ヤブガラシは山林だけでなく民家の庭や駐車場など、身近な場所に生える雑草です。成長が早く広範囲に生い茂ってしまうと駆除が難しいため、早めに対処しなければなりません。ヤブガラシの基本情報や、駆除の方法を紹介します。
ヤブガラシを駆除する方法は?
ヤブガラシを駆除する方法は「除草剤を散布する」「手作業で根から徹底的に抜く」「つるを巻いて枯らす」の主に3つの方法です。詳しくは記事内で解説しています。
ヤブガラシを駆除する理由は?
ヤブガラシは繁殖力が強いことに加え、他の植物を枯らしてしまったり、スズメバチが集まってきたりということがあるため、早めに駆除する必要があります。
ヤブガラシの特徴
ヤブガラシは、いったん生えてくると駆除しにくいことで知られます。抜いても抜いても生えてきて、フェンスや壁を覆い尽くす雑草があったら、ヤブガラシかもしれません。どんな特徴があるのか見ていきましょう。
つる性の多年草
ヤブガラシはブドウ科に属する植物で、葉の付け根から巻きヒゲを伸ばします。フェンスや壁面などにつるを巻きつけながら繁殖していく、つる性の多年草です。
放っておくと、つるの長さは2~3mにもなり、周辺にあるものに手当たり次第に絡み付くでしょう。葉は5枚から成る複葉で「ブドウの葉」に似た形状をしていることが特徴です。
6~8月頃に花を咲かせ、花後は黒く熟す実を付けますが、アクが強くて生食には向いていません。地域によって結実するものもあれば、そうでないものもあり、東日本では実がならない株が大半を占めます。
別名は「ビンボウカズラ」
ヤブガラシは漢字で「藪枯」と書き、名前は「藪を枯らしてしまうほど繁殖すること」に由来します。美観を損ねるため、雑草として駆除対象となっていることが珍しくありません。
家が貧しく、手入れをする時間がない庭で繁茂することから「ビンボウカズラ」「ビンボウグサ」「ビンボウヅル」などの別名があります。これらの別名を聞いて、よい印象を受ける人はまずいないでしょう。
他にもヤブガラシが繁殖すると畑や山の植物を枯らし、家が貧乏になってしまうからビンボウカズラと呼ばれるようになったという説があります。
身近な場所で見られる
生命力が強く、山林・畑・空地など、さまざまな場所に自生します。庭や道路脇などの、身近な場所に生えている様子を目にすることも多いでしょう。
フェンスや樹木などにつるが巻きついて、何度取り除いても生えてくるので、対処法に困ってしまう人は少なくありません。
本州だけでなく、四国・北海道・沖縄など日本の至る所に生えており、日本以外では東アジアや東南アジアにも分布しています。
ヤブガラシは厄介な雑草
ヤブガラシは繁殖を許したくない雑草ですが、生え始めの段階では、繁殖後の被害をうまく想像できないことがあります。どんなところが厄介なのか見ていきましょう。
非常に繁殖力が強い
ヤブガラシは繁殖力が強く、小まめに除去してもすぐにまた生えてきます。茎の成長が早く、切ってもすぐに生えてきてしまうのです。
ときには隣家とのフェンスを越えて侵入してくることもあります。強健な性質を持っているため、根が土の中に残っている限りまた繁殖するのです。
「地下茎」と「つる」の両方を使って増えていく性質を持ち、つるだけを切除してもすぐに再生してしまいます。
自然に枯れることは少なく除草剤の効果も出づらいため、一度繁殖を許してしまうと厄介な存在です。
他の植物を枯らしてしまうことも
ヤブガラシが生えると庭や畑の美観を損ねるだけではなく、他の植物に巻きついて枯らしてしまいます。植物を覆うように茂るので、日光が届かなくなって枯れてしまうのです。
被害は地上だけでなく地下にも及んでおり、地下茎が植物の根に絡み付いて健康的な成長を邪魔します。絡み付かれた植物は根から養分を吸収できなくなり、弱ってしまうでしょう。
放置しておくと、あっという間にヤブガラシに覆われて、他の植物がいなくなってしまいます。畑では作物が育たなくなり致命的な打撃を受けてしまうことがあるため、株が小さいうちに対処しましょう。
スズメバチが集まる
スズメバチは大型で攻撃的な性格をしており、人間を刺すこともある昆虫です。スズメバチが飛び回っていると、恐怖を感じる人は多いでしょう。
ヤブガラシはたくさんの小さな花を密集して咲かせ、蜜を出して多くの昆虫を集めます。
花が開くと中央部分が表面に出て蜜を吸いやすい形状になるため、さまざまな昆虫が集まりやすくなるのです。スズメバチも他の昆虫と同様に、蜜を採取しにやって来るでしょう。
スズメバチの成虫は幼虫に与えるために、他の昆虫をエサとして狙っています。蜜だけでなく花に集まる昆虫を目当てに、スズメバチが集まってしまうことが心配です。
近付き過ぎなければ襲ってくることはありませんが、ヤブガラシの駆除をする際は十分に注意しましょう。
ヤブガラシの駆除方法
ヤブガラシの厄介さが分かって、早く何とかしたいと思う人は多いでしょう。しかし間違った方法で駆除していては、なかなか数が減りません。どうやって除草すればよいのか見ていきましょう。
除草剤を散布する
除草剤を散布すると薬剤の働きで植物を枯らせます。「粒剤」や「液体」などさまざまなタイプがありますが、効果を上げるにはそれぞれのタイプを上手に使い分けましょう。
ヤブガラシが生えている場所や生え方によって、選ぶ種類や散布方法を変える必要があります。
例えば雑草の生え始めに使用するなら、効き目が持続しやすい粒剤タイプがおすすめです。地面にまくと成分が地面に溶け出して、雑草の発生を抑えてくれます。
液体タイプは雑草に直接かけて使用します。シャワータイプやスプレータイプがあり、除草成分が土に吸収されないタイプを選べば、枯らしたくない植物が生えている場所でも使えるでしょう。
手作業で根から徹底的に抜く
ペットや他の植物への影響を考え、除草剤を使用できない場合は手作業で1本ずつ対処します。
ヤブガラシを駆除するとき、地上部を刈り取っただけでは不十分です。根が残っていると再生することがあるので、根ごと引き抜きましょう。
大きく育ったヤブガラシの根は土の深くまで伸びています。地上部をつかんで引き抜いても、土の中に根が残ってしまうことがあるでしょう。
一気に引き抜くよりも、根がちぎれないようにゆっくりと力を加えることをおすすめします。「草取りフォーク」や「雑草抜き」などのツールがあると、作業しやすいです。
ヤブガラシが生えている量にもよりますが、手作業で駆除する場合は時間がかかります。熱中症を防ぐため、日除けの帽子や作業中の水分補給も小まめにしましょう。
つるを巻いて枯らす
除草剤の使用や手作業での駆除をしたくない人におすすめな方法が、つるを切らずに植物やフェンスから引きはがす方法です。引きはがしたつるは「巻き取った状態」で何もない地面に置いておきましょう。
複雑に絡み付いている場合、切らずにはがすことは大変な作業ですが、巻き取った状態で放置すると徐々に枯れていきます。即効性はないものの、根を引き抜いたり除草剤をまいたりする手間がないところが魅力です。
つる性の植物は「絡み付くものがない場所」では、勢いよく成長できません。この性質を利用すれば、ヤブガラシを弱らせることができるのです。
除草剤の選び方と使用法
園芸コーナーへ行くとたくさんの除草剤があるため、どれを選んだら効果が出るのか、迷ってしまうことがあります。間違ったアイテムを選んでしまうと、思ったような効果が出ません。
除草剤の選び方や使用法をチェックしましょう。
根を枯らすタイプを選ぶ
ヤブガラシは地上部がなくなっただけでは枯れず、地表から浅い場所に根や地下茎が残っていると、再生してしまいます。
ほんの数cm残しただけでも、芽を出すことがあるほど強健です。除草剤を選ぶときは、根ごと枯らせるタイプを選びましょう。
さまざまなタイプの除草剤がありますが、他の植物を植えていない環境なら、薬剤を地面に染み込ませて根を枯らすタイプをおすすめします。
成長し切っていると効果が出にくいので、地上部を刈り取った後「早めにまくこと」がポイントです。
株ごと引き抜いた後に根に効くタイプを使用すると、地中に残った根も駆除できます。除草剤は商品によって使い方が異なるので、それぞれの特徴を押さえたうえで使いましょう。
葉や茎に直接散布
ヤブガラシだけを駆除したい場合、株に直接かけられる液体タイプの除草剤が便利です。地面に染み込んで作用しないタイプなら、狙った植物だけにダメージを与えられます。
「スプレータイプ」や「シャワータイプ」の除草剤を、全ての葉や茎に浸透するように狙ってかけましょう。薬剤がヤブガラシの内部に浸透すると、光合成や栄養の吸収を阻害して枯らせます。
除草剤を浴びずに残っている部分があると再生してしまうことがあるので、かけ残しをなくすことがポイントです。大きな株の場合は、切り取って小さくしてからかけましょう。
風のない日を選ぶ
風がある日に除草剤を噴射すると、狙った場所にうまくかかりません。薬剤が風で散ってしまうと十分な量が浸透せず、枯れずに残った部分から芽を出して、繁殖することがあります。
薬剤が散って、他の植物にダメージを与えてしまうことも心配です。体に付着すると体調を崩してしまうこともあるので、風がない日を選んで除草剤をまきましょう。
また雨が降る前日も除草剤の使用には向いていません。植物に薬剤をまぶして枯らせるタイプの場合、雨と一緒に成分が流れてしまい、思ったような効果が出ないことがあるでしょう。
効果を出すには「よく晴れて風のない日」に、除草作業をすることをおすすめします。
ヤブガラシの繁殖を防ぐ方法
ヤブガラシは生えてから除草するよりも、生えてこられない環境を整えることがおすすめです。繁殖を防ぐ方法を見ていきましょう。
防草シートを敷く
雑草が生える理由は、成長する環境が整っているからです。防草シートを利用すると地面をシートで覆って光を遮り、雑草が生えない環境を作れます。
生えてほしくない場所に対して隙間ができないように、まんべんなく覆うことがポイントです。少しでも隙間があると、そこを狙って雑草が生えてくるでしょう。
防草シートはポリエステルなどでできており、はさみで切って使えます。庭や花壇の形に合わせて切り抜き、ピンや石などを使って地面に固定しましょう。
耐用年数は商品によって異なりますが、4~7年ほどです。紫外線による劣化もあり、破れたら効果がなくなってしまうため、劣化が目立つようになる前に取り替えましょう。
砂利を敷く
防草シートは化学繊維でできているので、地面に敷いただけでは「無機質な印象」になってしまうでしょう。上から砂利を敷くと見栄えがよくなり、重みで防草シートが浮き上がるのを抑えてくれます。
砂利だけでは、どこかから飛んできた雑草の種が、石と石の隙間に入り込んで芽吹くことがあり、効果は薄いです。防草シートと砂利を併用して、ヤブガラシの繁殖を防ぎましょう。
土を小まめに耕し発芽を防ぐ
農機具を使用して土をよく耕した場所では、ヤブガラシが生えづらいことが分かっています。同じ農地でも土を耕すことがない果樹園などは、ヤブガラシが発生することがあるのです。
地面を深く掘り起こし土の天地を入れ替えるような環境では、地中に根が残っていても再生しづらいと考えられます。土をよく耕して地表から深い場所に根を埋めてしまえば、生えてきづらくなるでしょう。
ただし、少なくとも「25cm以上」は埋めてしまわなければならないため、深く耕すことが難しい場合は、他の駆除方法がおすすめです。
完全な駆除は困難
ヤブガラシは繁殖力が強く、いったんはびこってしまうと完全に駆除することは難しいです。手に負えないと感じた場合、どうすればよいのでしょう。
わずかに残った根から芽を出す
ヤブガラシが生えていた場所から土を持ってきて植物を育てていると、わずかな根がまた伸び始めます。土の中に種や根が残っていると、再び旺盛に茂り始めるでしょう。
手作業で1本ずつ引き抜き除草剤を使用しても、土の中に根がわずかに残っているだけで再び芽を出し、成長します。
地上部が枯れたように見えても地中に根のかけらが残っている場合が多く、広範囲に茂っている場合、わずかな根も残さずに駆除することは難しいです。
困ったら業者に相談を
ヤブガラシは生命力が強く成長が早いので、気付いたときはすでに「手に負えない状態」になっていることが珍しくありません。
広範囲に広がっていると、個人では一度に除草することが難しく、途方に暮れてしまうこともあります。切ったそばから生えてくるため、きりがないと感じる場合もあるでしょう。
自己流で駆除しても次から次へと生えてきて困っている場合には、他の植物が深刻なダメージを受ける前に、業者に依頼して駆除してもらうことがおすすめです。除草だけでなく、予防にも力を貸してくれるでしょう。
ヤブガラシの駆除は徹底的に
ヤブガラシは繁殖力が強く、フェンスや他の植物に絡み付きながら増えていきます。駆除方法は除草剤の使用や、根ごと引き抜くことなどですが、いずれも初期段階で対処しないと完璧に除草することは難しいでしょう。
広範囲に茂ってしまえば、手に負えなくなることも時間の問題です。地中に残ったわずかな根から再び発芽してしまうため、早い段階で徹底的に駆除しなければなりません。
茂ってから対処するのは難しいため、予防に力を入れることが重要です。駆除した後は生えてこないように防草シートや砂利を敷いて防ぎましょう。
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