SCM(サプライチェーンマネジメント)比較おすすめ7選

原材料の調達から製造、販売にいたる一連のプロセスをサプライチェーンと呼び、これをいかに管理するかで経営の成果が大きく変わります。そのため、サプライチェーンを効率的に管理するSCM＝サプライチェーンマネジメントが重要です。

SCMをおこなうことでさまざまなリソースの最適化が実現するため、製造業だけでなく飲食や小売、アパレルなどさまざまな業界で注目されているシステムです。

SCMとERPの違い

SCMは原材料の調達から生産、物流、販売にかかわる一連のプロセスを管理するもので、需要予測から生産計画、在庫管理などが含まれます。

一方ERPは企業における人材とモノ、金、情報といったさまざまな経営資源を一元管理するシステムです。それらの経営資源を効率よく管理することで、経営業務の効率化や経営判断の迅速化に役立てます。

一見似ているシステムですが、SCMは企業のサプライチェーンを、ERPは企業全体の資源を管理する点が大きな違いです。

SCMが拡大する背景

企業のグローバル化にともない、サプライチェーンは世界中に拡大していきます。また海外との取引が増えるほどプロセスは複雑になり、各プロセスの情報を一元管理することが重要になるでしょう。

たとえばECビジネスの普及により、海外のエンドユーザーをターゲットにする企業も増えてきました。国内と海外との商習慣や言語、通貨の違いによっておこる問題をSCMで解消する動きが高まるのは当然の流れといえるかも知れません。

また労働人口の減少によって、さまざまな業界で人材不足が深刻化しています。物流業界も例外ではなく、配送現場の人材不足が問題視される中SCMでより効率的な物流体制を構築する必要があるでしょう。SCMで積載量や仕入れ量、配送タイミングの最適化を図る試みが注目されています。

導入実績は豊富か

SCMを選ぶ際には、まず導入実績が豊富かどうかを確認しましょう。導入実績が多いということは、それだけさまざまな企業のサプライチェーンを効率的に管理している証拠です。たとえばOracle Supply Chain & Manufacturingは、世界中で約10,000社の企業が導入していて、導入企業もFedexやTOYOTAなど名だたる企業ばかりです。(※1)

ただし、いくら導入実績が豊富でも、自社の業種や規模と大きく異なる企業ばかりではいけません。なるべく同業種および同程度の規模の導入実績が豊富なシステムなら、安心して導入できるでしょう。

※1 日本オラクル株式会社調べ(2023年8月時点)

解決したい課題に合った製品か

SCMを選ぶ前に、まずは自社のサプライチェーンの課題を明確にしなければいけません。SCMが最適化できる範囲は幅広く、SCMによって得意な分野が異なります。まずは自社のサプライチェーンのどのプロセスに対してSCMを導入するのかを明確にしましょう。

たとえば、企業全体のサプライチェーンを対象にするのか、特定の工場のみに適用するのかで選ぶ製品は異なります。そのためには業務プロセスの洗い出しをおこない、問題点や改善点をしっかりと把握することが重要です。

既存システムとの連携ができて、操作しやすいか

倉庫管理システムや輸送管理システム、ERPなどすでに導入しているシステムがある場合は、既存システムをSCMと連携させるのか、一部のシステムや機能をSCMに置き換えるのかを考える必要があります。どちらを選択するのかで、選ぶSCMが変わってきます。

既存システムとSCMを連携させる場合は、連携機能を備えたSCMを選びましょう。SCMによっては連携できるシステムが限られているものもあります。またシームレスに連携できるのか、操作は簡単かをあわせて確認すると安心です。

多言語や多通貨に対応しているか

海外に工場を持っていたり海外企業との取引がある場合は、多言語や多通貨対応のSCMを選ぶ必要があります。さらに複数の言語でのサポートが受けられるといざという時に安心です。

またSCMには海外製品も多くあるため、日本語に対応しているかどうかを確認しておくとよいでしょう。日本語対応していない場合はマニュアルやサポートページを英語で読まないといけないため注意が必要です。

予算に見合っているか

SCMによってサプライチェーンを最適化し利益の最大化や費用の節約につながったとしても、SCMにかかる費用がそれを上回ってしまうと意味がありません。そのため、予算に見合った製品かを確認することは重要です。

初期費用や月額利用料の確認や、月額料の課金方法を確認しましょう。中にはセッション数や従業員数で変化するものもあるため、どの料金形態が自社に合っているのかシミュレーションすると選ぶ製品が明確になります。

十分なサポートは受けることができるか

SCMは複雑で多岐にわたるサプライチェーンを管理するシステムのため、導入してそれで終わりではありません。導入してすぐに実績に反映される性質のシステムではなく、導入後も改善を重ねながら運用する必要があります。

さらにSCMをはじめて導入する企業では、担当者がSCMに慣れていないため導入直後はさまざまな問題が発生するかもしれません。そのような事態を防ぐために、サポート体制がしっかりしているSCMを選びましょう。

また専任のコンサルタントによる運用サポートがあるSCMなら、導入後の運用を相談できます。サポートが有償か無償かを確認しておくのも重要です。

セキュリティ対策がおこなわれているか

SCMでは取引先とのやり取りを含む企業のサプライチェーンにかかわるさまざまなデータを取り扱うため、情報の流出は大きな損害となりえます。そのためセキュリティ対策が適切におこなわれているかどうかは非常に重要な問題です。

SSLやTSLなどの暗号化通信を利用しているか、またデータのバックアップが安全におこなわれているかを確認しましょう。また各種セキュリティ認証を取得していることが明記されているかを確認しておくと安心です。

需要予測によって過剰在庫を防ぎ、人的リソースの最適化ができる

SCMの機能のひとつに需要予測があります。AIや機械学習などを活用して需要の変動を予測するため、予測に合わせた適正な在庫が常に保たれます。また過剰在庫を防ぐことで物流管理が効率的にできるようになり、少ない人数での管理が可能です。

結果、人的リソースの最適化につながり人件費の削減が実現するでしょう。ほかにも情報の一元管理による店舗間の供給システム構築や配送ルートの確立など、さまざまな費用の削減に役立ちます。

自動化によってデータ連携や発注業務がスムーズになる

SCMによって従来は手動でおこなっていた受発注や納期回答、請求業務などを自動化できるため、サプライチェーンに関するさまざまな業務がスムーズになります。データ連携を自動化することで人的ミスの削減にもつながるでしょう。

また業務が自動化されると、それまで決まった担当者しか把握できていなかった業務を誰でも担当できるようになり、属人化の解消につながります。情報共有や部署間の連携がスムーズになるため、業務全体の効率化が実現するでしょう。

一元管理によりシステム担当者の負担を減らせる

サプライチェーンには需要予測や生産計画、受発注、在庫管理、配送計画などさまざまな業務が存在します。SCMはそれらの情報を一元管理するため、バラバラに存在していた各プロセスをスムーズに把握することが可能です。業務の効率化はもちろん、課題や実情の共有が容易になりシステム担当者の負担軽減に繋がります。

取引先とのKPI状況が迅速に把握でき、経営判断につながる

事業目標達成のためのプロセスが、適切に実行されているかを計る数値がKPIです。SCMの中にはサプライチェーンの各プロセスを可視化できる製品があり、KPIの把握に役立ちます。計画から製造、物流までどのプロセスがどの程度の進捗かがすぐに把握できるため、素早い経営判断につながるでしょう。

配送計画によって遅延を防ぎ顧客満足度アップが期待できる

SCMでは物流に関するデータの一元管理が可能です。また需要予測によって商品の販売状況をリアルタイムで把握し、適切なタイミングで適切な量を配送することが可能になるでしょう。

SCMで配送を計画的におこなうことで遅延や欠品を防ぎ、顧客の元へ確実に商品を届けることができるようになります。確実な配送で、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。

導入までにかなりの時間を要する可能性がある

SCMはサプライチェーン全体を管理するうえに、企業によって要件がさまざまなため導入には入念な設定や調整が必要です。そのため導入決定から稼働するまで、場合によっては3～6ヶ月かかることがあります。

また導入後の操作方法の教育やシステムに慣れるまでの期間など、予想以上に時間を要する可能性を考慮する必要があります。SCMの導入を急いでいる場合は、導入までどの程度の期間が必要かを確認しておきましょう。

運用が難しいためSCMの知識を持ち、全体管理できる人材が必要

SCMの運用は簡単ではないため、サプライチェーンに関する知識はもちろんSCMの仕組みや構築などの幅広い知識を持った人材が必要です。また同時にサプライチェーンにかかわる業務全体を管理できる、広い視野を持っていることも重要です。

人的リソースを最適化できる一方で、SCMの知識を持ち全体を管理できる人材の確保が必須となります。

SCM(サプライチェーンマネジメント)は製品によって特徴や機能もさまざま。「どの製品を選べばいいかわからない・・・」といった方も多いのではないでしょうか。

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