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女郎蜘蛛は駆除した方がいい?生態と特徴から知る対処法

最終更新日: 2021年01月22日

女郎蜘蛛は見た目の派手さや大きさから危険だと思ったり、不安を感じたりする人もいるでしょう。しかし遭遇する度に殺してしまうとかえって不都合になる可能性があります。ここでは女郎蜘蛛の生態や、家の中で見かけたときの対処法などを紹介します。

女郎蜘蛛ってどんなクモ?

蜘蛛の巣

女郎蜘蛛(ジョロウグモ)は、日本人であれば誰もが一度は見たことがある可能性があります。それほど身近なクモで、見た目だけでなく名前の印象も強いクモといえるのです。女郎蜘蛛の特徴や名前の由来を紹介します。

クモ目ジョロウグモ科に属する

女郎蜘蛛とはクモ目ジョロウグモ科に属するクモで、人家周辺から山間部まで日本のいたるところで見られます。夏から秋にかけて活発に活動し、あらゆる場所に大きな網を張って巣を形成します。

メスの腹部は黄色と暗めの青色のしま模様になっており、長い脚には黒地に黄色いラインが巻かれているのが特徴です。オスはメスよりも地味な色合いなのが特徴で、腹部は褐色がかった黄色に縦じまが入った姿をしています。

見た目はコガネグモに似ていますがコガネグモは巣にXの形をした白い帯を付けるので、巣を見ればすぐに見分けられるでしょう。

地域の文化によっては女郎蜘蛛を食用にすることもあります。採取しやすくクモの中でもおいしいといわれ、昆虫を食べる習慣のある人には人気のあるクモです。

名前の由来

「女郎蜘蛛」という名前の由来には諸説ありますが、ひとつは派手な見た目から「女郎」の名が付けられたという説です。大奥の女官の中でも高級に位置する「上臈(じょうろう)」が、由来ともいわれています。

どちらも女性の華やかな見た目やイメージから名付けられたとされており、女郎蜘蛛の風貌は昔から目立つものだったようです。

名前が江戸時代の風習に由来していることから、古くから存在し昔から日本人になじみの深いクモだと推測できるでしょう。

女郎蜘蛛の特徴

女郎蜘蛛

女郎蜘蛛には巣作りで使用する糸や捕食の仕方などに特徴があります。視力が弱いので交尾も壮絶なものです。簡単に女郎蜘蛛の生態や特徴を紹介します。

オスよりメスの方が大きい

女郎蜘蛛はオスよりもメスの方が大きいという特徴があります。オスの体長が6~13mmなのに対してメスは17~30mmにもなります。大きさが倍ほど違うので性別は見分けやすいでしょう。

生物の多くはオスの方がメスよりも体が大きくなる傾向があるので、少し珍しい生態といえるでしょう。見た目も多くの生き物とは逆でメスの方が華やかさが目立つため、女郎蜘蛛といえばメスの姿を連想される場合が多いようです。

女郎蜘蛛は妖怪「絡新婦(じょろうぐも)」のモデルにもされています。人間の女性に化けていることから、メスの方が人々の印象に残っているといえるでしょう。

糸は黄色

女郎蜘蛛が作る巣の糸は黄色です。見た目は白っぽく見えますが太陽光が当たると黄色が目立ち始めます。これは糸が酸化して黄色っぽく見えることが理由だといわれています。

巣を見れば女郎蜘蛛のものかは見分けやすいでしょう。見ただけで判断できない場合は、棒で巣を絡め取るとよく分かります。

糸の強度が強いため巣が壊れにくいのも特徴のひとつです。巣はとても大きく直径60cmにもなるので、網目模様がしっかりと見て取れるでしょう。

視力が弱い

女郎蜘蛛は視力があまりよくありません。そのため、オスがメスの巣に侵入してしまうと、餌と間違われて食べられてしまうことがあります。

オスが交尾のためメスに近づくときは、食べられる危険性があるので慎重に行動します。ほとんどの交尾は、メスの動きが止まっている時に行われるようです。メスが餌を食べている間か、体がほとんど動けない脱皮した直後が交尾のチャンスといわれます。

ひとつの巣にオスが複数いる場合はメスを巡って争うこともあります。負けた方はメスの網にかかり食べられてしまう危険性もあり、まさに女郎蜘蛛にとって交尾は命がけなのです。

オスはメスの放つフェロモンをたどり巣に入ります。交尾の後は別のオスが近づかないよう、巣に残りメスを守るのも女郎蜘蛛の交尾の特徴です。

微量の毒を持つ

女郎蜘蛛は毒々しい見た目のとおり微量の毒を持ちます。獲物を捕まえて捕食する際、まずこの毒を使って動けなくするのです。

捕獲した昆虫を毒でマヒさせた後は消化液を送り込み、体内を溶かしながらすすり食べます。

女郎蜘蛛の毒は相手をマヒさせる程度の効果しかないため、それほど強くはありません。餌となる昆虫には効果がありますが、人間に大きな影響は与えないためそこまで警戒する必要はありません。

ただしかまれると血が出るくらいの痛みはあるので、女郎蜘蛛を触る必要があるときには十分気を付けましょう。

女郎蜘蛛の生態系について知ろう

女郎蜘蛛

女郎蜘蛛の生態とはどのようなものなのでしょうか?活動時期や生息している土地、どのくらい生きられるのかを解説します。

日本での生息地

女郎蜘蛛は九州や四国の他に本州や南西諸島に生息しています。主に家の庭や雑木林に住んでおり、比較的簡単に見つけられます。

北海道以外のいたるところに生息しているため、ほとんどの地域でなじみのあるクモといえるでしょう。

生息している地域によって種類も異なります。例えば南西諸島に生息しているオオジョロウグモはとても大きく、手のひらのサイズほどもあります。

あまりに大きいと、通常サイズの女郎蜘蛛より恐怖を感じてしまう人もいるでしょう。ただし女郎蜘蛛は大きさによって毒性が変わるわけではないため、オオジョロウグモも過度に警戒する必要はありません。

活動時期

女郎蜘蛛の活動時期は9月から11月にかけた秋頃です。この間は活発に動き回り11月にはメスが産卵の時期を迎えます。紅葉の季節に観光で山間部に訪れた際などによく見かける人もいるでしょう。

女郎蜘蛛の卵は冬を卵のう(卵を包む固い袋状のもの)に包まれた状態で過ごし、春にふ化します。生まれた子クモの体は赤いのが特徴で、春から夏にかけて脱皮を7~8回繰り返しながら成虫になるのです。

活動時期から基本的に秋の虫と認識されていますが、夏でも見られることがあります。夏は脱皮を繰り返す時期のため、成熟した姿よりも小さく見えるかもしれません。

女郎蜘蛛は短命

女郎蜘蛛には寿命が短いという特徴があります。秋頃の産卵を経て寒さが増す12月頃には死んでしまいます。生涯を1年も経たないうちに終えるので、クモの中でも短命といえるでしょう。

特にオスは交尾の際メスに食べられてしまう可能性があるため、成虫になってすぐに命を落とすものもいます。

女郎蜘蛛は卵のうに囲まれていれば越冬できますが、成虫は冬を越せません。寒さに弱いことも寿命に影響しているため、人工的に暖かい場所で飼育されればもう少し長生きする場合もあるでしょう。

女郎蜘蛛の捕食と被食

女郎蜘蛛

女郎蜘蛛は作った巣に獲物を引っかけて捕食します。メスであれば時にはオスさえ食べてしまいますが、普段はどのような虫を食べて生活しているのでしょうか。女郎蜘蛛が捕食する虫と天敵を紹介します。

巣にかかった虫を食べる

女郎蜘蛛は自分が作った巣にかかった虫を食べます。これは、成虫だけでなく幼虫も同様です。捕食対象は小さな羽虫やチョウに加え、セミやトンボといった大型の虫も該当するため、驚く人も多いのではないでしょうか。

女郎蜘蛛の巣は細かい網目でできており、ハエなどの小さな虫でもしっかりキャッチできます。

捕食する際は最初に毒で弱らせます。自分より体の大きい昆虫でもこの毒を使えば動きを封じられてしまうのです。

毒を注入して動けなくした後は、糸でぐるぐる巻きにします。このように獲物を確保することで、自分のタイミングでじっくり捕食できるのです。

天敵は女郎蜘蛛より大きな生き物

女郎蜘蛛の天敵は、基本的に自分よりも大きな生き物になります。例えばスズメやカラスなどの鳥類には食べられてしまいます。

スズメバチに対しても自分より小さい個体は餌にできますが、女郎蜘蛛よりも大きい個体には食べられてしまうこともあるのです。

また、普段生活している巣の上から転落してしまうと、地上にいるは虫類にも狙われてしまいます。

地上ではカマキリやアリにも食べられてしまうため、女郎蜘蛛は巣から落ちないように気を付ける必要があります。

特にオスはメスを求めて渡り歩くので、天敵に注意しながらメスの巣に近づかないといけません。交尾のときに食べられるリスクを含め、オスはメスよりも命を落とす危険性が高いといえるでしょう。

女郎蜘蛛は駆除すべき?

女郎蜘蛛

微量の毒を持つ女郎蜘蛛は、見つけ次第駆除した方がよいのでしょうか。人にとって害虫になるかどうかを見ていきましょう。

女郎蜘蛛は益虫

女郎蜘蛛は触るとかみつかれる危険性はありますが、何もしなければ人に害を与えることはほとんどありません。むしろ害虫を食べてくれる益虫といわれています。

昔からクモは殺したら罰が当たるとされてきました。人の生活の中で役に立つものだと認識されてきたのです。

女郎蜘蛛を殺してしまうと、ハエや蚊などの害虫が多く発生してしまう可能性があります。餌になる害虫がいる場所だからこそ巣を作っていると認識しましょう。

適度に巣を取り払うだけでよい

女郎蜘蛛は益虫とはいえ、家中クモの巣だらけになってしまえば、見栄えがよくありません。大量に増えた巣に体が引っかかり、不快な思いをする人もいるでしょう。

女郎蜘蛛は駆除するまでもなく、巣を取り払うだけで簡単に対処できます。見た目が苦手で近づけない人は、遠くから長い木の棒で巣を巻き付けて取り払う方法がおすすめです。

巣を破っても女郎蜘蛛はほとんど同じ場所に再度巣を作ります。巣を壊すことで死なせてしまう心配はほぼありません。

見た目などの問題で同じ場所に巣を作って欲しくない場合は、巣を張らせないスプレーを散布しておきましょう。

益虫である女郎蜘蛛は大切に扱おう

蜘蛛の巣

女郎蜘蛛は見た目が派手で微量の毒を持っています。しかし、人間にはほとんど害はなくむしろ害虫を食べる益虫ともいわれています。

北海道を除く日本各地で見られ、家の庭先や雑木林など私たちの身近なところに生息する虫です。視力が弱いため、メスが間違ってオスを食べてしまうこともあります。

秋に入ると活発に行動しますが、短命であり一年足らずで寿命を迎える場合がほとんどです。そのためわざわざ駆除しなくても長生きはできません。

見かけた際は巣を取り払う程度で逃がし、益虫の恩恵を受けたほうがよいといえるでしょう。