ビジネスフォンの導入には「主装置」が必要ですが、日常的に社内電話を利用している人でも主装置に関しては聞き慣れない人も多いはずです。
ビジネスフォンの運用には欠かせない装置なので、この機会に役割や導入時のポイントなどを押さえておきましょう。
主装置の役割とビジネスフォン
ビジネスフォンを利用する上で、外線と内線をつなぐ役割を果たす主装置の存在は欠かせません。
しかし、日頃社内で電話を使っている人でも、主装置という言葉は聞き慣れない人も多いのではないでしょうか?
まずは主装置とは何か、基本的な仕組みを理解しておきましょう。
主装置とは
主装置とは複数の外線・内線をつないだり、内線同士を共有して制御したりするための交換機を指します。別名「ME(Main Equipment)」とも呼ばれています。
複数の外線を一つの場所に収容可能で、内線も複数の端末を接続・制御できるのが特徴です。回線利用中の端末を判別して、空いている回線に振り分けることで、効率よく通話ネットワークを運用できます。
主装置の仕組みとユニット
主装置にはユニットと呼ばれる基盤が組み込まれており、電話の転送や番号の表示といった機能を利用できるようになっています。
電源ユニットや外線・内線のユニット、ほかの機能を利用するためのユニットなどが分かれて実装されていて、製品によって接続できる回線の上限などが決まっています。従って、自社の必要な回線数に合わせた主装置を選択しなければいけません。
電話端末(電話機)以外にも主装置がなければ通話ができないので、いわゆる「ビジネスフォン」と呼称する場合、電話機と主装置の組み合わせを指すことが多いです。
主装置とPBXとの違い
主装置と混同されがちな機器にPBXがあります。いずれも通信を制御する役割を持ち、全く同じ機器と見なされることもありますが、利用される環境が異なる場合が多いようです。両者の違いを明確にしておきましょう。
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そもそもPBXとは
PBXとは電話の外線や内線の管理・制御を行うシステムのことです。単語は「Private Branch eXchange」の略語で「機内交換機」や「電話交換機」といった意味を持ちます。
PBXは複数の電話回線をシステム上で集約して、外線と内線あるいは内線同士の接続をコントロールします。複数の電話回線を活用するオフィスやコールセンターで導入されています。
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主装置とPBXとの違い
主装置とPBXはいずれも、外線・内線を制御する役割を持つため、同じ機器と見なして特に差し支えはありません。
ただし、大規模な回線環境ではPBXが主に導入されており、小規模な回線環境にビジネスフォンを導入する場合は、主装置と呼ばれることが多いようです。
それぞれ制御できる端末の上限数の違いで区別されるのに加えて、PBXはPCと接続できるため、よりカスタマイズ性が高いのが特徴です。スペックや機能の違いはあるものの、同じ役割を持つ機器と考えて問題ないでしょう。
主装置の種類と価格
次に主装置の種類や価格を確認していきましょう。主装置は主に3つのクラスに分類され、価格もそれぞれ変わってきます。
接続端末数と同時接続数などによる分類
接続可能な端末数と同時接続数などにより、主装置は「Sクラス」「Mクラス」「Lクラス」に分類可能です。
- Sクラス:接続端末数10台、回線収容数4チャンネル
- Mクラス:接続端末数30台、回線収容数12チャンネル
- Lクラス:接続端末数80台、回線収容数24チャンネル
あくまでも目安であり、製品によってスペックは変わってきます。メーカーは違っても各製品の仕様書に明記されているので、接続したい端末数に応じて導入するタイプを選択する必要があります。
主装置の価格相場
主装置の導入価格も製品によって変わりますが、例えば接続可能数が10台程度のSクラス製品の場合、20~25万円程度が相場になっているようです。当然、Mクラス以上の接続可能台数を持つ製品ならば、それだけ価格も高くなります。
ただし、ビジネスフォンを導入する際に、主装置は販売会社が値引きしてくれるケースもあるので、実際の導入価格は見積もりを取ってみないと分からないケースがほとんどです。あくまでも目安と考えておきましょう。
主装置の耐用年数
続いて主装置の耐用年数も知っておきましょう。ほかの機器同様、主装置も使用している間に劣化し、一定期間ごとに買い替えが必要になります。
法定の耐用年数は6年
主装置の法定の耐用年数は6年程度といわれています。つまり、新品で購入した場合、約6年間のサイクルで交換が必要ということです。
実際には10年近く、同じ主装置を電話回線に使用している企業は少なくないようですが、耐用年数を超えると機器が故障しやすくなり、突然電話が使用できなくなる可能性があります。
長く使用している機器は、それだけ故障のリスクが高まるので、余裕を持って交換することをおすすめします。
耐用年数はあくまでも交換目安
主装置に限らず、電子機器の耐用年数は、あくまでも交換の目安として設定されているものです。使い方次第では、耐用年数に至るまでに故障してしまう場合も珍しくありません。
法定の耐用年数は6年とされていますが、そこまで利用できる保障がされているわけではないので注意しましょう。
特に、中古で主装置を購入する場合は、既に耐用年数をどの位経過しているか、メーカーのWebサイトなどで確認しておきましょう。しかし製品によっては、どの位の期間使われてきたのか、調べても分からない場合もあります。
中古品は前の持ち主の使い方によって、すぐに故障してしまう可能性もあるので、企業が導入する場合はできるだけ新品を購入した方が良いでしょう。
主装置を選ぶ際のポイント
それでは主装置を選ぶ際のポイントを解説します。ビジネスフォンの導入にあたっては、専門業者に丸投げしてしまう企業も多いようです。
しかし、自社の環境に合わないシステムが構築されてしまう可能性もあるので、以下の点は必ずチェックしておきましょう。
端末が何台必要か確認しておく
上記のように、製品によって接続可能数やチャンネル数が変わってくるので、どの程度のスペックの製品を導入すべきか、事前に検討しておきましょう。
現状で接続したい端末数を確認するのはもちろん、将来の拡張に備えて余裕を持たせておくのも大事です。社内で何回線用意しておけば業務がスムーズに進められるか、あらかじめ確認しておく必要があります。
機能とカスタマイズ性で選ぶ
将来にわたってどのような使い方が想定されるかを考えて、必要な機能が実装されている製品を選ぶようにしましょう。カスタマイズ性や拡張性もチェックが必要です。
例えば、1回線に複数の電話番号を付加できるダイヤルイン機能や、通話の転送機能など、ビジネスシーンで当然に使われている機能は多くあります。社内でスムーズに通話できる体制を整えておけば、組織全体の生産性も向上するはずです。
主装置なしで電話を使うには?
ビジネスフォンの利用に必要な主装置について解説してきましたが、主装置を社内に導入しなくても、電話を利用できる方法があります。
最後に主装置なしで通話する方法と、近年多くの企業に、利便性の高さから注目されている「クラウドPBX」を紹介しておきます。
主装置内蔵型のビジネスフォンを導入する
本来、主装置は電話端末とは別に導入・設置しなければいけません。しかし、主装置を内蔵しているビジネスフォンを導入すれば、別途機器を設置する手間がかからないので便利です。
据え置き型の主装置に比べると、内蔵型は接続できる端末数や機能が少ない製品が多いですが、利用する人数を制限すれば、より低コストで通話環境を構築できるでしょう。設定も簡単なので、特に社員数が10人以下のスタートアップ企業などにおすすめです。
クラウドPBXを導入する
据え置き型であれ内蔵型であれ、電話のネットワークを構築するならば、主装置の導入は不可欠です。ただしクラウドPBXならば、ベンダーの運用するサーバー上でPBXを運用するので、社内に主装置を置かなくても通話できるようになります。
ほかのクラウドサービス同様、インターネット環境があれば利用できるので、在宅ワークやテレワークなどを導入している企業にもおすすめです。
主装置の役割と選び方を理解しよう
主装置とは何か、基本的なところを解説しました。主装置はビジネスフォンの利用に欠かせない機器で、内部のユニットに回線を接続することで、いわゆる外線・内線を利用できるようになります。
種類によって端末の接続可能数が異なるので、自社に必要な端末数に適した製品を選ぶ必要があります。機能やカスタマイズ性の高さにも注目しましょう。導入費用を抑えてスムーズに通話環境を整えたいならば、クラウドPBXの導入もおすすめです。
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