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ネコブセンチュウ対策!無農薬で予防・駆除するにはマリーゴールドが効果的?

最終更新日: 2022年04月15日

ネコブセンチュウは見つけることが難しく、いったん増えてしまうと対処するのが難しい害虫の一つです。この記事では、ネコブセンチュウの特徴や発生しやすい環境・対策について詳しく解説していきます。

ネコブセンチュウの被害症状は?

ネコブセンチュウの被害に遭った植物の根には、大小さまざまなコブができます。コブによって植物の生育が阻害され、花が咲かなかったり収穫ができなかったりします。

ネコブセンチュウの予防する方法は?

ネコブセンチュウの予防に効果的なのは、マリーゴールドなどの対抗植物を植えることです。また米ぬかを土に混ぜるのも効果的です。

ネコブセンチュウとは?特徴や知っておくべき基礎知識

地層

ネコブセンチュウは、体長1mmにも満たないミミズのような形をした生き物。センチュウ(≒線形動物)の一種です。

ネコブセンチュウによる被害

ネコブセンチュウは、植物の根に寄生し針のような口で養分を吸い取ります。養分を吸い取る際に分泌物を出して細胞を肥大させるため、被害のあった根には大小様々なコブができます。コブができた植物は根の異常によって生育が阻害され、花が咲かない・収穫ができないなどの症状が現れるのです。

ネコブセンチュウは幅広い種類の植物につきます。その中でも特に被害に遭いやすい植物は以下の通りです。

  • ナス科の植物(ナス、トマト、ジャガイモ、ピーマン)
  • ウリ科の植物(キュウリ、カボチャ、メロン)
  • サツマイモ
  • イチジク
  • ニンジン
  • ダイコン

ネコブセンチュウが与える影響は、どの植物であってもほとんど変わりません。なお、もしネコブセンチュウにやられた野菜を食べてしまったとしても、人体に影響はないので安心してくださいね。

ネコブセンチュウの発生時期や成長サイクル

ネコブセンチュウは暖かい気候を好み、露地では春から秋にかけて発生します。気温が10℃を下回る寒さには弱いため、温室栽培のような環境でなければ冬に増殖することはありません。特に気温が暖かくなる6月から10月頃にかけて、活動が盛んになります

ネコブセンチュウは一度に数百個の卵を産みます。微生物の少ない土壌のような、外敵となる生き物が少ない環境だと、爆発的に増えてしまう恐れがあるのです。

ネコブセンチュウの種類・仲間

ネコブセンチュウにはいくつかの種類があります。

  • サツマイモネコブセンチュウ
  • キタネコブセンチュウ
  • アレナリアネコブセンチュウ
  • ジャワネコブセンチュウ

いずれの種類も、植物の根に寄生してコブを作り生育を阻害するという特徴は同じ。違いは「生息地」や「寄生する植物」が少しずつ異なる点です。各種類の対策方法は基本的に同じで、特にマリーゴールドを利用した対策(後述)は、ほとんどのネコブセンチュウに効果があると言われています。

また、「ネコブ」以外のセンチュウも存在します。

  • ネグサレセンチュウ
  • ハガレセンチュウ
  • クキセンチュウ

膨大にいるセンチュウの仲間のうち、花壇や家庭菜園に被害を及ぼすのはほんの数種類と言われています。

ネコブセンチュウが発生する原因は?環境や土壌に注意

てのひらの上の土

ネコブセンチュウの発生原因はズバリ「外から持ち込んでしまったこと」と「土壌環境が偏っていること」が考えられます。詳しく見ていきましょう。

そもそもネコブセンチュウはどこから発生する?

ネコブセンチュウは基本的にはどこにでもいる土壌の生き物。大発生の原因は、苗や球根にもともと発生していたものを持ち込んでしまうことにあります。

植物苗や球根は信頼できる園芸店から購入しできる限り根の状態を確認してから購入すると安全です。ネコブセンチュウ自体が移動してやってくることを防ぐよりも、「持ち込まないこと」「土の中で増やさないこと」に注力しましょう。

ネコブセンチュウが好む環境

ネコブセンチュウは1年中暖かい環境下では増殖しやすいので、できる限り露地での栽培をおすすめします。

また、ネコブセンチュウが好むのは、外敵となる微生物や昆虫の少ない酸性の土壌です。センチュウは生態系の最下層にいる生物であり、天敵が多い土壌では大発生できません。天敵には以下のようなものがいます。

  • パスツーリア・ペネトランス菌
  • ダニ類
  • クマムシ類
  • トビムシ類
  • アメーバ類

生態系が豊かな土壌では大量増殖しづらい」という点が大切なポイントです。

ネコブセンチュウの予防対策!無農薬で被害を最小限に抑えよう

マリーゴールド(デュランゴビー)

簡単かつ効果的に、無農薬でネコブセンチュウの予防ができる方法を4つ紹介します。

  1. 対抗植物を植える(特にマリーゴールド)
  2. 米ぬかを土に混ぜる
  3. 他の畑で使った土や道具を持ち込まない
  4. 同じ科の野菜を近くに植えない

予防1:対抗植物(マリーゴールド)

マリーゴールド(デュランゴレッド)

「対抗植物」とは、植えることでセンチュウの発生を抑える効果のある植物のこと。コンパニオンプランツと呼ばれることもあります。対抗植物に関しては様々な研究がされており、特に「マリーゴールド」には高い殺センチュウ効果があることがわかっています。

代表的なネコブセンチュウの対抗植物は、以下の通りです。

【 キク科の対抗植物】

  • フレンチマリーゴールド
  • アフリカンマリーゴールド
  • メキシカンマリーゴールド

【 マメ科の対抗植物】

  • ラッカセイ
  • クリムゾンクローバー
  • クロタラリア

【イネ科の対抗植物】

  • ギニアグラス
  • エン麦

効果が高く栽培も簡単でおすすめなのが「フレンチマリーゴールド」です。苗は3株1,000円ほどで手に入るので、安く済ませられるのも嬉しい点です。

対抗植物としての働きを最大限生かすためには、予防したい場所に広くまんべんなく植えていくことがポイント。例えばマリーゴールドの殺センチュウ物質は根にあるので、土中に幅広くマリーゴールドの根を張り巡らすことが重要になります。

予防2:米ぬかを土に混ぜる

米ぬかは土中の微生物の餌となります。このことから、米ぬかを混ぜておけば土の生態系が豊かになり、ネコブセンチュウの増殖を抑える効果が期待できます。

また、米ぬかを餌とする自活型センチュウ(寄生しないセンチュウ)が、ネコブセンチュウ対策になることも。自活型センチュウの排泄物はアンモニアを含んでおり、これによってネコブセンチュウを減らせる可能性があるのです。

予防3:他の畑で使った道具を持ち込まない

ネコブセンチュウはどの畑でもいる可能性がある生き物です。他の土地で使った道具は必ず洗浄し、自分の花壇や畑に持ち込まないようにしましょう。

もちろん、土を持ち込む場合にも洗浄は必要です。

予防4:同じ科の野菜を近くに植えない

同じ科の野菜をまとめて近くに植えることや、何年も同じ場所で同じ科の野菜を栽培することはNG。ネコブセンチュウが大量発生する原因になってしまいます。

同じ科の野菜は似たような養分を好みます。そのため上記のようなことをすると、土中の成分バランスが偏ってしまうのです。ネコブセンチュウの好む環境が続くと、連鎖的に被害が拡大していきます。

ネコブセンチュウが好む植物を植えた後には、全く違う科の植物を植えるのがおすすめです。

ネコブセンチュウを駆除する方法

太陽

ネコブセンチュウは一度密度が増えると、完全な駆除は困難になります。第一に大量発生させないことが重要であることを覚えておきましょう。

それでもネコブセンチュウの被害が多発する場合は、土壌の消毒が必要となります。家庭でもでき、効果が見込める以下の対策をとりましょう。

無農薬の方法・農薬を使った方法に分けて説明していきます。

土壌消毒(無農薬)

無農薬での土壌消毒には、次の2つの方法があります。

  1. 太陽熱による消毒
  2. 冬期の天地返し

ネコブセンチュウは60℃以上になると死滅するため、太陽熱による消毒は一定の効果が見込めます。夏の暑い日に、黒いビニール袋のようなもので土壌を覆うと、内部が高温になって土壌消毒ができます。ただし、ネコブセンチュウは土壌の深い位置にまで生息している可能性があるため、表面だけでなく掘り返して何度か実施するとよいでしょう。

冬の天地返しは、予防としても効果的な方法です。天地返しとは、土を掘って表面と深部を入れ替えること。ネコブセンチュウは10℃以下の温度では活動できませんので、寒い時期に天地返しをして土の深部を冷気にさらすと増殖を抑えられます。

農薬による消毒

最終手段として、土壌燻蒸剤のような農薬でネコブセンチュウを駆除する方法があります。

無農薬に比べて絶大な効果を発揮しますが、ネコブセンチュウ以外の微生物や、良性のセンチュウも駆除してしまう恐れがあります。土壌の生物のバランスが崩れると、別のトラブルが発生する原因にもなるので注意が必要です。

まずはこれまでに紹介した予防方法や無農薬での駆除を試し、改善が見込めなかった場合は農薬を使ってみてください。

ネコブセンチュウが土にいるかどうかの判断方法

真夏に咲く自生のホウセンカ(鳳仙花)

土にネコブセンチュウがいるかどうかを調べるには「ホウセンカ」を使うのがおすすめ。やり方は以下の通りです。

  1. 調べたい土壌を使ってホウセンカを小さめの鉢で栽培する
  2. 1カ月程度経ったところでホウセンカを抜き、根を確認してみる

コブがついていれば、ネコブセンチュウがいることが分かります。

ホウセンカはネコブセンチュウに非常に弱い性質と、根を伸ばしやすい性質の両方を持っています。そのためネコブセンチュウの被害が根に現れやすく、ネコブセンチュウ発生度合いの判断に最適なのです。

ただ中には「どれくらいのコブがついていたら危険なのか、正しい判断ができないかもしれない」と不安な方もいると思います。そのような場合は、専門業者に土壌分析してもらうのがおすすめですよ。

根こぶ病とネコブセンチュウの見分け方

ネコブセンチュウとよく間違えられやすいのが「根こぶ病」。植物の根に、ネコブセンチュウの症状と同じようなコブができてしまうのです。こちらも根が奇形になり株全体の生育不良を起こしますが、原因は菌類によるものです。

根こぶ病とネコブセンチュウは症状が似ており、次の2つの点で見分けられます。

  • コブがついた植物の種類
  • コブの大きさ
植物の種類 コブの大きさ
根こぶ病 アブラナ科 大きい
ネコブセンチュウ ナス科・ウリ科が中心 小さい

根こぶ病はアブラナ科の植物にしか発生しない病気で、コブは根の中心部にショウガ状の大きめのものが現れます。それに対しネコブセンチュウは、ナス科・ウリ科を中心とした幅広い植物に寄生し、マメ状の小さなコブを根全体にたくさんつけるのです。

迷った場合は上記を参考にして、それぞれに適した対策を取ってくださいね。