庭木の形が乱れていると感じたら、徒長枝が育っているのかもしれません。徒長枝は剪定が必要ですが、知識がないまま切ってしまうと、見た目が悪くなるだけでなく虫や病気の原因になります。徒長枝を剪定するポイントや発生原因、予防策を見ていきましょう。
徒長枝ってなに?
徒長枝は「トチョウシ」と読む園芸用語で、上に向かって元気よく伸びる生長の早い枝のことを指します。どんな樹木にもある枝ですが、みかんや梅、もみじなどでよく見られるでしょう。樹木の生長や成果を害することが多いため、剪定の対象となりやすい枝です。
また「徒(いたずら)に伸びた枝」という意味を持っており、「忌み枝」や「暴れ枝」と呼ばれることもあります。向きや細さが主枝の枝振りとは違うので、悪目立ちしやすく、樹形を崩す原因になることも珍しくありません。
勢いよく上に伸びた、剪定すべき枝
徒長枝は樹木の枝の途中から、上向きに生えてくる新しい梢のことです。新しく生長していく枝のため、他の枝よりも養分を多く使う性質があります。
すぐに花や実をつけることはなく、本流の主幹や主枝の養分を無駄に吸い取ってしまい、樹木の生長に悪影響を与えがちです。幹の根元部分に生えるいらない枝や美観を損なう枝と同様に、剪定すべき枝といえるでしょう。
残した方がよい徒長枝もある
樹齢や樹の状態によっては徒長枝を生かすこともできます。剪定する時期や量、どの枝を剪定するのか適切に見極めることで、より見栄えのよい庭木になるでしょう。
樹齢を重ねた木の場合、主枝に元気がなくなってくることがあります。その場合は徒長枝を生かして主枝にすることで、樹木の寿命を延ばせるでしょう。
また実がなる樹木では、年ごとに実をつける枝が変わるものがあります。前年に実がなった枝は次の年は果実がなりません。しかしその枝に生えた徒長枝は、果実がなる枝となります。この場合は毎年果実を収穫するために、徒長枝をあえて残すこともあるのです。
徒長枝を剪定するメリットとは?
徒長枝を切り落とすことで、養分を主幹や主枝の生長に行き渡らせることができます。徒長枝は元気よく伸びるため養分もたくさん使ってしまい、花や実ができなくなることもあるのです。
樹齢が若いうちは、主幹を太くする目的で高さが出ないようにすることもあります。養分を狙ったところに集中させるためには、徒長枝は切り落としておいた方がよいでしょう。
風通しをよくし光合成をしやすくする
徒長枝を生長期に切ってしまうと、追ってひとつの切り口から何本もの徒長枝が生えてきてしまいます。近しい部分からたくさん生えることもあるので、日当たりが妨げられるのが難点です。
日当たり以外にも枝が密になることで風通しが悪くなり、じめじめしてしまいます。湿気がたまると、害虫や病気の原因になりかねません。育てたい枝や芽があるところは、不要な徒長枝を剪定し風通しや日当たりをキープしてあげましょう。
他の枝に養分を行き渡らせる
花や実をつける枝には養分が必要ですが、徒長枝ができるとそちらに養分を奪われてしまいます。徒長枝からすぐに芽吹くことはないため、無駄に養分を消費してしまうのです。場合によっては、その年は花も実もつけなくなるかもしれません。
花をつけたい枝や成果を待っている庭木ならば、徒長枝の剪定は必須のお手入れです。養分を集中させたい枝を決め、生長期の前に徒長枝を切り払い、養分を行き渡らせましょう。
樹形を整える
徒長枝は樹の形にも悪影響を与えます。至るところから上方向へ枝が生えてくるため、見栄えが悪くなってしまうのです。
徒長枝以外にも、幹に向かって伸びたり下に向かって伸びたり、他の枝に絡みつくように伸びたりする枝もあります。これらの枝を残しておくと見た目に統一感がなくなるなど、美観を損ねる原因になりかねません。
葉や実のない冬は枝が見やすいので、そのうちに切り払っておくと、樹形のイメージがつきやすいでしょう。
梅やもみじは枝振りも見栄えのひとつです。花や実、紅葉の色づきを想定して整える必要があります。見栄えを損なう枝がある場合は、切ってしまいましょう。
徒長枝の剪定方法
最終的な見栄えと日当たり、風通しを考慮して枝を落とすのが剪定の基本です。徒長枝の剪定をする際は、庭木の種類によって適切な時期が異なります。いつ切るのがよいのか、確認してから作業を進めましょう。
剪定時期
剪定する時期は基本的には休眠期や生長期前です。樹木の生長期に枝を切ってしまうと、切った場所や脇からどんどん新たな徒長枝が生長してしまい、本来花や成果のために使いたい養分まで奪われてしまいます。
基本は秋から冬にかけてのタイミングで行う樹木が多いでしょう。休眠期に切ることで暴れ枝の発生を防ぎつつ、大きく樹形を整えられます。葉がない状態で木全体を見ることができるため、剪定すべき枝を見極めやすいのもメリットです。
ただし徒長枝が混みあって生えてしまい日当たりや風通しが悪いような場合は、夏場でも剪定することがあります。
剪定時に用意するもの
剪定するときは、剪定用または植木用のはさみ、ビニールシート、場合によっては脚立を準備しましょう。癒合剤もあると切り口を保護し菌の繁殖を防ぐことができます。また木の皮は硬く切り口は鋭利なため、軍手があると安心でしょう。
脚立を使う場合は、1人ではなく2人以上で作業を行うのが基本です。1人が脚立を支えることで、より安全に作業を進められます。脚立の使用に不安がある場合は、業者に高所作業を依頼した方がよいかもしれません。
庭木は自分で剪定できるサイズ以上に大きくならないよう、調整しながら育てるのがおすすめです。余計な手間やお金が掛からずにすみます。
基本的な剪定のやり方
まずは樹の下にビニールシートを敷きます。ビニールシートを敷くことで片付けが圧倒的に楽になるので、この工程は省かずに行いましょう。部分的に剪定する場合は、剪定予定の場所の下だけでも問題ありません。
いらない枝を選び、剪定用のはさみを使って切り落としていきましょう。切った枝はビニールシートに乗せていきます。全体のバランスを見ながら行うと、仕上がりがきれいになります。少し離れて眺めてたりしながら、樹形を整えていきましょう。
終わったらビニールシート上で枝をまとめます。枝の廃棄方法は自治体によって異なるため、注意が必要です。「何cm以下で可燃ごみ」など、可燃ごみで出せるサイズに規定があったり、枝木のリサイクルをしていたりもするので、あらかじめ確認しておきましょう。
樹木別。徒長枝を剪定するコツ
樹木ごとに剪定方法や時期は変わります。時節を間違えると花や実を楽しめなくなってしまうので、要注意です。庭木の種類に合わせた剪定方法を紹介します。
梅の徒長枝を剪定するコツ
梅は枝を切り揃えることで、見栄えや花つきが大きく変わる樹木です。剪定時期は夏と冬の年の2回がおすすめです。夏の剪定では花芽のない徒長枝などのいらない枝を取り払い、冬の剪定では樹形を意識して大きく整えます。
花芽のついていない1m以上の徒長枝は、根本から切り落としてOKです。ただし1m以上伸びた徒長枝でも、今年伸びた枝に花芽がついているなら、樹全体のバランスを見ながら花芽を残して剪定します。
みかんの徒長枝を剪定するコツ
みかんも徒長枝が多く見られる樹のひとつです。みかんの剪定は2月から3月の春前に行いましょう。おいしいみかんを収穫するためにも、剪定が重要になります。剪定時は徒長枝だけでなく、向きが揃わない枝、密集しすぎているいらない枝を切り落としていきましょう。
ただし、みかんは切り過ぎると逆に徒長枝が増えしまうため要注意です。樹形の乱れが気にならない年などは、剪定を減らすなど臨機応変に対応しましょう。
もみじの徒長枝を剪定するコツ
もみじの剪定時期は秋から冬にかけての休眠期と、春から夏にかけての2回です。自然な樹形を生かしてもよいのですが、樹形を整えることで秋の紅葉がより美しく映えるでしょう。
しかし切る時節がずれてしまうと、きれいに色づかないことがあるため注意が必要です。冬前の剪定では、樹形を整える目的で大きく剪定しても問題ありません。徒長枝をはじめ、理想の樹形を目指していらない太い枝を切り落としましょう。
春から夏にかけての剪定は、大きく切り込むのはNGです。日当たりや風通しを考えながら、間引くようなイメージでいらない枝を根本から落とします。
徒長枝が発生する原因と予防策
急成長する徒長枝は養分を大きく使ってしまいます。狙って育てたい部分に栄養が行き渡らなくなる原因です。数が多いと切り落とす手間も増大します。
発生する原因を理解して予防することで、庭木の手入れを楽にして上手に生長を促してあげましょう。
水やりのしすぎ
徒長枝は栄養が余っていると、どんどん消費して育っていきます。水やりが必要な庭木ではありますが、何事もやりすぎはよくありません。水分を必要以上にため込んでしまうのは、徒長枝が発生する主要因です。地面の状態や乾燥の具合を確認して、適度な水やりを意識しましょう。
生長期である夏は地面が乾きやすく、一日に朝夕2回水やりをすることが多いですが、日照のない夜間に水を与えすぎると徒長の原因になりかねません。夕方に地面が乾いていなければ、夕方の水やりはスキップしても問題ないでしょう。
窒素過多の肥料を与えすぎ
窒素肥料の与えすぎも栄養過多の原因となり、不要な枝の生長を促しすぎてしまいます。おいしい実をつけて欲しくて与えた肥料を、徒長枝が無駄に使ってしまってはもったいないでしょう。
窒素肥料は特に葉や枝の生長を促しますが、肥料の与えすぎは逆効果です。それぞれの樹木に適切な量があるので、庭木を植える段階で調べておくとよいでしょう。
窒素肥料が多すぎると、次々と徒長枝が生えてきます。樹木からのサインを見逃さないようにしましょう。
日当たりが足りない
植える場所が悪く、あまり日が当たらないところで育っている樹木は、日の光を求めて徒長枝を伸ばします。その場合、日の当たる場所に密集して枝が伸びるため、影となった場所の生育に悪影響を与えるでしょう。
枝が密集すると、風通しも悪くなりがちです。日当たりと風通しが悪くなると、樹木自体の健康が損なわれることもあるでしょう。あまり大きくなければ鉢に植え替えたり、場所を変更してあげたりすることも徒長枝を防ぐことにつながります。
徒長枝を剪定して元気に健康な木を育てよう
美しい花や実をつける庭木は、しっかりお手入れをすることで毎年家族を楽しませてくれます。健康に庭木を保ちたいなら、徒長枝の剪定を行うことが大切です。
剪定は大きくなりすぎると手をつけるのが億劫になってしまいます。しかし毎年の変化を楽しみながら剪定すれば、サイズを調整しつつ庭木の健康を維持できるでしょう。
徒長枝を剪定することで、樹木のシルエットを変えることもできます。余計な徒長枝を切り落とし、美しい庭を目指しましょう。
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