。
葉が長く量も多い人工芝を購入するには、人工芝の専門業者が向いています。ホームセンターでは葉が短いタイプしかないこともあるため、よくチェックして向いているものを選ぶことが大切です。
また葉が長く量が多い人工芝は、クッション性が高まるというメリットもあるため、子どもやペットの遊び場に利用したいという場合にも向いています。
粘着テープをつなぎ目に貼る
U字ピンで固定する前に粘着テープを使うのも、つなぎ目をきれいに仕上げるためのポイントです。きっちり合わせてからピンを打ち込んでいても、作業中に徐々にずれることがあります。手早くきれいに仕上げるためにも粘着テープが使えます。
まずはつなぎ目がくる場所に粘着テープを粘着面が上になるように貼りましょう。2枚の芝のつなぎ目が粘着テープの中心になるよう人工芝を置きます。粘着テープを貼ると人工芝が浮いたりずれたりしにくいため、上手に固定しやすいのです。
人工芝用の両面テープも販売されていますので、使いやすい方を選んで用意しましょう。
人工芝を敷いた後に気を付けること
人工芝は敷いたら終わりというわけではありません。適切なお手入れや使い方をしなければ、汚くなり劣化も目立ち始めます。敷いた後の注意点をチェックし、きれいな人工芝を長くキープしましょう。
人工芝は定期的なメンテナンスが必要
比較的耐久性が高い人工芝は、10年近く使い続けられるものもあります。ただし何もせずに使っていると、汚れや劣化が目立ち始め、敷き始めた当初のようなきれいな緑は維持できません。
常にきれいな状態で使い続けるには、定期的な手入れが求められます。例えば人工芝にたまったごみは掃除が必要です。掃除にはデッキブラシやほうきを使ってもよいですが、日常的な掃除であれば掃除機を使いましょう。
汚れが気になるようであれば、水洗いをするとすっきりします。それでも落ちない汚れは中性洗剤を使用しましょう。さらに定期的にデッキブラシやほうきで掃くと、人工芝の葉が立ち上がり、見た目が良くなります。
重いものを長時間置かない
重いものを人工芝の上に置き続けないことも大切なポイントです。例えば人工芝にイス・テーブル・ベンチ・物置などを置いていると、特定の部分にのみ重みがかかり、そこだけ葉が寝てしまいます。
いつも家族が同じところを通っている場合にも、負担がかかる場所が偏るため芝が劣化しやすくなるでしょう。芝生が痛んで寝たり劣化したりするのを防ぐには、重いものを定期的に移動させることが大切です。
定期的に移動させるのが難しい場合、重いものは人工芝のない場所へ置きましょう。特定の場所にだけ負担がかかる状態を解消することで、より長く人工芝を使い続けられるのです。
人工芝をDIYで敷いてみよう
人工芝を敷くには適切な敷き方を知ることが大切です。下地の整地や雑草を防ぐための防草シートの設置も行いましょう。また人工芝を葉の向きを合わせたり、葉の先を意識したりすることで、見た目もきれいに人工芝を敷くことが可能です。
敷いた後のメンテナンスも大切なポイントとなってきます。ごみや汚れを掃除するだけでも人工芝の長持ちにつながります。寝てしまった人工芝は、定期的にブラシで立ち上げてあげましょう。メンテナンスをすることで、経年劣化を軽減できるのです。
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