ベランダに人工芝を敷く時には、ロールタイプとジョイントタイプ、それぞれの違いを理解し、より水はけのよいものを選ぶようにしましょう。メリット・デメリットを知り、おしゃれで快適なベランダを作るための方法を紹介します。
ベランダに人工芝を敷くメリット
ベランダの床がコンクリートのお宅は、意外と多いのではないでしょうか。無機質なコンクリートのベランダに人工芝を敷けば、自然に近い雰囲気を演出することができます。家にいながらグリーンを楽しめる、人工芝のメリットを紹介します。
<メリット>
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手軽にグリーンが楽しめる
人工芝がベランダによく用いられるのは、手軽だからではないでしょうか。手入れが大変な天然芝と異なり、どこにでも簡単に設置できるのは、大きなメリットといえます。
主に人工芝には、ロールタイプとジョイントタイプの二種類があります。ベランダに敷くために必要なサイズにカットしたり、組み合わせたりするだけで、作業は簡単です。人工ではありますが、気楽にグリーンを楽しむことができます。
在宅時間が長く、外に出る機会が多くない生活習慣の人にとって手軽に自然を感じ取れるという点で、人工芝は大変便利です。
素足で歩ける心地よさ
素足で歩くことができるのも、メリットのひとつでしょう。コンクリートのベランダの場合、固くて思わぬ事故につながったり、素足で歩けないほど太陽の熱で熱くなったりすることもあります。
しかし人工芝は地面が柔らかく、コンクリートに比べて転んだ時やつまずいた時に、大怪我になりにくいでしょう。人工芝の種類によっては、熱が留まりにくいものもあるので、素足で心地よく歩くことができます。
設置もお手入れも簡単
人工芝はお手入れも簡単です。汚れてしまっても掃き掃除で綺麗にできますし、掃除機をかけることもできます。天然芝だとそうはいきません。人工芝はとても管理が楽なアイテムです。
また設置する際も、場所に応じた形と大きさにカットし、後はテープで貼るだけと簡単です。天然芝と比べて時間も手間もかかりません。
虫が湧かない
自然を持ってくると、虫が湧いてしまうもの。特にゴキブリはそのまま家の中に侵入してくるため厄介です。
しかし人工芝ならば、適切に敷けば虫が湧くことがほとんどないでしょう。というのも人工芝は、
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という虫にとっては生存しにくい状況がそろっているからです。
ベランダで人工芝を整地するときは、水はけのよさだけ気を付ければ、湿気がたまらなくなり、虫が湧くことはほとんどなくなります。
ベランダに人工芝を敷くデメリット
人工芝のメリットは設置やお手入れが楽で、素足の心地よさも楽しめるという点でしょう。しかし一方で、ベランダに人工芝を敷く際のデメリットもあります。主に雨が降った時の水はけ、強風、そして暑い日の日差しが課題です。
<デメリット>
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水はけが悪いとカビが生える
人工芝のデメリットは、水はけが悪い場合、カビが生えてしまう恐れがあることです。
本来ならスムーズに排水されるはずのベランダの水が、人工芝の選び方を間違ってしまった場合、排水が鈍り、カビの原因となることがあります。そうなると臭いが発生したり、最悪の場合、健康面にも被害が出たりしてしまうことが考えられます。
風でめくれる・飛ばされることも
ベランダに人工芝を敷いた場合、ベランダの構造や敷き方によっては、人工芝が風でめくれたり、飛ばされたりすることがあります。
それを防ぐためには、ベランダの広さをしっかり測って、適したサイズの人工芝を買うことが大切です。また重量があるものの方が、なおよいでしょう。
どうしても該当する人工芝が見つからない時は、芝の上に物を置いて、風で飛ばされないよう固定するのも手です。ベランダには大抵エアコンの室外機が設置されているので、その下に人工芝を敷くなど対策しましょう。
夏の日差しに注意
人工芝には種類によって、熱を溜めやすいものと、溜めにくいものがあります。熱を溜めやすいものだと、素足で楽しむことは難しくなるでしょう。
天然芝の方が熱の吸収は緩やかですが、やはり手間がかかってしまいます。遮熱効果のある人工芝が販売されているので、そういった商品を選ぶことが対策となります。
ただし遮熱効果の高い人工芝は、通常のものより価格が高くなりがちです。ロールタイプで1m×10mサイズを例に挙げた場合、相場は1〜2万円ほどですが、高価なものは7〜8万円するケースもあるようです。
四季を感じられない
人工芝は天然芝とは異なり枯れることがありません。一年中鮮やかな緑色をしています。
本来芝は四季によって枯れたり少し色が薄くなったりしますが、人工芝はこのような季節感が見てとれません。そのため人工芝にはわざと枯葉色を混じらせ、より本物に近い色にした商品もあります。
庭に木々と人工芝を並べたら、秋や冬は枯葉が舞ったり葉の色がくすんできたりしますが、人工芝だけが年中青々としているのです。その光景は不自然さを感じる可能性もあります。
しかし一方できれいな緑色に囲まれフレッシュな見た目が続くという点は、庭の状況によってはメリットと感じる人もいるでしょう。
経年劣化が起きる
人工芝は時間が経つにつれ劣化していきます。逆に天然芝は丈夫な植物であるためしっかり手入れすれば長く保てるでしょう。
例えばポリエチレン製の人工芝は、約10年で買い替えが必要になるとされています。劣化すると葉が抜けてしまったり葉先が倒れて摩耗したりします。
人工芝を入れ替える際は新しい人工芝を購入し、敷きなおさないといけません。その場合は作業費や古い人工芝の撤去・処分費用などがかかります。
人工芝の上に物置など重いものを置いていると、それを移動する作業やスペースも必要になるでしょう。
費用面にも注意
天然芝の方が高級で費用が高いと思う人もいるでしょう。しかし現実は真逆であり人工芝の方が初期の導入費用はかかります。
人工芝を導入するコストにどのようなものがあるか見ていきましょう。
天然芝より初期費用がかかる
一般的に人工芝は天然芝よりも初期費用がかかります。例えば安価なマットタイプの天然芝であれば1平米あたり約1,000円のコストになりますが、人工芝は約5,000円以上かかってしまうのです。
さらに土地によっては地面を平にならす必要があるので、業者に整地してもらう費用がかかります。
下地は土壌によって平らに固まりにくい場合があります。そのような場所は素人が自力でならすのは難しくプロに任せる費用を割くのはおすすめできません。
人工芝をきれいに敷く作業も加えれば、初期費用はある程度かかることが必須です。
定期的な張り替え費用も
人工芝は商品グレードにもよりますが一般的に5~10年で張り替えが必要です。経年劣化で透水穴が詰まり、水はけが悪くなったり芝色が変色したりします。
バーベキューや花火をすれば火種で人工芝に穴が空く恐れがあるため、一般的にこれらのレジャーを芝の上でするのはおすすめできません。
張り替えは初期費用とほぼ同じ金額を必要とするので、その点も想定しておくことが必要です。
デメリットを解決する方法は?
実は人工芝のデメリットは対策を講じた商品を選ぶなど、ある程度は軽減できる手段があります。
人工芝のデメリットを緩和する方法を紹介します。
高機能な商品を選ぶ
人工芝は安価なものから高価なものまで、機能や好みにより豊富な種類があります。値段によって人工芝のデメリットを解決してくれる商品もあるのです。
例えばすぐに高温になってしまう点は、一般的な人工芝と比べて-10℃程度の遮熱効果を備えた人工芝を購入すれば軽減できるでしょう。
水はけが悪い点については、1本1本の芝が短く加工されていたり、排水する穴を広げていたりするタイプであれば、あまり問題はありません。
また耐久性に優れた人工芝を選択することで、劣化を遅らせることも可能です。痛みが出た場合もその部分だけカットして交換すれば、ほとんど見た目は変わりません。
複数の芝が混ざったタイプは自然
同じ色や形をした人工芝は見た目が青々しく鮮やかなのですが、見る人によっては人工ぽいと感じてしまうことがあるでしょう。
しかし鮮やかな緑から少し枯れた緑など、さまざまな色や形が混ざったタイプの人工芝は、見た目が限りなく天然芝に近いものです。
中には4種類もの異なるタイプの芝を織り混ぜて作られているものや、あえて枯草に似せた茶系の芝を含めた商品もあります。
ストレートの芝と縮れた芝を混ぜることで、よりリアルで人工的な感じを出さないよう工夫されている商品も近年では開発されています。
人工芝の下地も重要
人工芝は芝そのものだけでなく、下地が何でできているかということも重要です。下地により芝の見え方が変わり水はけの良し悪しが決まるともいわれます。
そこで人工芝を敷く下地について解説します。
水はけのよい土地が向いている
人工芝を敷く土地はなるべく水はけがよい場所にしましょう。これが悪いとカビや虫を大量発生させてしまう可能性があります。害虫であるゴキブリにとっても住みやすい環境になりかねません。
人工芝を敷く前に土地の質を考慮し、事前に整地しなければ、人工芝の寿命にも影響してしまいます。また水はけが悪く下地が柔らかいと敷いた人工芝がずれてしまうこともあります。
施工前に排水をどうするかについても、しっかり検討するのがおすすめです。
コンクリートはトラブル対策が必要
コンクリートを下地にするのは、基本的に避けた方がよいでしょう。そもそも水はけが悪く、コンクリートの質によっては水たまりができてしまい、カビが生える原因にもなりかねません。
どうしてもコンクリートを下地にする場合は、水はけのよい芝を採用したり防水加工された芝を選んだりしましょう。
コンクリートはある程度平になっているため、人工芝を敷く前の作業はほとんどが清掃です。しっかり汚れを拭き取りゴミが入らないようにします。
施工はプロに依頼がおすすめ
狭い範囲であれば自力で作業もできますが、広い庭や一軒家の庭であれば、プロに依頼した方がスムーズに見栄えよく仕上がるでしょう。
下地によっては雑草が生えている場合があり、そのまま人工芝を敷くと芝が盛り上がったり水はけの穴が雑草で詰まったりします。プロに依頼すれば根元までしっかり取り除いてくれるでしょう。
また人工芝のロールタイプは1~2m程度なので、広い土地では必ず継ぎ目が生まれます。これを自然な形に見せるには、実は知識と技術が必要です。
自宅の庭の状態により、広い面積を持つ場合や庭の整地からする必要がある場合は、自力ではなくプロに依頼することを検討しましょう。
ベランダの人工芝を快適に楽しむために
ベランダに人工芝を敷くには、メリットとデメリットがあることがわかりました。ここからは、どうすれば快適に人工芝を楽しむことができるのか、解説していきます。気になるのは、やはり費用面、そして水はけの問題でしょう。
気になる施工費用
人工芝を敷く作業を業者に依頼した場合、1平方メートルあたりの相場は、5,000〜6,000円ほどのようです。ただしこれは施工費用だけの価格ですので、実際はこの金額に、人工芝の値段も上乗せされます。
ベランダに人工芝を敷く時は、庭に比べて、範囲は限られているでしょう。そのため金額は、それほど気にしなくても問題ないと考えられます。しかし、より費用を抑えたい場合には、業者に頼まず、自力で人工芝を敷いてみてはいかがでしょうか。
業者に頼まなければ、当然、施工費用はかかりません。人工芝の購入費用と、固定するためのテープ代、砂代くらいでしょう。いずれも通常の広さのベランダであれば、1,000円前後で入手可能です。
水はけのよい人工芝の選び方
ベランダに敷く人工芝は、水はけのよいものを選ぶことが重要になります。
水はけのよいのはジョイントタイプと呼ばれる人工芝です。
人工芝にはジョイントタイプとロールタイプの二種類のタイプがあります。ここで両タイプを比較してみましょう。
特徴、つなぎ目、水はけ、価格、設置・管理
項目 \ タイプ名 | ジョイントタイプ | ロールタイプ |
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特徴 | 正方形をつなぎ合わせる | カーペットのように敷く |
つなぎ目 | 目立つ | 目立ちにくい |
水はけ | よい | あまりよくない |
価格 | 高い | 安い |
設置 | しやすい | 場合によってはプロに依頼 |
管理 | 張替えやすい | 傷んだところは直しにくい |
人工芝には主に、正方形の形をしたものを繋ぎ合わせていくジョイントタイプと、カーペットのように敷くロールタイプの2種類があります。ロールタイプの方が継ぎ目が少なく、より自然らしさが演出できるでしょう。
しかしロールタイプは、ジョイントタイプと比べると水はけがよくありません。ベランダに敷くのであれば、ジョイントタイプをおすすめします。
どうしても継ぎ目を目立たせたくないというのであれば、ロールタイプの人工芝とコンクリートの間に床マットを敷くのも手です。寝具のマットレスとシーツの間に使うベッドパッドをイメージすると、わかりやすいでしょう。
床マットは網目状になっていて、水はけをよくしてくれるジョイントタイプを敷くことで、人工芝の水はけ問題は解決することができるでしょう。小さめのベランダ向けなら、4,000〜5,000円ほどで購入可能です。
ベランダに人工芝を敷く方法
人工芝を快適に楽しむ方法が分かったところで、次は実際に人工芝をベランダに敷く方法を見ていきましょう。どのような道具が必要なのか、どういった手順で設置するのかを解説します。
【簡単な手順】
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必要なもの・下準備
【必要なもの】
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まずは準備段階として、人工芝を敷くベランダの広さを測りましょう。この時、メジャーなどの採寸道具が必要になります。
広さを測り終わったら、人工芝を敷く前にその場所の掃除をしておきます。掃除用具は通常のホウキやブラシなどで構いません。またロールタイプの人工芝を敷く場合は、テープも必要です。今後のために、跡が残りにくいものを選ぶとよいでしょう。
仮置き・設置
採寸と掃除を終えたら、次は仮置きです。ベランダの広さ・形状に合わせて、人工芝を調節します。どこでカットすればよいかの目印を、ペンなどで人工芝の裏面につけておくと、作業がしやすくなります。
そのようにしてサイズを調節して問題がないことを確認したら、いよいよ設置です。
設置の際は人工芝の向きを揃えるようにすると、見栄えがよくなります。設置前に芝の向きがどうなっているかしっかり確かめて、ちぐはぐな方向に置かないよう気をつけましょう。
床マットを使う場合は、人工芝を設置する前にベランダに敷いておきます。ジョイントタイプの人工芝なら、そのまま設置して構いません。
水はけのよいロールタイプの人工芝
人工芝をベランダに設置する際は、水はけのよさがポイントです。水はけに優れた商品が多いのはロールタイプよりもジョイントタイプですが、なかには水はけがよいロールタイムもあります。おすすめのロールタイプの人工芝を紹介しましょう。
コーナン商事「ガーデンターフ」
まずはコーナンの人工芝を紹介しましょう。密度の高い芝は耐久性に優れているため、頻繁にメンテナンスしてもへたりにくいという特徴があります。
水はけをよくするには通気性もさることながら、定期的なメンテナンスも重要です。劣化を気にせずメンテナンスができるというのは、大きなアドバンテージになるでしょう。
ロイヤル通販「透水タイプ 人工芝 ロールタイプ」
水はけのよいジョイントタイプの人工芝
続いてジョイントタイプの中でも、特に水はけがよいとされているものを紹介します。「継ぎ目は気にならないので、水はけ重視で」という方は、こちらの商品を参考にするとよいでしょう。
ぼん家具「ジョイント式マット 人工芝 20枚セット」
ニトリや100均でも簡単に買える
上で紹介した人工芝は、カインズなどのホームセンターで売っている場合が多いので、実際に自分の目で見てから購入することをおすすめします。
一方で、近くにホームセンターがない方は、100均やニトリでも人工芝が売っている場合がありますので、確認してみてもいいでしょう。
人工芝で快適なベランダ空間を
ベランダに人工芝を敷くことには、メリットもデメリットもあることがわかりました。人工芝の特徴を正しく理解して水はけのよいものを選べば、清潔感を保ったまま、家でも自然の雰囲気を感じることができるでしょう。
夏の日差しや強風への対策も視野に入れながら、無機質なベランダからの卒業を目指しましょう。