この記事でわかること
- システム導入成功の第一関門は打刻。うまくいかないときに、確認すべきこと
- 自社の独自ルールに、システムがどこまで対応できるか
- 「法改正への対応」で重要な3つの視点
- 勤怠や給与をまとめて1社に揃えるか、領域ごとに1つずつ選ぶか
勤怠管理システムの営業現場で、「他社に決めました」より多く聞く断り文句があるという。
「システム化することをやめます」
店舗の朝は、開店の準備が立て込む。シャッターを開け、照明をつけ、レジを立ち上げる。その流れの中で、自分のスマートフォンを取り出して打刻する動作が抜け落ちる。地下の店舗なら、電波がつながりづらく、打刻エラーが残ったまま忘れられる…。
比較表では「スマホ打刻○」でも、現場ではこうして使われなくなる。検討が止まってしまう盲点は、機能でも価格でもない。
KING OF TIME の看板前で
手書きの出勤簿、それは本当の勤務時間?
話を聞いたのは、株式会社ヒューマンテクノロジーズの藤澤和香奈氏。KING OF TIMEの広報を担当している。この会社に入る前は、住宅リフォームの提案営業をしていた。個人宅のキッチンや風呂のリフォームを提案する仕事である。
当時の勤怠管理は、手書きの出勤簿。土日の出勤や残業も少なくなかったが、周囲の空気感から勤務実態通りに申請することをためらってしまうことも多かったという。
次の会社を探すときの条件は、勤怠管理をきちんとしている会社にしよう
そうやって探すうちに巡り合ったのが、勤怠管理システムを提供する同社だった。入社は2019年。営業からマーケティングへ移り、この4月からは広報を務めている。
余談だが、彼女が転職を考えた頃と比べると、世の中の前提は少し動いている。年次有給休暇の取得率は66.9%で、1984年以降で過去最高になった。取得日数も平均12.1日で過去最多である(※1)。もっとも、それは平均の話だ。
勤怠管理に悩む側から、提供する側へ。その彼女に、勤怠管理システムの選び方を聞いた。最初につまずくのは、機能を比べはじめるより前の段階だという。
最初の関門は、打刻が定着するかどうか
最初の関門は、機能でも価格でもない。従業員がちゃんと打刻してくれるかどうかである。
検討企業の多くは打刻に悩まされている
勤怠管理システム導入における失敗として多いのは、意外な一点だという。
とりあえずシステムを入れたけど、従業員の打刻が定着しなかった、というお話は多くいただきますね
勤怠管理は、従業員が打刻して、そのデータを集計するところから始まる。打刻してもらえなければ、打刻漏れの確認や修正の依頼という手間が、毎月そのまま発生する。導入したのに手間が減らない、という状態はここから生まれる。
同社が2024年に行った中小企業の勤怠管理実態調査でも、同じ構図が出ている。勤怠の締め業務に時間がかかる理由として最も多く挙がったのは「打刻漏れや誤打刻の確認・修正作業が多いため」(64.5%)だった。
従業員側に聞いた調査では、6割以上が自分の勤怠を記録し忘れたり、誤って記録したりした経験があると答えている(※2)。
打刻でつまずく実態
64.5% ─ 締め業務に時間がかかる理由の1位
「打刻漏れや誤打刻の確認・修正作業が多いため」。集計そのものの煩雑さより上位に来ている。
6割以上 ─ 記録漏れ・誤記録の経験がある従業員
打つ側の問題ではなく、打てる状態になっていないことのほうが多い。
27.1% ─ その原因の上位「業務に追われ忘れてしまう」
忙しさの中で、打刻という一動作だけが抜け落ちる。
21.4% ─ 同じく「勤怠を記録する手段が勤務体系に合っていない」
手段そのものが現場と噛み合っていない、というケース。
株式会社ヒューマンテクノロジーズ「中小企業の勤怠管理実態調査」(調査会社IDEATECH/インターネット調査/2024年4月11〜12日実施)。締め業務の数値は前編(2024年5月30日公表。中小企業の勤怠管理担当者110名のうち、締め業務に時間がかかると回答した31名が対象)、記録漏れの経験と原因は後編(2024年6月11日公表。中小企業の会社員109名。原因は経験があると回答した70名が対象)による。
藤澤氏は、店舗における打刻を例に説明した。
実際にお伺いしたことがあるパターンですと、お店に着いて、お店を開けるオープン準備などがある中で、自分のスマホを出して出勤打刻するという、その動作を忘れてしまうんですよね
もう1つは、電波だった。
そのお店は地下にあって電波がつながりづらく、すぐ打刻できなくて、打刻エラーが発生したまま忘れてしまっていました
どちらも、機能の不足ではない。スマホ打刻という手段が、その店の朝の動線や電波状況と噛み合っていなかった、という話である。だとすれば、打刻方法を変える必要がある。レジのそばにカードをかざす打刻機を置く。有線LANでつなぐ機器を使う。置くスペースがないなら、店にもともとあるiPadで打刻する、などだ。
どういう打刻方法だったら忘れづらいかというのを、現場を見ながら状況に合わせて打刻手段を選び、必要に応じて変えていくことが大事かと思います
つまり選定時に確かめるべきなのは、機能スペックだけではなく、従業員の打刻までの導線を具体的に確認・イメージすること。また、もし入れた打刻方法が現場と合わなかったときに、システムを乗り換えずに打刻方法だけを差し替えられるかどうかである。
スマホ打刻からレジ横のカード打刻機へ、あるいは店にあるiPadへと替えられるなら、定着しなかったときにもすぐ代替できる。選べる打刻方式に何があるのかは、確認しておきたいポイントだ。
参考までに、KING OF TIME が公式サイトで掲げている打刻方法を並べてみる。
システムを乗り換えずに、打刻方法だけ替える
KING OF TIME が用意している20方式
PCパスワード認証
Myレコーダー(ブラウザ打刻)
クラウドタイムレコーダー
QRコード打刻
モバイル(位置情報)
アプリ(位置指定)
PCログオン・ログオフ連携(Windows対応)
ICカード(PC接続)
指紋認証(PC接続)
指静脈認証(PC接続)
指ハイブリッド(PC接続)
ICカード(専用端末)
ICカード(専用端末・携帯可)
顔認証(iPad専用)
カメレオンコード認証(iPad専用)
入退室管理連携
アルコールチェック連携(モバイル版)
アルコールチェック連携(据置型)
決済端末連携
チャット連携
同社公式サイトの打刻方法一覧および同社への確認による(2026年8月時点)。同サイトは打刻方法を無料端末7/PC接続4/ICカード2/生体認証4/連携5のカテゴリで案内しており、同じ方式が複数のカテゴリに掲げられているため、カテゴリの合計は方式数と一致しない。一部は専用機器・ライセンスの購入が必要。方式の数を他社と比べるための図ではない。
「うちの勤怠ルールは一般的」と思っている会社にも、独自ルールはある
勤務間インターバル制度という制度がある。働き方改革関連法による労働時間等設定改善法の改正で、2019年4月1日から事業主の努力義務になった。終業から次の始業までに、一定の休息時間を空ける制度である。
努力義務になって6年が経つが、導入している企業は6.9%にとどまる。導入を予定または検討している企業が13.8%で、残る78.7%は導入予定も検討もない(※1)。その導入予定がない企業に理由を聞くと、1位は「超過勤務の機会が少なく、当該制度を導入する必要性を感じないため」で、57.3%だった。つまり、「ちゃんと管理できているから、うちには必要ない」という自己判断が、これだけの規模で起きているということだ。
「うちの就業規則、勤怠ルールは一般的ですよ」と言っても、実は独自ルールがあったりして、それを特殊だと気づいていないんです
「うちは特殊かもしれない」と自覚している会社は、選定のときにその項目を確認する。一方で「うちは一般的です」と考えている会社は、確認する項目が思い浮かびにくい。独自ルールがあること自体はどの会社にもある、というのが藤澤氏の見立てだった。
例えば、法律が定めているのは大枠だけで、運用の細部は会社ごとに分かれる。下の3つは、その代表例である。
「一般的」と思われがちだが、会社ごとに分かれる項目
直行直帰の営業 ─ みなすか、実測するか
事業場外みなし労働時間制を使うか、実労働時間で管理するか。携帯電話で逐次指示・報告をしている場合はみなしが使えない。
休憩の控除 ─ 法律は長さしか決めていない
6時間超で45分以上、8時間超で1時間以上。何時に、何回に分けて、取れなかったときにどう扱うかは各社の規則による。
夜勤の日またぎ ─ どこから翌日にするか
2暦日にわたる連続勤務は「始業時刻の属する日」の1日として数える。どこから翌日扱いにするかの運用は会社ごとに違う。
法令・通達をもとに編集部で整理。休憩は労働基準法34条、事業場外みなし労働時間制は同法38条の2、2暦日にわたる勤務の扱いは昭和63年1月1日 基発第1号による。藤澤氏の取材で挙がった例ではない。
「法改正に対応」の具体策を確認する
比較表には、法改正への対応欄がある。基本的にどのシステムにも「○」が並ぶ。では、その「○」は何を指しているのか。藤澤氏は、先ほどの勤務間インターバルを例に説明した。同じ「法改正に対応」でも、中身が分かれるという。例えば以下の3つがある。
「勤怠インターバル対応」でも、方法は分かれることがある
打刻ができない
インターバルを満たしていないと、そもそも打刻できない。
打刻はできるが、アラートが飛ぶ
打刻自体は通る。そのうえで警告が出る。
回数を記録するだけ
守れていない回数が記録として残る。
藤澤氏の説明を編集部で整理。代表的な分かれ方の例。段階ではなく並列。
記録するだけでは少し足りない、というのが彼女の見方だった。アラートが飛んで、総務や上長が気づいて指導するところまでできないといけない。
システムを選ぶ際には、どういう対応方法になっているのかを各社に聞いた方が安心だと思います
つまり商談で聞くべきなのは「法令に抵触しそうなとき、どのような方法で、誰に通知がされるか」ということである。
KING OF TIMEショールームの様子
給与計算ソフトなどとまとめて揃えるか、別々に選ぶか
もう1つ、システムを決める前に考えておくべきことがある。勤怠と給与と労務など、バックオフィス系のシステムをまとめて1社のベンダーで揃えるのか、領域ごとに各ベンダーの製品を1つずつ選ぶのか。
実際、商談を経てKING OF TIME以外を選ぶ理由として挙がるのは、いま使っている給与計算ソフトなどとの連携だった。すでに給与計算などを別のベンダーのソフトで動かしている会社は、勤怠もその同じシリーズから選ぶ、ということである。
一方で、逆の選び方をする顧客もいる。
全部合わせて80点のシステムじゃなくて、100点100点100点を選びたいみたいなお客様ですね
勤怠管理は勤怠管理で、給与計算は給与計算で、自社に最も合う1社を選ぶ。ここで言う100点とは「自社にとって最もフィットするシステム」の意味だ。1社で全領域を揃える利便性より、領域ごとに自社最適を選ぶ自由度を取る、という発想である。
どちらが正しいという話ではない。先に決めておかないと比較ができない、という話である。
なぜ4つのプロダクトを300円で提供するのか
ここまで勤怠管理システムの選び方について見てきたが、KING OF TIMEについても深掘りをしていく必要があるだろう。KING OF TIMEは、勤怠管理クラウド市場で利用ID数が12年連続1位(※3)。この領域でいちばん多く使われているサービスである。
なぜここまで支持されているのか――。
その理由を掘ることで、勤怠管理だけでなく、人事労務領域の「いま」が見えてくるのではないかと感じたからだ。
同社が企業理念に掲げているのは「人時生産性をお客様と共に考える」。人時生産性とは、従業員一人が1時間でどれだけの利益を生み出しているかを表す指標である。企業にとって最も重要な経営資源は「ヒト(人材)」であり、その「時間」を管理するベースになるのが勤怠管理であって、人時生産性を向上させることこそがグループの使命だとしている(※4)。
サービス提供が始まったのは2003年12月。20年以上、1人あたり月額300円という価格が変わっていない。その間、機能は増え続けている。なぜ、価格を上げないのか。
多くの競合サービスは、機能を追加するたびにアドオンでオプション料金を積み上げ、単価を上げていくモデルをとっています。しかしKING OF TIMEは、あえてその逆を行きました。人事労務や給与計算、データ分析まで含めて、1ユーザー月額300円で提供し続けるという決断です。
資本力のある競合と同じ土俵で戦っても勝ち目はありません。他社が簡単に値下げに踏み切れないなかで、KING OF TIMEが「低価格・高品質」を貫けるのは、これまで積み重ねてきた実績と利益があるからこそです。
1人あたり月額300円に含まれるもの
| プロダクト | 300円に含まれるか |
|---|---|
| 勤怠管理 | ○ |
| 給与計算 | ○ |
| 人事労務 | ○ |
| データ分析 | ○ |
| PCログの自動取得 | ○ |
| 電子契約 | — |
同社「2027年3月期 第1四半期 決算補足説明資料」(2026年8月14日)による。ワンプライスの開始は2020年4月から(https://www.kingoftime.jp/news/one_price/)。ワンプライスの枠外に置かれている有償オプションは電子契約のみ。
「300円って1日打刻して10円」。この価格は20年以上変わっていない
KING OF TIMEが「安かろう悪かろう」にならない理由
ここで Section 03 の問いに戻る。自社のルールがシステムの基本機能で対応できない場合、多くのシステムはカスタマイズやオプションで対応する。当然、価格は上がってしまう。
しかし、KING OF TIMEは違う。前提として、機能の数が多い。長年、顧客の要望を受けて開発を重ねてきた蓄積だという。その豊富な機能を、個別開発なしに組み合わせる。つまり、機能のオンオフと設定項目の組み合わせで業務要件に対応する設計を採っている。個別開発をしないから、同じものを安く広く提供できる。
自社のルールが標準の枠に収まらないとき
多くのシステム
足りない部分を、そのつど作って埋める。
個別開発を伴う- カスタマイズやオプションで対応する
- 作った分だけ費用が乗る
- 価格は上がる
KING OF TIME
あらかじめ用意した機能を、設定で組み替える。
個別開発を伴わない- 機能のオンオフと設定項目の組み合わせで対応する
- 同じものを広く配れる
- 価格を据え置ける
「機能のオンオフや設定項目の組み合わせにより、個別開発を伴わず多様な業務要件に対応可能な設計」は同社「2027年3月期 第1四半期 決算補足説明資料」による。左は一般的な対応の仕方であり、特定の他社製品を指すものではない。
個別の事情で特殊すぎるものを除けば、労働基準法に準拠していて就業規則に書いてあるものは、ほぼ対応できる、というのが同社の答えだった。
設定代行をしているパートナー企業からは、他社の機能をひととおり見たうえで「KING OF TIMEだったら、ほぼ対応できると言っても過言ではない」と言われているそうだ。
選ばれる決め手として、藤澤氏はシェア1位の実績よりも「価格は正直インパクトが強い」ほうを挙げていた。「安かろう悪かろう」ではなく、その価格を支える設計と方針があったということだ。
競合は、競合にあらず?
勤怠管理システムは、従業員からすれば基本的に出勤と退勤の打刻を押すだけ。それなら今の時代であれば、AIで作れるのではないか。無邪気にそう聞いてみた。
作れるということと、それを運用し続けられるというのは、別の話ですよねというのが私たちの考えでありまして
法対応があり、働き方に合わせた計算ルールがある。新しい働き方ができれば直し、新しい法律ができれば直す。それを続けられるか。間違えたときの責任は誰が負うのか。勤怠データは個人情報でもあるから、自作したシステムのセキュリティ上の弱さを、作った担当者が改善しきれるのか。
「作れる」と「運用し続けられる」は別
法改正があるたびに直す
新しい法令だけでなく、これまでの法令も守り続けなければならない。
新しい働き方に合わせて計算ルールを直す
働き方が増えれば、そのつど集計の仕方が変わる。
間違えたときの責任を誰かが負う
賃金の計算に直結するため、誤りは金銭の問題になる。
個人情報である勤怠データを守り続ける
自作したシステムの弱さを、作った担当者が改善しきれるか。
実際、法改正への追随は、この領域の参入障壁になっている。同社自身、複雑な労働法制のもとで「法適合責任」を果たし続けることは、ソフトウェアを作ること以上に困難だとしている。新しく参入する会社なら、なおさらだ。これから施行される法令に追いつくだけでなく、これまでの法令も守り続けなければならない。そこを自社だけで回しきるのは難しい、というのが藤澤氏の見方だった。
実はKING OF TIMEは、他社ブランドの勤怠管理システムの中身としても動いている。自社の看板で売りながら、中身は別の会社のものを使う形をOEMという。
たとえば、会計・給与領域の弥生には「弥生勤怠 Next」として2025年4月1日から、採用支援のミイダスには「ミイダス 勤怠管理」として2025年12月1日から、タレントマネジメントのHRBrainには「HRBrain 勤怠管理」として2026年4月1日から提供されている(※5)。比較表で競合に見える製品の中身が、実はKING OF TIMEであることもある。
上記で挙げた企業はいずれも、自社でプロダクトを作っている会社である。それでもなぜ、勤怠管理システムの製造はKING OF TIMEに任せるのか。
勤怠管理は、さまざまな働き方や勤怠ルールに対応する必要があり、法改正にも継続的に対応していかなければならないため、自社で一から構築し、運用し続けるのは簡単ではありません。
KING OF TIMEは20年以上にわたって勤怠管理に向き合い、多くのお客様にご利用いただく中で機能を充実させてきました。そうした長年の実績とノウハウがあることも、OEMとして採用いただく理由の一つだと考えています
勤怠アラート機能から見る、プロダクト思想
KING OF TIMEのプロダクト思想にも迫ってみる。まずKING OF TIMEの開発において、顧客に言われた要望を、そのまま反映することはないのだという。
お客様から言われた要望を、そのまま反映することはないですね
要望の背景に何があり、どういう対応が必要か。それをより多くの顧客が使える形に一般化してから実装する、という話だった。
その一つの例として出てきたのが、Section 03 で触れた勤怠アラートの通知機能についてだ。
システムを管理している人事総務の方とか、上長にお知らせする機能が充実しています
従業員本人に知らせることも大事だが、それだけでなく管理する側にも届く。KING OF TIMEには「会社を守るためのツール」という側面が強いからだ。使い手の便利さだけでなく、企業のコンプライアンスと従業員を守る側に重心がある、というのが藤澤氏の説明だった。
プロダクトの思想や哲学は、こうした細部に表れることを痛感した。
シリーズで揃える必要はない――幅広いAPI連携という強み
なかなか死角が見当たらないKING OF TIME。そこで、少しいじわるな質問をぶつけてみた。
勤怠管理システムの強さはわかった。しかし、労務管理や給与計算は、他社の方が優れている可能性がある。Section 03 で触れたように、すべてKING OF TIMEで揃える必要はないですよね、と。
はい、それでも構いませんよ
意外な回答に、こちらがたじろぐ。
KING OF TIMEは他社とのAPI連携を精力的に進めているので、自社に最適な組み合わせで選んでいただくことが可能です
API連携とは、システム同士をつなぐ仕組みのことだ。勤怠で集計した労働時間を、他社の給与ソフトへ自動で渡す、といった使い方になる。担当者が毎月CSVを書き出して貼り替える、という作業がなくなる。
もちろん、KING OF TIMEは300円で給与計算や労務、データ分析までできるので、お得ではありますが
他社製品ともAPIでつなげる。KING OF TIMEで揃えれば、同じ料金の中で分析までできる。幅広い選択肢が用意されているのも、KING OF TIMEの特徴といえる。
まとめて揃えるか、領域ごとに1つずつ選ぶか
まとめて1社に揃える
いま使っている給与計算ソフトとの並びで決まることが多い。
同一料金内で完結する- 連携の心配が要らない
- 同じ料金の中で分析まで届く
領域ごとに1つずつ選ぶ
領域ごとに、自社に一番合うシステムを選ぶ(100点=自社にとっての最適解)。
API連携でつなぐ- 勤怠は勤怠で自社に合うものを選ぶ
- 毎月のCSV書き出しが要らなくなる
藤澤氏の発言をもとに編集部で整理。どちらが正しいという話ではなく、先に決めておかないと比較ができないという趣旨。
システム導入時のつまずきをなくすために
KING OF TIMEでも、全部の商談を成功させるわけではあるまい。そこで最後に、失注する際の理由を聞いてみた。冒頭に触れた、いちばん多い断られ方の正体である。
他社様に、というより「システム化することをやめます」ということが多い印象です
これは統計ではなく、営業の体感として語られたものである。それでも、Section 02 で見た打刻が定着しない話と重ねると、輪郭が浮かび上がってくる。導入したのに使われなかった記憶があると、次の検討は重くなる。
では、同社なら定着するのか。
必ずしも弊社だから解決できるとは限りません。ただ、打刻をする手段の選択肢が多くあるので、良いものを選べるというのがKING OF TIMEの良さの一つかなと思っています
最初につまずきやすいシステムの設計や、打刻方法の選び方が最初からできていれば、定着はしやすいのではないか、というのが藤澤氏の見立てである。
藤澤氏は導入事例の取材をした際、このような話を聞いている。
集計に担当者が1人で毎月5日かけていた会社が、5時間になった。最初は「無理だ」「面倒だ」と言われたスマホ打刻が、3か月程度で100%近くの従業員に定着した。
弊社の製品で結果・成果が出ているんだな、というところを聞いて嬉しくなりました
かつては勤怠管理に悩まされ、勤怠管理システムの会社に入社し、いまでは他社の勤怠管理の改善に喜びを得ている。
会社と従業員を守るサポートをしてくれる勤怠管理システム。その勤怠管理システムの選び方は、最初から比較表とにらめっこしても決まらない。まずは自社の労働環境を見直す。その貴重な機会だ。
藤澤氏への取材を通し、勤怠管理の重要性を再認識するとともに、KING OF TIMEの強さの秘訣を垣間見た気がした。
「勤怠管理をきちんとしている会社にしよう」。その条件で選んだ会社で、いまは提供する側に立っている
取材・文 / 東條 健
撮影 / 東原 昇平
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株式会社ヒューマンテクノロジーズ
クラウド勤怠管理システム「KING OF TIME」を提供する。勤怠管理を起点に、給与計算・人事労務・データ分析・電子契約までをシリーズで展開し、1人あたり月額300円のワンプライスで提供している。企業理念に「人時生産性をお客様と共に考える」を掲げ、勤怠管理を日々の煩雑なオペレーション業務から、人に紐づくデータを活用できる創造的業務へ転換することを目指している。
出典
※1 年次有給休暇の取得率・取得日数、および勤務間インターバル制度の導入状況は、厚生労働省「令和7年(2025年)就労条件総合調査」(2025年12月19日公表/調査時点2025年1月1日/常用労働者30人以上の民営企業6,448社を抽出し有効回答3,820社)による。同調査は年1回の公表で、本稿執筆時点(2026年8月)では令和7年版が最新。
※2 中小企業の勤怠管理に関する数値は、株式会社ヒューマンテクノロジーズ「中小企業の勤怠管理実態調査」(調査会社IDEATECH/インターネット調査/2024年4月11〜12日実施)による。締め業務の数値は前編(2024年5月30日公表。勤怠管理担当者110名のうち、締め業務に時間がかかると回答した31名が対象)、記録漏れの経験と原因は後編(2024年6月11日公表。会社員109名。原因は経験があると回答した70名が対象)。
※3 「勤怠管理クラウド市場で12年連続No.1」は、富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2015年版〜2026年版」勤怠管理ソフトSaaS/PaaS市場 利用ID数 2014年度〜2025年度実績 ベンダーシェアによる。
※4 企業理念「人時生産性をお客様と共に考える」、人時生産性の定義、グループの使命に関する記述は、同社公式サイトの企業理念ページによる。
※5 課金社数7.5万社・課金ID数455万IDは、同社公式サイト(https://www.kingoftime.jp/、2026年8月時点)による(2026年7月末時点)。OEM提供先と提供開始日は、同社「2026年3月期 決算説明会資料」(2026年5月18日)による。