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【税理士監修】所得税の時効を解説|督促状がきたら追徴課税される?

最終更新日: 2019年12月12日

実は、所得税や贈与税、相続税の納付にも時効はあるのです。しかし、納税する相手は国ですから、簡単には税金から逃れることはできません。様々な理由で払えなくなってしまった場合や、故意的に支払わなかった場合、一体どうなるのでしょうか?

今回は、働いていれば誰しもが納める義務がある「所得税の時効」についてまとめていきます。

この記事を監修した税理士

大原政人税理士事務所 - 神奈川県川崎市川崎区

 
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所得税の時効成立までの期間は何年?

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時効成立までの期間は何年?

所得税や贈与税、相続税といった様々な税金があります。働いていれば、誰しもが納税する必要がある「所得税」の時効を詳しく見ていきましょう。

所得税の時効には「3年のケース」「5年のケース」「7年のケース」があり、時効期間は、申告の期限に提出したかどうかによって変わってきます。

申告書を提出したら3年

申告書を申告の期限内に提出した場合、時効期間は申告期限の翌日から3年となります。

 

(例)2019年分の所得税の確定申告の場合

2020年3月15日(申告期限)の翌日から3年後→2023年3月15日(時効)

※その過程で脱税の意思があるとみなされた場合、時効期間が7年に延長されます。

申告書を提出していなかったら5年

申告の期限内に申告書を提出しなかった場合申告期限の翌日から5年が時効期間となります。ただし、相続税は例外的に時効は6年になります。

 

(例)2019年分の所得税の確定申告の場合

2020年3月15日(申告期限)の翌日から5年後→2025年3月15日(時効)

※その過程で脱税の意思が発覚した場合は、申告の有無にかかわらず時効期間が7年に延長されます。

脱税の意思があり申告しなかったら7年

申告の内容に虚偽の記載脱税の意図があった場合は、申告期限の翌日から7年が時効期間となります。

 

(例)2019年分の所得税の確定申告の場合

2020年3月15日(申告期限)の翌日から7年後→2027年3月15日(時効)

申告を期限内にしているか、していないかが時効期間を分ける重要なポイントとなります。また、当たり前のことですが、嘘をついたりごまかしたりしても時効期間が延長されるだけなので、良いことはひとつもありません。

時効の期間は起算日から始まる!

手帳を持つ女の子。税金の期間である起算日を記入中。
時効の期間は起算日から始まる!

個人事業主に、必ず必要になってくる「確定申告」。毎年、自分で利益や税金を計算しなければならないため、ミスが起きてしまう可能性も。うっかり、「納めるはずの所得税を計算し忘れてしまった!」なんてことがあった人もいるのではないでしょうか?

面倒くさい「確定申告」ですが、実は提出期限と納税期限は税金の時効と大きな関わりがあります。

起算日はいつになる?

そもそも起算日とは、期間を計算し始める日のことを言います。納める税金によって起算日は変わってきます。

所得税:所得税の申告期限の翌日

贈与税:贈与を受けた翌年の3月15日

相続税:相続税の法定申告期限(相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内)の翌日

所得税の起算日は、確定申告や納税期限と同じ日です。大変だからと後回しにせず、しっかりと確定申告と納税をするようにしましょう。

また、起算日から計算し、時効を計算することができますが「時効まで税金を滞納しておけばいいや」という考えはとても危険です。時効期間は”中断”したり”停止”したりすることがあるからです。

例えば、未納している税金を分割払いなどして、一部を納税した場合には時効が中断します。また、一度中断し、そこから時効期間を新たにカウントしていきます。

督促状がくるとリセット

税金の支払いを催促するための書面、それが「督促状」です。リセットされる、と聞くと一からやり直せるという意味もあるので勘違いされがちですが、今後の生活や仕事を脅かすことになりかねないので、決して良い意味に捉えないように注意してください。

まず、督促状ですが、概ね滞納期間が約1ヵ月程度(原則50日以内)になると、会社や自宅に届きます。そして、督促状がくるということは、その時点で時効が中断され、新たな時効のカウントが開始されるということなのです。

このことから、時効を待って税金を未納しようという考え方は、得策ではないことがわかるでしょう。

最悪の場合差し押さえも!

では、督促状がきてもなお、滞納し続けるとどうなるのでしょうか?ドラマなどで、破産してしまった家族が家から追い出され、テレビや家具などに「差し押さえ」のテープが張られてしまうシーンがあったと思います。実際に差し押さえできない物も中にはありますが、簡単に言ってしまえば、税金を滞納し続けると最悪の場合その様になってしまします。

しかし、滞納してからすぐに差し押さえになるわけではありません。差し押さえになるまでの流れは以下の様になっています。

税金の滞納→督促状が届く→税務署から、電話や書面での催促→税務署による情報収集→何回か催促しても納税に応じない→いよいよ差し押さえ

督促状は、差し押さえをする前に送ることが前提条件となっています。督促状が届いたら、危機感をもって行動しなければなりません。

ペナルティの種類

ペナルティに加算税がかかることを意味するお金とハンマー
ペナルティは、主に加算税がかかります。

これまで、所得税の時効についてみてきました。申告をしないことによって、税金の未納によって時効の延長や、督促状など様々なことが発生します。しかし、期限外に後から同じ分だけの税金を支払えば良いというわけではありません。また、期限内に申告や納税をしていても、申告した税金が実際の金額と異なっていた場合はペナルティが課せられてしまうのです。

では、どのような場合に、どのようなペナルティが課せられてしまうのか見ていきましょう。

ペナルティとは追徴課税のこと

課せられるペナルティとは、「追徴課税」のことです。

申告した所得税などの税額が少なかったり、無申告であったことが発覚した場合などに加算される税金のこと追徴課税と言います。

追徴課税には、「過少申告加算税」「無申告加算税」「不納付加算税」「重加算税」などの種類があります。

額を少なく申請(過少申告加算税)

期限内に申請をした際に、納める税金の額を少なく申請してしまったことにより加算される税金のことを「過少申告加算税」と言います。

過小の申告をしてしまっても、税務署から調査の通知が来る前に気づき、自ら修正申告した場合には、過少申告加算税は課せられません。間違いがないように提出することが大前提ですが、万が一提出後に誤りに気づいた場合には、早めに自主的な修正申告をするようにしましょう。

修正申告の時期によって、課せられる過少申告加算税が変わることを表す表
過少申告加算税は、修正申告の時期によって変わります

申告なしで未納(無申告加算税)

法人税の申告には原則「事業終了日から2ヵ月以内」というルールがあり、この期限内や確定申告の期限(3月15日)までに申告を行わなかった場合に無申告加算税が課せられてしまいます。

無申告加算税は、自ら期限後申告を行うことで税率が軽減されます。

期限後申告のタイミングで課せられる、無申告加算税の税率が変わることを表す表
無申告加算税は、期限語申告のタイミングで課せられる税率が変わります

※「50万円のうちまたは、期限内に申告した税額」

また、条件をすべて満たす場合は免除されることもあります。

(条件)

・1ヵ月以内(法定申告期限から)に自主的に期限後申告を行っている

・過去5年間に無申告加算税または重加算税を課せられていない

・期限申告に関する所得税を全額納付済みである

期日までに払い切れなかった(不納付加算税)

源泉所得税の納付期間は、給与を支払った月の翌月10日までとなっています。「不納付加算税」とは、この源泉所得税を期限までに支払わなかった場合に発生するものです。

給料や報酬などの所得に課せられている「源泉徴収税」。通常であれば、従業員の給料から毎月天引きを行い、会社が代わりに一括して源泉徴収税を支払うことで完結しています。

加算率として納付額の10%が加算されますが、事前通知前に申告や納付を行うことで5%軽減されます。また、不納付加算税が5,000円に満たない場合には納付が免除されます。

申告の際、悪意ある仮装・隠ぺいをした(重加算税)

申告額が少ない、申告の遅れなどをした時、それが悪意のある不正行為だと判断された場合に加算される税金を「重加算税」と言います。悪意のある不正行為とは、明らかな隠ぺいや仮装のことです。

重加算税の税率は、以下のようになっています。

 

過少申告加算税、不納付加算税を伴う場合・・・35%(45%)

無申告加算税が伴う場合・・・40%(50%)

※()は過去5年以内に同じ加算税目に対して、無申告加算税または重加算税を課せられたり、徴収されたことがある場合の税率。

支払期日がすぎると加算税と延滞税がセットに

タイムイズマネー。支払い期限を過ぎてしまうと加算税も延滞税もかかってしまします。それを表す時計と金貨です。
支払期日がすぎると加算税と延滞税がセットに

これまで、所得税などの税金滞納に対するペナルティを見てきましたが、課せられるのは先程挙げていた加算税だけではありません。加算税にプラスして「延滞税」がかかります。この2つは、セットで課せられてしまうので所得税や税金の未納はしない方が良いでしょう。

では、延滞税とはどういうものなのか、詳しい計算方法も踏まえて見ていきましょう。

延滞税とは

所得税などの税金の未納でペナルティとして課せられる一つである「延滞税」。これは、納付期限までに納付しなかった場合に課せられる税金です。TSUTAYAなどのレンタルショップで返却するのを延滞してしまうと、レンタル料にプラスして延滞料を支払いますよね。それと同じようなイメージです。

期限は最大2ヵ月となっていますが、納付が遅れた分だけ多くの延滞税が課せられてしまします。デメリットしかないのですから、所得税に時効は無いものと考えたほうがいいです。

最大14.6%(2ヵ月以内は7.3%)の税率となっていますが、実際には財務大臣が告示する特例基準割合により計算される税率で変わってきます。では、詳しい計算方法を見ていきましょう。

詳しい計算方法は?

期限を過ぎて2ヵ月以内の申告と2ヵ月を超えてしまった場合の申告では、計算方法が変わってきます。また、財務大臣が告示する「特例基準割合」に年1%の割合を加算した割合も計算しておく必要があります。具体的な計算方法は以下の通りです。

2ヵ月以内の申告のケース

(1)本来納税すべき金額×延滞税の割合(7.3%)×延滞期間÷365

(2)特例基準割合+1%

2ヵ月を超えてしまったケース

(1)本来納税すべき金額×延滞税の割合(14.6%)×2ヵ月を経過した翌日から完納までの期間÷365

(2)特例基準割合+7.3%

いずれの場合も(1)、(2)どちらか低い割合を適用します。

国税庁のホームページで計算できる

具体的な計算方法を解説しましたが、実際に自分で計算するとなると大変です。また、自分で計算してしまうと細かい数字の見落としや計算間違いなどで、正しい延滞税を出せない可能性もあります。所得税は国へ納める税金ですから、間違いがあっては大変です。未納しているだけでも、大きなペナルティが課せられるのでしっかり計算しなければなりません。

国税庁では、そのような方のために延滞税の計算が簡単にできるサイトを設けています。

国税庁のホームページにある「延滞税の計算方法」のページに行っていただき、納付年月日と申告した納税額、延滞税の3つの必要項目を入力するだけなので、とても簡単に計算することが可能です。

所得税などの税金の納付には時効があると安心せず、期日を過ぎてしまった場合にはそれ相応の対応をとるようにしましょう。

参考:https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/entaizei/keisan/entai.htm” target=”_blank” rel=”noopener”>国税庁サイト

相続税の申告も忘れがちなので注意が必要!

相続税の無申告も、所得税と同様に追徴課税と遅延税の請求を余儀なくされます。多忙であることや相続税の申告に慣れていないからという理由があろうとも、税務署は一切考慮してくれません。

ペナルティーの追徴課税や遅延税の支払いを最小限に抑えたいならば、事務所からの連絡が来る前に期限後申告を速やかに行いましょう。自己申告の場合のペナルティーの金額は安く済みます、しかしながら、税務署から指摘があった場合は、ペナルティーの金額が高くなるので注意しましょう。

税金からは逃げられません

税金からは逃げられないことを、悲しみで表している男性の写真
税金からは、決して逃げられません

一番の得策は、きちんと期限内に税金を納めることです。相手は”国”ですから、税金からは決して逃げることはできません。

時効をすぎることはない

時効はあることには、あります。しかし、時効がすぎるまでまっていては、督促状や時効の延長などが発生してしまうだけです。時効は、成立しないといっても過言ではありません。最悪のケースである差し押さえだけは避けなければいけません。

税理士に相談してみるのも一つの手

ここまで、税金の時効や、滞納することで課せられるペナルティについて見てきましたが、いかがでしたでしょうか?ある程度、基礎的で大切な知識を得ることができたのではないでしょうか?

税金の納付は、「国民の義務」なのでしっかりと守ることが大切です。

まだよくわからない、もっと詳しく知りたい、自分の置かれている状況を誰かに相談したい、という方は専門家である税理士に相談してみることをおすすめします。

監修税理士のコメント

大原政人税理士事務所 - 神奈川県川崎市川崎区

以上所得税の時効について解説しましたが、会社や事業の資金繰りの都合上、どうしても納税に困るケースはあると思います。最悪差し押さえになれば、事業自体の継続や取引先にまで影響が及ぶケースもあります。事前に納税計画を立て、場合によっては税務署に分割の相談等も視野に入れて置くことが必要です。
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この記事を監修した税理士

大原政人税理士事務所 - 神奈川県川崎市川崎区

大原政人(おおはらまさと) 1975年茨城県土浦市出身。法政大学経営学部経営学科卒業。 法人税申告約1500件、相続案件は約200件、確定申告案件は約1200件(開業から過去17年実績) セミナー、研修会講師 年間30回新聞、専門誌への原稿執筆多数、毎月無料の起業相談会を2回実施しています。
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