折半(せっぱん)屋根は工場や倉庫等、様々な建物で使用されており、古くから使われている屋根です。
この記事では折半屋根塗装のタイミングなど基本的な情報から、費用相場、おすすめの塗料まで解説していきます。
折半屋根塗装をDIYで行う危険性についても触れているので、DIYを検討している方もぜひ参考にしてください。
そもそも折半屋根とは?
折半(せっぱん)屋根は、体育館や自転車置き場などの屋根に使われることが多い、特殊な形状の屋根です。金属板が、一定の間隔で台形の形にデコボコと連続しています。
おもにガルバリウム鋼板を使っているものが主流。より耐用年数が長いステンレスが用いられることもありますが、ガルバリウム鋼板よりも高価です。
防水性や防火性が高く費用も抑えられることから、工場やプレハブ、倉庫等にもよく使われています。
折半屋根の種類
折半屋根の取り付け方法には数種類あります。それぞれにメリットがあるため、用途によって使い分けられます。
取り付け方 | メリット |
はぜ締め |
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重ね |
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嵌合(かんごう) |
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二重葺き |
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わん曲加工 |
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どんな劣化症状がある?メンテナンスの時期は
もっとも一般的なガルバリウム鋼板を使っている折半屋根の寿命は、おおよそ20~30年とされています。
ちなみにトタンを使用した折半屋根の寿命は約15年、ステンレスの場合は約50年です。
耐用年数をまっとうするためには点検やメンテナンスが必要です。折半屋根は10~15年ほどを目安に点検し、塗装などのメンテナンスを検討しましょう。
- 赤錆、白錆
- 色あせ
- チョーキング
- 穴あき
上記がおもな劣化症状です。とくに錆については、屋根本体だけでなくボルトの錆に注意しましょう。
折半屋根につかうボルトが錆びると、穴が広がっていき、雨漏りの原因になります。塗装作業においても、ボルトの錆取りやボルトキャップの設置が要(かなめ)となります。
塗装ではなく葺き替え(ふきかえ)をする場合
もし折半屋根が耐久年数を超えているときや、すでに雨漏りしているとき、穴の数が多いときなどは屋根の葺き替え(ふきかえ/張り替え)のほうがよい可能性があります。
リフォーム対象の屋根がどのような状態なのか、まずはプロに診断してもらいましょう。
リフォーム方法と費用相場
折半屋根のリフォーム方法と単価相場
単価相場(㎡) | おもな劣化症状 | |
塗装 | 1,800~5,000円 |
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カバー工法 | 8,000〜13,000円 |
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葺き替え | 12,000~58,000円 |
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塗装は、比較的軽い劣化症状がみられたときに行います。メンテナンスの時期がきたら、色あせや錆に対処しましょう。
カバー工法は、折半屋根に穴あきや雨漏りなどの症状があるときに行います。一部分のみをに新しい屋根材をかぶせる方法です。
葺き替え(ふきかえ)は、激しい経年劣化や、穴あきの数が多いときに行います。今ある折半屋根を1度外す必要があるので、一時的に屋根がなくなることがデメリット。そのため、ほとんどの場合はカバー工法が使われるようです。
また折半屋根をリフォームする際には、別途「足場代」等の費用が必要になります。足場は工事費用全体のうち10~20%ほどを占めるので、同時に外壁塗装をするなどを検討してもよいかもしれません。
塗装材料ごとの単価相場
耐用年数 | 単価相場(㎡) | |
アクリル | 3~5年 | 1,400~1,600円 |
ウレタン | 8~10年 | 1,700~2,200円 |
シリコン | 10~15年 | 2,300~3,500円 |
フッ素 | 15~20年 | 3,800~4,800円 |
無機 | 20~25年 | 4,300~5,500円 |
上記はおもな塗料とその単価相場です。塗料にはそれぞれおおよその耐用年数、メリット・デメリットなどあります。
熱を吸収しやすい折半屋根ならば、遮熱性を高める塗料がベスト。「断熱中塗り材」等と併用すれば、より夏場の太陽からの熱や、冬場の冷気による影響を和らげることができます。
また金属屋根には雨や風による音が響きやすいという特徴もあるため、防音効果を併せ持つ塗料を選択するという選択肢も。
塗装には「下塗り」「中塗り・上塗り」があり2種類の塗料を用います。下塗り塗料には、錆止め効果のあるものを選びましょう。
折半屋根塗装の費用相場
折半屋根塗装の費用相場は使用する塗料などによって変わってきますが、約50坪の工場を想定して試算してみましょう。相場から計算した大体の見積もり金額は下記の通りです。
延べ床面積:約165㎡(塗替え面積:約273㎡/足場面積:約255㎡)
- 足場(800円/㎡)=204,000円
- シート養生(255㎡×450円/㎡)=114,750円
- 塗装(273㎡×3,600円/㎡)=982,800円
- 高圧洗浄・下地調整等約=100,000円
となり、小計は1,401550円。
ここに諸経費15%(約210,000円)と消費税10%(約161,000円)を加えて、合計1,772,550円ほど。
※使用する塗料は遮熱塗料のアレスクール2液Si (3,600円/㎡)で仮置きしています。またそのほかの計算は、単価相場から算出しています。
塗装する屋根の面積と係数
塗装面積=折半屋根の面積×塗装係数
折半屋根の塗装を行う際の見積もりに使われるのが屋根面積=折半屋根の面積×塗装係数という計算式です。
他の平らな屋根は、単純に面積を計算することができます。しかし折半屋根の場合は、台形型の凹凸の分も加えて面積を算出しなくてはいけません。
分かりやすくいえば、カーブの付いた屋根をまっすぐに引き延ばしたときの面積を計算するのです。
そこで必要になるのが「係数」。単純な縦×横の面積と、実際に塗装を施す面積との誤差を調節する為に設けられた基準値です。
係数を用いた塗装面積の算出
上記の図のような建物で折半屋根が使われていると仮定して、実際に塗装面積を出してみましょう。
一般的な折半屋根によく使われているのは、88タイプ(台形部分の高さが88mm)と、150タイプ(台形部分の高さが150mm)です。
それぞれの係数は以下です。
- 88タイプの係数:1.4
- 150タイプの係数:1.7
まずa²+b²=c²(三平方の定理)を用いて、cの部分(斜面の長さ)を求めます。図の例だと3²+2²=約3.6。
次に屋根幅(図ではcの奥行に当たる部分)×係数で、横幅の長さが割り出せます。仮に奥行の長さが8m、折半屋根が150タイプだとすると8m×1.7=13.6。
最後に3.6(斜面の長さ)×13.6(奥行の長さ)×2面=97.9㎡のように計算することで、おおよその塗装面積がでてきます。
※実際に塗装面積を計算するときにはメジャーを使った現地調査などを行う必要があるので、あくまでも参考程度にしてください。
折半屋根の塗装手順
塗装においては、ひとつひとつの工程が塗装の耐久性や折半屋根の寿命に関わってきます。
ここからはそれぞれの作業の意味や、工程の流れについて具体的に解説していきたいと思います。大まかには以下のような流れで進行します。
- 高圧洗浄
- ケレン
- 下塗り
- 中塗り・上塗り
- ボトルキャップ設置
ちなみにこれらの作業の前に、足場の組立てや飛散防止シートの設置などを行います。
1.高圧洗浄
まずは洗浄作業から始まります。「ただ綺麗にするだけ」と侮ってはいけません。事前に汚れや塗膜の剥がれを落とすことで、塗料の密着性が上がるのです。
綺麗な仕上がりのためには必要不可欠な作業と言えます。
2.ケレン
折半屋根そのものが金属製なうえ、固定するために使用されるアンカーボルトやナットも金属で出来ています。
雨などで錆びている場合には、丁寧なケレンと防錆処理を行うことが重要です。
屋根自体はもちろんですが、とくにアンカーボルトやナットの部分の錆は雨漏りにつながりやすいので要チェック。折半屋根の塗装において最も重要と言っても過言ではありません。
3.下塗り
塗装作業は、下塗り、中塗り、上塗りの3回行うのが基本です。
折半屋根の場合は、下塗りには錆止め効果のある塗料を選びましょう。
ケレン作業の工程でも触れた通り、金属屋根にとっては錆が命取りです。こちらもアンカーボルトやナットまでしっかり防錆塗装を施しましょう。
4.中塗り・上塗り
下塗りが完全に乾いたあとは、仕上げに移ります。
仕上げ塗料を使って、中塗り、上塗りという2回の工程に分けて行います。
耐久性に優れた塗料を使うのがポイントです。折半屋根は熱を集めやすい特性があるので、遮熱効果や断熱効果があるのかどうかも確認しておきましょう。
5.ボトルキャップの設置
ここで忘れてはならないのが、アンカーボルトにボルトキャップを被せることです!
アンカーボルトやナット部分の錆は、穴あきなどのダメージにつながりやすいもの。しかし重ねタイプの折半屋根ではボルトやナットがむき出しのため、錆を起こしやすいのです
錆防止のため、業者に依頼する際には必ずボルトキャップの取り付けをお願いしましょう。ボルト部分の耐久性を上げることで、屋根全体の寿命を延ばすことができます。
折半屋根塗装のDIYは高難度!注意点を紹介
1.高所作業なので落下する危険が高い
屋根や外壁の塗装全般に共通することですが、高所での作業になるため大変危険です。
屋外の足場を利用した作業では落下だけでなく、電柱などへの接触によって感電も起こり得ます。
日ごろから高所作業をしているプロでさえ、事故を起こす事例は毎年絶えません。
また塗料による中毒症状の事例もあるので、折半屋根の塗装はプロに任せるのが賢明だと言えるでしょう。
2.折半屋根は非常に高温
折半屋根は金属製なので、太陽から受ける熱を吸収しやすいのが特徴です。
とくに天気の良い春から夏の間はとても高温になり、真夏日や猛暑日の屋根の表面温度は60~80度前後になるといわれています。
あわせて熱中症などのリスクも高くなるので、十分な対策と注意が必要です。
3.重労働かつ細かい作業
折半屋根の下地調整として行うケレン作業は、表面の汚れや付着物を除きます。
硬くなった錆を根気よく落とすのには体力的にもつらい作業で、またボルトやナットの部分には細やかな丁寧さも必要になってきます。
また塗装する際にも、素人が行うことで塗りムラなどが生まれやすく、すぐに劣化してしまう可能性も。
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今回は折半屋根について、基本的な特徴から種類、そして塗装の費用相場や手順などを詳しく解説してきました。
外壁や屋根は定期的なメンテナンスをすることで寿命を延ばすことができます。とくに折半屋根のような金属製のものは錆などが発生しやすいため注意が必要です。
しかし今回紹介したように、DIYで折半屋根の塗装を行うのは危険かつ難易度が高いものです。
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