ミツモアロゴ

【2019年最新】中小企業の法人税の優遇措置を解説【税理士監修】

見積もりアイコン

2分で依頼

選択肢をクリックするだけ!たった2分で気軽に相談できます。

提案アイコン

見積が届く

最大5人のプロから、あなたのための提案と見積もりが届きます。

プロアイコン

プロを選ぶ

チャットをして依頼するプロを決めましょう。

最終更新日: 2019年08月28日

「中小企業」という言葉は一般によく使われており、日本に存在するほとんどの企業はこの「中小企業」に該当すると言われています。これらの中小企業は法人税の計算にあたっては軽減措置などがあり、大企業よりも有利な計算が可能となっています。

ここでは、初めて中小企業の法人税を計算する方のために、中小企業向けの法人税の計算について解説します。

この記事を監修した税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区

安田亮、2018年に神戸市中央区で独立開業。公認会計士・税理士・FPのトリプルライセンスを持つ。これまで東証一部上場の連結売上高2兆円規模の会社での決算・税務申告の経験などの実務経験も豊富で、freeeの認定アドバイザー。freeeの認定資格 ”会計スペシャリスト” と ”経理コンサルタント” の資格も取得しておりfreeeの各種機能については精通している。
ミツモアでプロを探す

中小企業は法人所得によって税率が変わる

悩む女性
中小企業?中小法人?

法人税の計算には大企業と中小企業とで税法の適用に違いがあります。また、一口に中小企業といっても、法人税法で規定する「中小法人等」や租税特別措置法上で規定する「中小企業者」などの違いがあります。法人税の計算をする前に、自社がどの会社に分類され、どんな規定が適用できるのかをよく調べておきましょう。

法人税法では中小法人と呼ばれる

法人税法で使う「中小法人」という用語が使われますが、それ以外に、「中小企業」や「中小企業者」などの用語があります。まず、これらについて整理していきましょう。

「中小企業」という用語には明確な定義があります。中小企業基本法によって、サービス業、小売業等業種ごとに企業の規模で中小企業かどうかが判定されます。例えば、小売業では資本金の額が5千万円以下の会社又は従業員の数が50人以下の会社及び個人が「中小企業」となります。

<参考(中小企業庁) https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html

また、租税特別措置法(以下、「措置法」)とは、なんらかの政策目的の実現のために一定の要件に該当する場合、増減税を実施する税制上の特例規定です。措置法は、法人税法や所得税法などの国税に関して特別な措置を定めているもので、それぞれの国税の「特例」としての性質を持つ法律です。措置法における「中小企業者」とは、資本金等の額が1億円以下の法人、資本等を有しない法人のうち常勤の従業員が1,000人以下の法人などと定義され、親会社との関係等で切り分けられています。

<参考(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5433.htm

したがって、「中小企業」、「中小企業者」と「中小法人」は考え方が異なるため、どれか一つの規定にしか当てはまらない企業も存在します。

法人税法における中小法人の定義とは?

法人税法における「中小法人等」とは、普通法人のうち各事業年度終了時の資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの又は資本若しくは出資を有しないものとなっています。ただし、各事業年度終了の時において一定の法人は中小法人から除かれます。中小法人から除かれる一定の法人とは、保険業法に規定する相互会社や投資法人、資本金が5億円以上である法人に完全に支配されている法人等です。

<(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm

例えば、資本金が5億円の大法人に株式の80%を保有されているA社(資本金1億円)を考えてみます。

このA社は株式の1/2以上を大法人に保有されているため、措置法上の中小企業者には当たりませんが、完全に支配されているわけではありません(株式を100%保有されているわけではない)ので、法人税法上の中小法人等には該当します。特に親会社が存在する場合の中小法人の判定には留意しましょう。

法人所得によって法人税率は変わる

法人税の計算をするにあたっては、まず、法人税率の確認をしますが、中小法人の場合は大法人と税率が異なっており、下記のとおりとなっています。

法人税率において、措置法における中小企業者については優遇されていることがわかります。

また、実効税率とは法人税の課税所得に対して法人税だけでなく、地方法人税、法人住民税、法人事業税等の額の合計の割合をいい、会計では決算で「法人税等」を求めるときに使用します。

法人税率は引き下げられている

法人税率については、所得税等の他の税金とのバランスを図りながら、財政事情や経済状況等を勘案して年度ごとに見直されます。近年は、課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げるという考え方の下、法人課税がより広く負担を分かち合う構造への改革が進み、法人税率も下がってきています。

2009年以降の法人税率の推移は下記のとおりです。

<参考(財務省)https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/c01.htm

中小企業の法人税額のシミュレーション

計算する男性
税額の計算シミュレーション

では、実際に法人税額を計算してみましょう。法人税法における中小法人を想定し、期末資本金が1億円以下の普通法人として、所得によって法人税額の計算がどのように異なるのかを見ていきましょう。なお、ここでは措置法における中小企業者にも該当するとして、中小法人の軽減税率(特例)を利用することとします。

1,年間所得500万円の普通法人の場合

この場合は、資本金1億円以下かつ年間所得800万円以下となります。

よって、500万円の所得については、すべて法人税率15%が適用されます。

法人税額 75万円 = 500万円 × 15%

2,年間所得1,200万円の普通法人の場合

この場合は、資本金1億円以下ですが、年間所得が800万円超となります。

よって、1,200万円の所得のうち、800万円以下の部分については、法人税率15%となり、800万円を超える部分は、法人税率23.2%となります。所得のすべてについて23.2%の税率でないことに注意しましょう。

法人税額 212.8万円 = 800万円 × 15% + (1,200万円 - 800万円)× 23.2%

中小企業にむけた制度 欠損金繰越控除と欠損金繰戻還付

会議中の人たち
中小企業にむけた制度は?

法人の課税所得を計算した結果、マイナスになった場合は法人税の支払いはありません。この税務上の赤字のことを「欠損金」といいます。また所得税と同様に、法人税においても白色申告と青色申告があり、青色申告をする法人を青色申告法人と呼びます。この青色申告法人の特典としての欠損金の制度を解説します。

欠損金繰越控除とは

欠損金繰越控除制度とは、欠損金が発生した翌年度以降、10年間(平成30年3月31日以前終了の事業年度に発生した欠損金までは9年間)にわたって繰越した欠損金は課税所得から差し引ける、つまり、過去の所得のマイナスと当期のプラスとを相殺できるという制度です。この制度の適用によって、赤字の累積を持っておいて黒字が出たら相殺できるため、法人税の負担を軽減できるわけです。

欠損金の繰越控除を利用して得られるメリットを具体的に紹介しましょう。

例えば、課税所得が次のとおりであったとします。

2016年度 △100万円

2017年度 △150万円

2018年度  200万円

2018年度は黒字なので、本来であれば法人税額を求める流れになりますが、その前年までに累計250万円の繰越欠損金があるので、2018年度は課税所得ゼロとなり法人税は発生しません。累計赤字の250万円が黒字の200万円を上回るため、税負担がなくなるわけです。

中小企業は繰越控除限度額が無制限

この欠損金の繰越控除の制度を適用するためには、次の3要件すべてを満たす必要があります。

  • 欠損金が生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出していること
  • その後の各事業年度も連続して確定申告書(青色申告書でなくとも良い)を提出していること
  • 帳簿書類等を保存していること

ここで欠損金が生じた年度は、青色申告が必須というのがポイントです。大法人にも欠損金繰越控除は適用できますが、繰越された欠損金のすべてを利用できるわけではありません。欠損金繰越控除限度額については、資本金1億円超の大法人についてはその利用に限度が設けられています。2019年3月期以降の確定申告ですと、大法人は「控除前所得の50%についてのみ」繰越控除の対象となります。しかしながら、上の例で見たように中小法人であれば、控除前所得の全額が繰越控除の対象となりますので、この点については中小法人が大法人に比べて優遇される点と言えます。

欠損金繰戻還付とは

欠損金に関連したもう一つの制度で、欠損金繰戻還付という制度があります。欠損金の繰越控除は、過去の欠損金を翌年度以降の課税所得と相殺する制度ですが、欠損金繰戻還付とは、欠損金が生じた場合に、前年度に支払った法人税のうち、その欠損金に相当する分を還付してもらう制度です。

欠損金の繰戻還付を利用して得られるメリットを具体的に紹介しましょう。

例えば、前年の法人税は下記のとおり、前年の所得金額に占める欠損金の割合によって還付されます。

前事業年度(還付事業年度) 所得金額 800万円(法人税額 120万円=800万円×15%)

当年度(欠損事業年度) 欠損金額 200万円

還付税額 30万円 = 120万円×(200万円/800万円)

これら2つの制度は長期的な視点からは同様の効果となりますが、短期的な視点、実際に現金を得られるという資金繰りの観点からは繰戻還付の方が有利になるケースが多いです。

欠損金繰戻還付は中小企業のための制度

この欠損金の繰戻還付の適用要件としては、次の3要件すべてを満たす必要があります。

  • 還付事業年度から欠損事業年度の前事業年度まで連続して青色申告書である確定申告書を提出していること
  • 欠損金が生じた事業年度において青色申告書である確定申告書をその提出期限までに提出していること
  • 上記確定申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること

欠損金繰戻還付を適用できるのは、資本金が1億円以下の中小法人または解散等の事実が生じた場合ですが、資本金1億円以下の法人であっても、資本金5億円以上の企業の子会社については対象外となります。欠損金の繰戻還付制度は収益が安定しない中小法人で、来期以降の黒字化が難しい場合や当期のみ欠損金が出てしまった場合などには効果があり、資金繰りに悩む中小法人を救済するための制度と言えます。

繰越控除と繰戻還付のいずれかを選択できる

欠損金繰越控除と欠損金繰戻還付、これらは似た効果を発揮するものですが、利用にあたってはどちらか一方だけしか利用できません。繰越控除は、「将来支払う税金を減らす」制度であり、繰戻還付は、「過去支払った税金を返してもらう」制度です。繰越控除の利用は当期の課税所得がプラスの場合であり、繰戻還付の利用は当期の課税所得がマイナスの場合です。そして、繰越控除については10年間有効でもあります。

では、どちらを選んだ方が有利なのでしょうか?

2つの制度の選択については、資金繰りとも非常に密接な関係がありますが、貨幣の時間価値等を考慮すると、将来の税額が減少する効果よりも、過去の現金を取り戻せる繰り戻し還付の方が有利と言えます。また、将来の事業年度で必ず所得を計上できるとも限らないので、リスクヘッジのためにも繰戻還付を選択すべきと言えます。テクニカル的な部分もあるので、信頼できる税理士などに相談し、早めの資金繰り対策を立てておくとよいでしょう。

法人税の確定申告について

経理担当の仕事
法人税の確定申告

法人税の課税所得は、確定した決算に基づいて計算されます。確定した決算とは、株主総会の承認その他の手続による承認を受けた後の決算という意味です。また、確定した決算から作成される法人税の確定申告書ですが、この申告書だけを税務署に提出すればよいわけではありません。

ここでは決算から確定申告書提出までの手続きの流れをみていきましょう。

確定申告の流れ

法人税の確定申告書に別表1という様式があります。その上部には小さな文字で「添付書類」とした欄があり、該当するものに丸をつけ、確定申告書と一緒に提出するようになっています。法人税の申告では「確定申告書」と「添付資料」の提出が求められ、添付資料は確定申告書作成の前に作成されるものと後から作成するものがあります。

確定申告書提出までの流れとしては、概ね次のとおりです。

  • 決算報告書の作成(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書)
  • 決算報告書の承認(株主総会等による決算の確定)
  • 確定申告書の作成(決算報告書等をもとに税務調整)
  • 添付書類の作成(勘定科目内訳書、法人事業概況説明書などの作成)
  • 申告書及び添付書類の提出(又は電子申告)及び税金の納付

添付書類とは、具体的には決算報告書や勘定科目内訳書、法人事業概況説明書などを指し、法人税申告書に記載した税額の妥当性を確かめる材料として添付する書類となります。

法人税の確定申告期限は延長できる

法人税の確定申告書の提出期限は、決算日から2か月以内とされています。3月末決算の法人が多いのですが、この場合は5月末が申告期限となり、5月末までに確定申告書を提出するとともに、税金の納付まで完了することとされています。しかし、例えば6月に株主総会を招集する法人では、決算書の株主総会における承認より先に確定申告期限がきてしまうことになります。このような場合に、法人税の申告期限を延長できる「申告期限の延長の特例」があります。

この特例を適用するための主な条件は、次の場合です。

  • 特別の事情により、今後、各事業年度終了の日の翌日から2月以内に定時総会が招集されない常況にあるため、申告書の提出期限を1月間延長しようとする場合
  • 会計監査人を置いている場合で、かつ、定款等の定めにより、今後、各事業年度終了の日の翌日から3月以内に定時総会が招集されない常況にあるため、4月を超えない範囲内で申告期限の延長月数の指定を受けようとする場合
  • 特別の事情があることにより、今後、各事業年度終了の日の翌日から3月以内にその各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあること等の場合

<参考(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_12.htm

法人税申告書と必要書類の作成は税理士に依頼

法人税の申告書の作成については、所得税と異なり専門的な税務知識が必要となります。法人税の申告書の作成にあたっては、会計処理に応じて加算、減算する税務調整だけではなく、別表1から別表19まであるうち作成が必要なものはどれかを見極めなければなりません。さらに、法人税の課税所得や法人税額をもとに、地方税の申告書作成もあります。毎年作成するものではありますが、特に初年度は税理士に相談することをお勧めします。添付資料である勘定科目内訳書の作成は社内で作成してコストを節約する等、手堅い方法をとることをお勧めします。

まとめ

「なるほど」な男性
まとめ

個々の税率や計算の特例を覚えるというよりも、

  • 「中小企業」、「中小法人」などの用語の定義
  • 中小法人は法人税の負担軽減を受けていること
  • 欠損金がでた場合に適用できる制度があること
  • 確定申告書作成までのおおまかな流れ

この4点をおさえられたかどうかが大切です。

法人税の計算をするということは、その先の法人住民税や法人事業税の計算につながっていきます。法人税の基礎を身につけると、多くのことが見えてきますので、あせらずこつこつと理解していきましょう。

監修税理士のコメント

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区

法人税の確定申告書の作成は複雑です。個人の所得税申告書であれば自力で作成できる方もいらっしゃるかと思いますが、法人の確定申告書を自力で作成しようとすると相当の時間を要し、他の業務に支障が出ると思います。そういう場合は税理士に任せると良いです。ミツモアでは、確定申告書の作成・提出だけをやってくれる税理士が多数登録しておりますので使ってみてはいかがでしょうか。
ミツモアでプロを探す

ミツモアで税理士に見積もり依頼をしよう

ミツモアロゴ
ミツモアで顧問税理士を探そう!

ミツモアで簡単な質問に答えて見積もり依頼

ミツモアでは簡単な質問に回答するだけで自分にピッタリの税理士が探せます。

最大5件の無料見積もりの中から、あなただけの税理士を見つけましょう!

チャットで見積内容の相談ができる

やりとりはチャットで簡単。空いた時間に税理士と直接内容の確認ができます!

顧問税理士をお探しの際は、ぜひミツモアをご活用ください。

ミツモアで確定申告の税理士を探す>>