契約書の作成や管理、検索、更新などを一元管理できるツールである契約書管理システム。電子化された契約書に関しては、電子帳簿保存法の取り決めにより、法に基づいた管理が必要です。
この記事では電子帳簿保存法における契約書の取扱い方法や、対応するシステムについてご紹介します。ぜひ比較検討の参考にしてください。
電子帳簿保存法における契約書の取扱い
電子帳簿保存法とは、国税関係の帳簿や書類を電子的に保存する際の要件を定めた法律です。
電子帳簿保存法の対象書類は保存方法により、以下の3種類に分けられます。
電子帳簿保存法の対象書類
- 国税関係帳簿・書類にかかる電子データ保存
- 国税関係書類にかかるスキャナ保存
- 電子取引にかかる電子データ保存
契約書は国税関係書類にかかるスキャナ保存と、電子取引にかかる電子データ保存によって保存されるため、電子帳簿保存法の対象となります。
主な対象となる契約書の種類
電子取引によってデータ保存できる主な契約書には以下のようなものがあります。
電子取引ができる契約書
- 保証契約書
- 雇用契約書
- 取引基本契約書
- 売買契約書
- 請負契約書
- 業務委託契約書
- 秘密保持契約書
- 代理店契約書
- 委任契約書・準委任契約書
ほとんどの契約書が電子取引できる一方で、電子取引ができない契約書も存在します。
電子取引できない契約書
- 事業用定期借地契約(借地借家法23条)
- 任意後見契約書(任意後見契約に関する法律3条)
- 企業担保権の設定又は変更を目的とする契約(企業担保法3条)
このような契約書でもスキャナ等で電子化し、電子帳簿保存法に則った管理をすることは可能です。ただし、原本となる紙の契約書の保存が原則必要となります。
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電子帳簿保存法における契約書の管理要件
電子帳簿保存法に記載されている契約書の管理要件についてカンタンにまとめています。
電子帳簿保存法は2022年1月に改正があり、2024年1月からデータの保存が義務化されました。改正後の要件でまとめてあるので、ご参考にしてください。
電子取引で交わした契約書の管理要件
メールやWeb上のやり取りで契約を交わす電子取引の場合、契約書は初めから電子データとして存在します。この場合、「真実性の確保」「可視性の確保」の要件をそれぞれ満たす必要があります。
<真実性の確保>
契約書が改ざんや偽造されたものではないことを示すために満たさなければならない要件であり、以下のいずれかの措置が必要です。
必要な措置
- タイムスタンプを付与して、取引情報を授受する
- 授受後遅滞なくタイムスタンプを付す
- データの訂正削除を行った場合に、その記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用する
- 訂正削除の防止に関する事務処理規程を定め、基づいた運用をおこなう
<可視性の確保>
電子取引の契約書を必要に応じていつでも確認できる状態で保存しなければならない、という要件です。契約書を以下のような状態で保存しておく必要があります。
確保しておく保存要件
- PCやモニター、プリンターと操作マニュアルを備え付け、契約書をすぐに出力できる状態にする
- 「取引年月日」「取引金額」「取引先」で検索できるようにしておく
ただし、2期前の売上高が5,000万円以下で、税務調査の際に税務職員が質問検査権に基づいて行う「ダウンロードの求め」に応じられる場合、検索機能は不要です。
スキャナ保存した契約書の管理要件
電子帳簿保存法では、紙の契約書をスキャナで電子化し、電子データとして保存することが認められています。スキャナ保存した契約書は、原本と同等の法的効力を持ちます。
その場合、以下のような取扱いが必要です。
スキャナ保存の管理要件
- 書類の作成・受領から最長で「2か月とおおむね7営業日」期間内に保存する
- スキャナの解像度は200dpi以上、赤黒256階調(カラーの場合はRGB各256階調)以上にする
- タイムスタンプを付与し、改ざんを防止する適切なファイル形式(TIFF、PDF等)で保存する
加えて、過去分の契約書を電子保存した際は、所轄税務署長等への適用届出書を提出しなければなりません。
注目の電子帳簿保存法対応の契約書管理システム6選
電子契約書を適切に管理するには、電子帳簿保存法に対応した契約書管理システムを使用する必要があります。
以下に電子帳簿保存法に対応している契約書管理システム6製品を掲載しましたので、ご参照ください。
OPTiM Contract
- OCR機能で紙のスキャンデータを効率的に取り込める
- 紙と電子契約両方のファイルをまとめて一元管理可能
- アクセス権限や操作権限管理でファイルのセキュリティを高める
OPTiM ContractはAIの力で契約書の管理を楽にします。契約書情報をAIが自動で台帳に入力してくれるだけでなく、紙のスキャンデータをOCR機能で読み取り取引先や金額、日付を自動でデータ化可能です。
電子契約サービスと連携して、契約書を取り込むことが可能です。紙のスキャンデータと取り込んだ電子契約書を一元管理できるため、保管場所の点在を防げます。効率的な契約書管理で、必要なファイルがすぐに見つかります。
部署ごとにアクセスできるファイルを制限したり、閲覧や保存などの操作権限を担当者ごとに設定したりとさまざまな権限設定が可能です。セキュリティを高められ、重要なファイルを漏洩や紛失から守ります。
クラウドサイン
- 弁護士が署名の非改ざん性を担保するため安心
- 締結した電子契約書類の情報をAIが自動で入力
- 紙の契約書をスキャンして電子契約書と一括管理が可能
クラウドサインは弁護士が監修する電子契約システムです。契約書のPDFが署名後に改ざんされていないことを弁護士ドットコムが公開鍵暗号技術で担保するため、電子帳簿保存法に定められるタイムスタンプ要件を満たせます。
クラウドサイン上で契約した書類やインポートした書類から、AIが自動で企業名や契約日を読み取って入力します。自動入力で業務の手間が軽減されるだけでなく、契約書の管理が効率化されるでしょう。
紙で交わした契約書はスキャンしてPDF化することで管理できます。PDF化したデータは電子契約したファイルと一括で管理できるため、管理効率が向上するでしょう。スキャンとアップロードの代行サービスも用意されています。
LegalForceキャビネ
- AIが自動で管理台帳を作成し業務工数を削減
- 多彩な検索機能で関連契約書をすぐに見つけられる
- 電子契約サービスと連携し契約書を自動で取り込み可能
LegalForceキャビネは契約書をアップロードするだけで、電子帳簿保存法に適した形式でファイルを管理できるサービスです。契約書をアップロードするとAIが自動で情報を読み取り類型振り分けするため、管理の手間と時間を削減します。
テキスト情報や契約類型、当事者や日付などからの検索や条文検索に対応。またAIが関連契約書の候補を提示するため、欲しい契約書がすぐに見つかります。関連契約書は登録できるため、次回からすぐに相互参照可能です。
GMOサインやクラウドサインなどの電子契約サービスと連携し、自動で電子契約書を取り込めます。契約のたびに書類をアップロードする必要がなく、業務工数が削減されるでしょう。
GMOサイン
- ほかの電子署名サービスで契約した書類も一元管理できる
- 電子帳簿保存法要件を満たす検索や関連契約の紐づけに対応
- オプションでスキャン文書管理やPDF化代行が可能
GMOサインは電子帳簿保存法に対応した電子契約サービスです。GMOサインで署名した契約書はもちろん、ほかの電子署名サービスで契約した書類も署名互換機能で一元管理でき、管理の手間を削減します。
電子帳簿保存法ではファイル名に取引年月日と金額、取引先名を入れることが義務付けられています。それらの検索要件を満たすとともに、個別契約や覚書などの関連契約を紐付けられ、文書管理の効率化が可能です。
オプションで従来の紙の契約書をスキャンし、電子契約と一緒に管理できる機能があります。紙の契約書が膨大な場合は、スキャンから文書情報の入力、データインポートまでの代行サービスが用意されています。
GO!!電帳
- JIIMA認証や国税局の確認で電子帳簿保存法要件を満たす
- 状況に応じた柔軟なワークフローパターンを設定できる
- エクスプローラーに近いデザインで直感的に利用可能
GO!!電帳はJIIMA認証を受けた電子帳簿保存法対応の契約書管理システムです。あらゆる国税関係書類に対応し、さらに東京国税局へ法の要件を満たしているか確認済みなため安心して書類を保管できます。
書類の申請と承認ワークフローを設定できます。承認者や承認ルートの設定を柔軟におこなえるため、自社の運用に応じて利用できるでしょう。未承認書類がひと目でわかり、承認漏れを防げます。
書類が保管されるファイルサーバーは、エクスプローラーに似たデザインに設計されています。ファイルの作成や保管といった操作が直感的にでき、誰にでも簡単に利用できるでしょう。
freeeサイン
- PDFや関連ファイルをすべて一括して管理が可能
- タイムスタンプや認証設定で改ざんや紛失リスクを削減
- 容量無制限でどれだけデータが増えても課金なし
Freeeサインは弁護士監修で安心して使える電子契約サービスです。電子帳簿保存法に完全対応した文書保管プランがあり、Freeeサイン上で締結した契約だけでなく既存のPDFデータなど各種文書を一括管理できます。
不正利用防止のために、スマホなどの端末を利用した二要素認証を設定可能です。また契約書締結時や訂正時にはタイムスタンプが付与され、改ざんを防止します。高度なセキュリティで、大事な書類を安全に保管できます。
月額料金はアカウント数によって変動。ただし保管できるデータ容量は無制限なため、どれだけ保存しても一定額で利用できます。解約後も無料アカウントで閲覧でき、データが消えることはありません。
電子帳簿保存法に適した契約書管理方法とは?
2022年1月の電子帳簿保存法の改正によって、電子契約書の管理要件は多少緩和されましたが、やはり複雑な面は多いです。
タイムスタンプ機能や「取引年月日」「取引金額」「取引先」で検索できる契約書管理台帳の作成機能が必要となるでしょう。
これらの機能を備えているツールには契約書管理システムや文書管理システムがあります。エクセルで管理台帳を作成し管理することも可能ですが、データの保管が難しいため、適した管理方法とは言えません。
契約書を電子帳簿保存法に則って管理したい場合は、契約書管理システムを活用することを勧めます。
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