多くの企業で行われている申請・承認・決裁といった一連の手続き。このようなワークフローを紙で運用していると、申請書類の作成にかかる無駄な時間、ミスや遅延の発生、そして申請書類の保管コストなど、さまざまな課題が発生します。
ワークフローシステムなら、忙しい業務の中で紙ベースのワークフローに振り回されることなく、これらの課題を一気に解決できます。この記事では、ワークフローシステムのメリットや機能、具体的な改善例について、わかりやすく解説します。
【10秒でわかる!ワークフローシステムとは何か簡単に要約】
- ワークフローシステムは稟議や経費精算など、複数人に関わる業務の流れを電子化できるシステム
- 紙やハンコを使ったアナログ業務の無駄がなくなり、申請や書類作成のストレスから解放される
- 申請フォームの作成や承認ルートの設計も、ワークフローシステム上で行える
ワークフローシステムとは
![ワークフローシステムの仕組みをあらわす図解](https://meetsmore.imgix.net/wp/2024/06/Illustration-of-how-a-workflow-system-works._mm.png?auto=compress%2Cformat&fit=scale&h=338&ixlib=php-1.2.1&w=600&wpsize=large)
ワークフローシステムとは、組織内で行われる業務手続きの流れを電子化できるソフトウェアのことです。申請フォームの作成や承認ルートの設定、承認・決裁などの機能を搭載しており、パソコンやスマホから操作できます。
稟議や経費精算、見積書のチェックなど、これまで紙ベースで行っていた業務の電子化によって、意思決定のスピードアップや業務効率化が実現します。ほかにもペーパーレスの促進や内部統制の強化といった効果も期待できます。
そもそもワークフローとは
ワークフローとは、仕事における一連の流れのことを指します。たとえば経費申請における申請から承認、決裁までの流れや、作業における開始から完了までの各ステップが含まれます。
ワークフローの目的は業務プロセスを標準化して、効率化する点にあります。各ステップが誰によって、いつ、どのように実行されるのかを定義しておくことで業務がスムーズに進行し、漏れや重複を防ぐことができます。
ワークフローシステムを適用できる業務の例
ワークフローシステムは申請書類を利用する業務を中心に、さまざまな業務で活用可能です。
〈ワークフローシステムを適用できる業務の例〉
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作業の依頼や確認、承認や報告といった各プロセスをワークフローシステム上で実施できるので、業務を標準化したうえで各部署・各役割の従業員と連携を取ることが可能です。
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ワークフローシステムのメリット
ワークフローシステムの導入には、以下のようなメリットがあります。
- 申請・承認の手間削減
- 決裁までのスピード向上
- ワークフローにおけるミス削減
- 内部統制の強化
- データに基づく意思決定の推進
- 申請書のペーパーレスが実現
紙とワークフローシステムそれぞれの運用方法を図解で比較しながら、ワークフローシステムのメリットを解説します。
申請・承認の手間削減
ワークフローシステムを導入すると、申請や承認の手間を大きく削減できます。
従来の紙やメールをベースにした申請・承認プロセスは手間がかかり、多くの時間も必要です。ワークフローシステムなら、申請書のテンプレートをシステム上で事前に設定し、必要な情報を入力するだけで簡単に申請できるようになります。承認者もシステム上で申請内容をひと目で確認して、ボタンひとつで承認できます。
また仮に拠点をまたいでの申請や承認が必要になる場合でも、申請書の印刷や郵送は必要ありません。システムに設定された承認ルートを通じて、申請内容に合った承認者のもとへ自動でリレーされていきます。仮に承認が通らず差し戻しがあっても、システムを通じて完結します。
決裁までのスピード向上
ワークフローシステムを活用すれば決裁までのスピードが向上して、より迅速な意思決定ができるようになります。
もしも承認者が外出や出張、休暇で不在の場合、紙ベースでのワークフローでは申請から決裁までの流れが止まってしまいます。また承認者が複数人いる場合、関連部署の承認を得るのに数日間かかってしまって、プロジェクトの開始が遅延する可能性も否めません。
ワークフローシステムなら、申請から承認、そして決裁までのフローがデジタル化され、情報がリアルタイムで共有されます。そのため承認者がインターネットに接続できる環境でさえあれば、パソコンやスマホからいつでもどこでも承認操作を即時行うことが可能です。
ワークフローにおけるミス削減
ワークフローシステムの導入は、申請から承認、決裁や保管までの各プロセスにおけるミス削減にもつながります。
たとえば経費精算を手作業で進める場合、記載ミスや計算ミスで精算額の不整合が発生する可能性があります。しかしワークフローシステムであれば、入力項目をあらかじめ設定したり、金額の自動計算を行ったりすることが可能です。
手作業では避けづらいヒューマンエラーを未然に防止して、より正確な意思決定ができるようになります。
内部統制の強化
ワークフローシステムの導入は業務プロセスの透明性向上に貢献して、内部統制を強化します。
たとえば紙の文書管理を行っている場合、誰がいつ文書を持ち出したのか追跡するのは難しいです。また規定外のワークフローで承認が進んでしまうと、代理人による勝手な承認や未許可の備品購入など、内部での不正が発生する可能性も否めません。
一方でワークフローシステムなら、申請から承認、決裁までの各プロセスにおいて、誰がいつ、どのような操作を行ったのかすべて履歴が残ります。そして承認ルートはあらかじめ設定したものに基づいて制御されるので、規定外の申請や承認は通らない形となります。
またアクセス権限の管理も厳密に行えるため、情報セキュリティの向上にも寄与します。
データに基づく意思決定の推進
ワークフローシステムはデータに基づいた意思決定をサポートします。正確なデータの蓄積はもちろん、検索機能を活用して過去の文書をすぐに見つけられます。
たとえば業務報告の集計を手作業で行っていた場合、データの集計に時間がかかるうえに時間経過とともにデータの精度は低下する傾向にあります。また過去のデータを参照するのにも手間がかかり、ひとつひとつ確認するのは現実的ではありません。
ワークフローシステムなら、すべての業務データがリアルタイムで集計されるので、常に最新のデータを参照できます。またデータの自動集計やグラフ機能を活用して、データ分析に活かすことも可能です。
組織内の業務効率はもちろん、ワークフローシステムは戦略的な意思決定プロセスにおいてもその価値を発揮します。
申請書のペーパーレスが実現
ワークフローシステムを活用すれば申請書の印刷をする必要がなくなり、ワークフローにおけるペーパーレスが実現します。申請書の印刷経費や管理コスト、保管スペースも必要ありません。
申請書はデータとしてシステム上で一括保管することが可能です。書類を用意する手間や時間はもちろん、紛失のリスクも防げます。
ワークフローシステムの主な機能
ワークフローシステムには、主に以下のような機能が搭載されています。
〈ワークフローシステムに搭載されている主な機能〉
承認ルート設計機能 | 申請から承認、決裁までのルートを設計できる |
申請フォーム作成機能 | ワークフローで使用する申請書や入力フォーマットを作成できる |
申請機能 | 申請フォームを活用して、必要な申請をシステム上で行える |
承認・決裁機能 | 申請者からの申請内容をシステム上で承認したり決裁したりできる |
検索・集計機能 | 申請書類や過去の申請情報を参照したり集計したりできる |
外部システム連携機能 | ビジネスチャットやグループウェアなどの外部システムと連携できる |
セキュリティ・内部統制機能 | データの保護やアクセス制限ができる |
承認ルート設計機能
ワークフローの申請から承認、決裁までの流れを定義する機能です。作成した承認ルートはテンプレートとして複数の申請フォームに紐づけられるので、変更や更新があった際の手間もかかりません。
承認者や条件分岐のアイコンを配置して承認ルートを結ぶだけで、ワークフローを簡単に構築できる製品も多いです。申請内容による条件分岐や、複数承認者を指定するグループ承認など、ルートは詳細に設定可能です。
申請フォーム作成機能
申請用のフォームを作成する機能です。各業務プロセスに応じた申請書が存在するように、記載項目やレイアウトを自由にデザインしてシステム上で表現できます。
入力フィールドの配置やレイアウト調整は、ドラッグ&ドロップの簡単なマウス操作で行えます。プログラムに関する専門知識は必要ありません。また中には、ExcelやWord、PDFなど各ファイルをアップロードして申請書を再現できる製品もあります。
申請機能
申請機能では作成した申請フォームを活用して、必要な申請を手軽に行えます。必要な業務プロセスに応じて適切な申請フォームを選択するだけで、申請をスタートできます。
間違えずに入力できるようにする入力補助や、関連する申請内容を呼び出す関連付けなど、申請を便利に進める機能もあります。
またフォームの内容とは別で伝達する際に活用できるコメント機能や、複数の書類を一括で送付できる一括申請などの機能もあります。
申請状況はシステムにリアルタイムで反映されるので、進捗状況はいつでも確認可能です。
承認・決裁機能
申請者からの申請内容を承認したり決裁したりする機能です。
承認者はメールやチャットツールで通知を受取り、申請内容の確認後に承認や差し戻しをワンクリックで行えます。また同一ステップに存在する承認者全員の承認を必要とするAND承認や、誰かひとりの承認を必要とするOR承認といったグループ承認の設定も可能です。
モバイル端末に対応している製品であれば、スマホで外出先から承認することもできます。
検索・集計機能
申請書類や過去の申請情報を参照できる機能です。
書類や申請の種類や件名、日時範囲などさまざまな項目で検索できます。また一覧表示やサマリ集計、クロス集計などさまざまな形式での集計にも対応。保管したデータを活用して新たな申請に役立てたり、監査対応を進めたりすることができます。
集計データはグラフで視覚的に表示したり、CSVやPDFなどのファイル形式で出力したりすることも可能です。
外部システム連携機能
チャットツールやグループウェア、電子契約システムなどの外部システムとワークフローシステムを連携させる機能です。APIを通じてデータを自動的に連携することで、情報の二重入力や手作業による転送の必要がなくなります。
たとえばシングルサインオンでログインの手間を省略したり、グループウェアの画面上からそのまま申請や決裁を進めたりすることができます。ほかにも経費精算システムと連携して、交通費や定期代の自動入力を進めることも可能です。
連携できるサービスは製品によって異なります。さらなる業務効率化のためにも既存システムを使っている場合は対応有無をチェックしておくとよいでしょう。
セキュリティ・内部統制機能
ワークフローシステムを安心して運用できるように、セキュリティ機能や内部統制機能が搭載されています。
書類や設定の紛失を防ぐバックアップ機能や、操作できるユーザーを制限するアクセス管理、いつ・誰が・何をしたかを明らかにする操作ログの取得など、さまざまな機能が搭載されています。
データの保護やアクセスの制御によって、不正行為の予防や追跡を可能にします。
ワークフローシステムの活用事例
ワークフローシステムの活用事例を紹介します。
稟議書の電子化で数千時間のコストカット
清涼飲料水や酒類の製造販売を行っているアサヒ飲料。これまでの紙ベースの稟議に課題を感じて、「稟議書類のペーパーレス化」「回覧のスピード化」「承認フローの可視化」の3つを目的にワークフローシステムの導入を進めました。
導入の際は誰でも違和感なく操作できるかどうかを、製品選びのひとつの軸にしていたとのことです。
ワークフローシステムの導入後は稟議時間が7時間短縮され、年間で約4,000時間かかっていた回覧にかかるコストもほとんど解消されました。
申請業務のデジタル化でリモートワーク環境を構築
上下水道向けの環境機械やポンプを提供する株式会社石垣は、リモートワーク体制の構築に向けてワークフローシステムを導入。これまで紙で行っていた稟議を完全に電子化することで、スムーズな組織運営を実現しました。
またこれまで4つに分散していたワークフローをシステムで集約。申請業務や内製開発の効率が大きく向上し、年間約800万円相当の業務時間削減につながっているとのことです。
まとめ
ワークフローシステムのメリットや機能、導入方法など、押さえておきたい基礎知識について解説しました。
ワークフローシステムは申請や承認における一連の業務フローを電子化することで、意思決定の迅速化や業務効率化を強力に支援します。組織の生産性向上に寄与するワークフローシステムの導入を、検討してみてはいかがでしょうか。
以下の記事ではおすすめのワークフローシステム各製品を特徴や機能で比較しています。ぜひ、あわせて参考にしてください。
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