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【2020年】事業承継税制の改正と特例措置をわかりやすく解説!

最終更新日: 2020年01月16日

中小企業経営者の高齢化が著しい現在、事業承継は避けて通れない課題となっています。

ところが現実には、事業承継に係る贈与税や相続税の負担が壁となり、事業承継はあまり進捗していないのです。この事態を打開するため国は平成30年の税制改正によって、事業承継税制の特例措置を設けました。

事業承継に際して大きなメリットがあるとされる事業承継税制の特例措置をどのように活用すればいいのか、基礎から分かりやすく解説していきます。

この記事の監修税理士

アテンド会計事務所 - 神奈川県横浜市西区

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事業承継税制は贈与税・相続税を猶予する制度

事業承継税制は贈与税や相続税が猶予される
事業承継税制は贈与税や相続税が猶予される

事業承継税制は、中小企業の株式を贈与や相続した際に、贈与税や相続税を納税猶予し最終的には免除する制度です。

特例措置では、さらに適用範囲を大幅に拡大しています。具体的にどこまで納税猶予が適用されるのか解説していきましょう。

特例事業承継税制によって経営の承継をしよう

事業承継税制は中小企業の事業承継の円滑化を図ることを目的に、平成20年の中小企業経営承継円滑化法施行によって導入された制度ですが、残念ながら納税猶予等の優遇制度の利用は低迷していました。

しかし今後10年の間に70歳を超える中小企業経営者が急増し、このままでは廃業が急増して地方経済が成り立たなくなると懸念されています。今後10年間の事業承継の促進は日本経済にとって避けて通れない課題となっているのです。

そこで平成30年の法改正によって、大幅な見直しが行われたのが、特例事業承継税制です。ここでは、納税猶予の対象となる株式が80%から100%になるといった改正を10年限定で行うことにより、スムーズな事業承継を促しています。

法人と個人で異なる対象資産

事業承継税制は、平成31年1月に「個人版」が創設されたことにより、現在では中小企業を対象とした「法人版」と個人事業主を対象にした「個人版」の2種類があります。

それぞれに贈与税や相続税の猶予制度がありますが、対象となる資産は異なっています。法人版で対象となる資産は、承継した会社の株式ですが、個人版では事業用の宅地や建物、事業用の減価償却資産が対象になります。

ただし個人事業主の相続で従来からあった「小規模宅地等の特例」は、事業承継税制との選択になるので原則併用はできません。

贈与税納税猶予の仕組み

法人版特例事業承継税制では、後継者が円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式を贈与によって取得した場合、贈与税の100%が猶予されます。

この制度の適用を受けるには、都道府県知事の認定を受けて、少なくとも贈与から5年間は代表者として経営を行う必要があります。その後、後継者が株式を継続して保有することが求められていますが、後継者が死亡した場合や次の後継者に贈与した時点で贈与税は免除されます。

また贈与税の納税猶予中に先代経営者が亡くなった場合には、贈与税は相続税に切り替わり、引き続き納税猶予が継続されます。

相続税納税猶予の仕組み

法人版特例事業承継税制では、後継者が円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式を相続によって取得した場合であっても、相続税の100%が猶予されます。

この制度の適用を受けるには、都道府県知事の認定を受けて、少なくとも贈与から5年間は代表者として経営を行う必要があります。その後後継者が株式を継続して保有することが求められていますが、後継者が死亡した場合や次の後継者に贈与した時点で相続税は免除されます。

【税制改正】法人版事業承継税制の特例措置の設置

【税制改正】法人版事業承継税制の特例措置の設置
【税制改正】法人版事業承継税制の特例措置の設置

平成30年に行われた税制改正によって事業承継税制は大きく変わりました。今後10年間の時限的措置によって、使いやすく、しかもリスクの少ない制度に切り替わったのです。具体的にどのような措置がとられるようになったのか、詳しくみていきましょう。

使いやすく、リスクが大幅に減少

特例事業承継税制を従前の制度との違いを比較すると次の表のようになります。

項目従来の事業承継税制特例事業承継税制
対象株式発行済議決権株式総数の最大3分の2全株式
相続時の猶予対象評価額80%100%
雇用確保要件5年平均80%維持書面提出で免除
贈与等を行う者先代経営者のみ複数株主
後継者複数の株主から1人のみ複数の株主から最大3名
相続時精算課税推定相続人等後継者のみ推定相続人以外も適用可
特例承継課税提出不要要提出

従前の制度と比べて対象となる株式が3分の2から全株式に拡大されており、さらにその評価額のすべてが納税猶予の対象となっています。また雇用確保要件の実質的な撤廃によって、非常に使いやすくリスクが大幅に減少した制度となっています。

2027年12月31日までの贈与が対象

特例事業承継税制は、時限的な措置であることから、手続きや贈与に期限があります。

2023年3月31日までに認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けて作成した特例承継計画を都道府県庁に確認申請をした後、2027年12月31日までに贈与をしなければいけません。

税務署への申告

贈与をした年の10月15日から翌年1月15日までに都道府県庁に特例承継計画を添付して認定申請をします。認定書交付後、贈与税の申告書を税務署に提出します。相続時精算課税制度の適用を受ける場合は、その旨を明記します。

事業承継税制を申請するための要件

事業承継税制は中小企業が対象
事業承継税制は中小企業が対象

特例事業承継税制では、対象になる会社や後継者などに様々な要件が付けられています。こうした要件は、事業承継税制を申請するに際して、絶対に外せないものですから、予めチェックをしておきましょう。

会社に関わる要件

特例事業承継税制の対象になるのは中小企業です。中小企業法に定める中小企業の範囲は業種ごとに資本金と従業員数が次のように定められています。資本金と従業員数はどちらかが該当すれば対象になります。

業種資本金従業員数
製造業その他3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
小売業5千万以下50人以下
サービス業5千万以下100人以下

さらに中小企業のうち、特定事業承継税制の対象になるのは、次の要件に該当するものです。

  1. 会社法上の会社である
  2. 非上場企業である
  3. 性風俗関連特殊営業会社ではない
  4. 資産管理会社に該当しない

会社法の会社であることが条件になっていますので、社会福祉法人やNPO法人は対象になりません。また資産管理会社は対象外なので、事業形態によっては不動産会社等が対象にならないこともあります。

後継者に関わる要件

贈与の場合、後継者に関わる要件は次のとおりです。

  1. 会社の代表者である
  2. .20歳以上である
  3. 役員就任後3年を経過している
  4. .同族関係者を合わせて過半数の株式を有し、かつ同族関係者中の筆頭株主である

後継者になるためには、承継しようとする会社で3年の役員経験が必要ですから、計画的に準備を進める必要があります。

先代経営者に関わる要件

贈与の場合、先代経営者は次の要件を満たす必要があります。

  1. 会社の代表者であったこと
  2. 同族関係者を合わせて過半数の株式を有し、かつ同族関係者中の筆頭株主である

手続きに関わる要件

特例事業承継税制は、手続きが煩雑な点が特徴のひとつです。贈与前には、認定経営革新等支援機関の所見を記載した特例事業承継計画を策定する必要があります。

さらに贈与後に特例承継計画書を添付した認定申請書を都道府県庁に提出します。

申請認定後の要件

申請認定後も都道府県庁に「年次計画書」を毎年1回提出します。また税務署に「継続届出書」を提出します。

また雇用が5年平均で8割を下回った場合は、満たせなかった理由を記載して、認定経営革新等支援機関に確認をしてもらう必要があります。

そのうえで後継者は、株式を保有し続けなくてはいけないという要件があります。

認定を取り消されたときのデメリットと対策

特例事業承継税制の認定は取り消されてしまうことがある
特例事業承継税制の認定は取り消されてしまうことがある

特定事業承継税制は、一度認定をされたからといって、いつまでも納税猶予が適用されるというものではありません。会社や後継者の要件が満たされなくなれば、認定は取消されて、たちまち贈与税が適用されることになります。

ここでは認定を取り消されたときのデメリットとその対策について解説をします。

特例事業承継税制の認定は取り消されてしまうことがある

特例事業承継税制は、認定を受けるためにさまざまな要件がありましたが、納税猶予中にこれらの要件を欠いた場合、取消事由に該当するとして認定が取り消されることがあります。

たとえば5年以内に経営者が交代するといった事態が発生すると取り消し事由として扱われます。

取消自由に該当した場合に生じる税負担

取消事由に該当した場合、それまで猶予されていた贈与税がただちに適用されます。また贈与や相続が発生した時期から納付までの期間に対して、融資の利子に該当する「利子税」も併せて納付する必要があります。

贈与税は、相続税と比較しても税率が高く設定されていますから、非常に大きな負担となります。

相続時精算課税制度との併用による対策

図らずも取消事由に該当した際のリスクは非常に大きなものです。その対策として相続時精算課税制度との併用が有効です。

相続時精算課税とは、2500万円以下の贈与に対して贈与税を非課税とし、相続発生時に相続税として支払う仕組みの制度です。

従来併用ができないとされていましたが、認定取り消し時の負担が大きいことから平成29年の税制改正で併用が可能になりました。

これにより従前は、認定取り消し時にすべて税率の高い贈与税の対象になっていたものが、一部のみ贈与税の対象となり、残りは相続時に相続税として納税することができるようになっています。

事業承継税制の申請に向けて準備を始めよう

特例事業承継計画は2023年3月31日までに提出する
特例事業承継計画は2023年3月31日までに提出する

特例事業承継税制の申請に際しては、要件の整理や書類作成など用意周到な準備が求められます。さらに時限的措置という事で申請期限が限られていますから、早い段階から準備を進めないと納税猶予などの適用が受けられないことになります。

どのように準備をすすめればいいのかみていきましょう。

現状を把握しよう

特例事業承継税制の適用を受けるためには、さまざまな要件を満たす必要があります。

たとえば、後継者の要件として「役員就任後3年を経過している」といったものや「同族関係者を合わせて過半数の株式を有し、かつ同族関係者中の筆頭株主である」といったものがあります。

こうした要件を満たすためには、まずは現況を把握することが重要です。

後継者を確定・育成しよう

事業承継の第一歩は、後継者の決定にあります。後継者が決まらない事には何も始められません。

さらに後継者を決めた後は、実際に実務を経験してもらう必要があります。経営者のノウハウは一朝一夕で実践できるものではありませんから、長期的な展望での育成が必要です。

承継計画を提出しよう

特定事業承継税制の適用を受けるためには、会社として特定事業承継計画を策定する必要があります。この計画書に専門家集団である認定経営革新等支援機関の所見を記載してもらうことになりますから、税務上破綻のない内容の書面が求められます。

しかも特例事業承継税制は、時限的な措置ですので、提出期限が2023年3月31日と定められています。

専門の税理士を探そう

事業承継税制は極めて複雑な手続きと専門的な知識を要するため、会社経営の傍らに進めることはとても困難です。スムーズに特例事業承継税制の適用を進めるためには、やはり専門家の力を借りるのが最善の方法でしょう。

ただし特例事業承継税制は、税理士の業務の中でも特殊な分野の業務です。これまで一度も扱ったことのない税理士だと、書類作成に時間を要したり、役所からの手戻りが発生したりといったことが予測されます。

ここはやはり承継税制の業務経験のある税理士に依頼した方が安心だといえます。

監修税理士のコメント

アテンド会計事務所 - 神奈川県横浜市西区

事業承継は税制の優遇だけではなく、事業自体をスムーズに後継者に引き渡すまでのストーリーを組み立てなければなりません。 事業承継はすぐに実行されるものではなく、考え始めたときが税理士に相談するベストタイミングになりますので、まずは相談から始めましょう。
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税理士とのお付き合いは、そのときだけのものではなく、長期間に渡るものです。だからこそ、費用だけでなく、相性や対応の誠実さも、事前に十分に確認しておきたいですね。

また先述したように特例事業承継税制は、税理士の業務の中でも特殊な分野の業務です。

そんな特例事業承継に強い税理士選びにおすすめなのが、全国の税理士が登録しているマッチングサイト「ミツモア」です。地域と依頼したい内容に応じて、まずは見積もりが確認できます。その後、メッセージでのやりとりで担当業務の範囲やオプションなどを確認できるので、面談するのと同じように、税理士の人柄が見えてきます。

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