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相続税申告の税理士の選び方とは? 気になる報酬・費用相場もご紹介!

最終更新日: 2022年12月16日

相続税を申告する機会は、人生で何度も訪れるものではありません。不慣れな書類への記載が自らの力では無理だと判断した場合には、税理士に依頼することになります。

知り合いの税理士にお願いしようと考えた方は、少しお待ちください。相続税申告は税理士が扱う業務の中でも特殊な分野なのです。相続税の申告はどんな税理士に頼めばいいのか、詳しくご説明していきましょう。

相続税の申告は、相続専門の税理士に頼むべき?

相続税の専門の税理士とは?
相続税の専門の税理士とは?

税理士は税の専門家ですので、あらゆる税金のノウハウを有していると考えがちですが、実際のところはどうなのでしょうか? 相続税に関しては、税務署は他の税に比べて特に厳しいチェックを行っています。税務署からなんの指摘も受けないような相続税申告書を作成し、そのうえで可能な限り節税をしたい。そんな思いを実現してくれる税理士とは、どんな税理士なのでしょうか。

相続税は税務調査の確率が高い

相続税は申告後の税務調査に当たる確率が、20%だということはご存知でしょうか。税務調査というのは、相続税申告後に財務内容の記載漏れや誤りを確認するために、故人が住んでいた家や申告者の自宅を訪ねてくる調査のことをいいます。この20%という数値は、所得税や法人税の調査と比較しても相当に高い割合です。税務署職員が実際に家を訪問してきて調査を受けたのが、相続税申告者の5人に1人だという事実には驚かされます。

さらに、それ以上に驚かされるのが、申告漏れを指摘された割合です。国税庁が発表した平成28年の調査状況によると、税務調査件数12,116件のうち、申告の間違いや漏れを指摘されたのは、9,930件と、実に82.0%という高い割合なのです。そしてその中の13.1%にあたる1,300件が重加算税を課せられているのです。

(表)相続税の調査実績
(表)相続税の調査実績

この税務調査は、通常午前10時から午後3時過ぎまで行われます。税理士に依頼せずに自主申告した場合は、税務署の質疑をすべて納税者本人がこなすことになります。税理士に申告を依頼していた人であれば、この場に税理士が立ち会ってくれるのですから、精神的負担がずいぶんと軽減されます。

どんな申告内容が税務調査の対象になるのか

税務調査の対象は、無作為に選んでいるのではなく、なんらかの問題がありそうな案件を選択しています。

税務調査の対象になるケースとして最も分かりやすいのは、記載ミスでしょう。相続税の申告書は項目別に第1表から第15表まであります。各表に必要事項や金額を書き込むのですが、相続税に不慣れな税理士だと、記載ミスや記載漏れが生じたり、土地の評価方法を誤ることがあります。

申告に計上されていない財産がある場合も税務調査の対象になります。税務署は職務権限で各関係機関と強大なネットワークを確立しています。まず死亡の事実は、各市区町村からすみやかに税務署に知らされることになっています。それを受けて税務署は、不動産情報を地方自治体に確認します。預貯金や株式も同様に金融機関に問い合わせをしているのです。

これらの情報と申告が整合していないと、たちまち税務調査の対象になります。申告者本人が隠すつもりがなくても、相続税に不慣れな税理士だと、確認をおろそかにして、申告書に記載することを失念していたということになりかねません。

専門性の無い税理士に頼んだら起こる怖い話

(表)申告漏れ相続財産の金額の構成比の推移
(表)申告漏れ相続財産の金額の構成比の推移

出典:国税(https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2017/sozoku_chosa/index.htm

税務署調査では、預貯金の出し入れもチェックの対象です。平成28年の税務調査でも、最も指摘が多かったのが現金・預金に関する事項で全体の33%を占めていました。平成24年まで遡ってみても、例年、現金・預金に関する指摘が最も多いという結果が出ており、まさに、ここに専門性の無い税理士に頼んだ場合の落とし穴が潜んでいます。

たとえば、故人が亡くなる直前に300万円の現金が預金から引き出されていたとします。故人はずっと療養生活をしていましたから、自分のために使うことはありません。もし家族が葬儀に使う費用として引き出していたとしたら、これも相続財産として申告しないといけないのです。それを計上せずに、単に預金残高だけを相続財産として申告すれば、たちまち申告漏れとして指摘されます。これは「手元財産」といって、申告漏れの最も典型的なケースなのです。相続税の専門性が無い税理士であれば、こんな基本的な点も見落としてしまうことがあります。

専門性の無い税理士は、生前贈与の扱いも見落としがちです。一向に就職をしない娘が心配だからと、毎年、贈与税の非課税枠内の110万円ずつ、娘名義の預金通帳に振り込んでいたとします。ただし、娘がその預金通帳の存在をまったく知らなかったとすると、これは「名義預金」として、申告漏れの扱いになるのです。

たとえ預金通帳の存在を知っていたとしても、娘に通帳も印鑑もキャッシュカードも渡していなければ、同様の扱いとなります。娘が自由に引き出していた実績や贈与契約がない限りは、「名義預金」の扱いを受けてしまうのです。相続税の専門性の無い税理士だと、そのあたりのアドバイスをしてもらえないことがあります。

不動産の評価でも相続税の専門性の有無で大きな違いがでてきます。専門性の無い税理士だと机上のみで評価をくだしてしまう可能性があるので、とても危険なのです。

古くから土地の登記がされている物件だと、登記上の面積と実測値が異なっていることが多々あります。しかも傾向としては、実測よりも過小に登記されていることが多いのです。実測をすると登記の何倍も広い土地だったということはよくあります。それを見逃して登記の面積で土地評価をして申告してしまうと、税務調査の際に過少申告の指摘を受けてしまうことになるのです。

また反対に専門性が無いために、過大評価をしてしまい余分に相続税を収めてしまう事態も起こり得ます。故人の土地を路線価で適正に評価したとしても、その他の減額要素を見落としてしまうことがあるのです。

土地の評価は整形なものを基準に想定しています。この土地が歪であったり細長いなどの不整形なものであれば、評価を下げることができるのです。他にも崖が背面に迫っていたり、反対に崖の上に建っていたり、近くに墓地や高圧線があるような場合も同様に土地の評価を下げることができます。専門性の無い税理士は、こんなことも見落としてしまう可能性があるのです。

相続税申告には専門性が必要

国税庁の28年の調査報告によると、相続税の申告漏れによる課税価格は、一人当たり2,720万円、追徴税額は591万円とされています。

申告漏れというと、あたかも意図的に財産を隠したかのような印象を受けますが、相続税申告への理解不足から、意図せず相続資産の対象から外してしまったケースも少なくありません。税務調査は、申告した年の1~3年後の夏から秋の期間に行われます。やっと生活が落ち着いた頃に、追徴課税を収めるよう指導されても既に手元に現金がないこともあり得ます。そうしたリスクを回避する意味でも、相続税申告は専門性の有る税理士に頼んだ方が安心度が高いのです。

さらに相続税申告の専門性の有る税理士であれば、書面添付制度を活用してくれる可能性があります。書面添付制度というのは、税理士が納税者に質問した内容をまとめた書面を申告書に添付して提出する制度です。この制度を活用すると、万が一税務調査の対象になっても、税理士のみが税務署に出向いて説明をすればいいとされています。

書面添付制度を活用したものに不備が見つかったとしても、納税者には一切のペナルティは課せられません。このように納税者にとってはメリットある書面添付制度ですが、この制度を利用して申告している税理士は全体の一割にすぎません。

なぜ活用されていないかといえば、事実と異なる記載があった場合には、税理士が懲戒処分の対象になってしまうからです。このような税理士にとってリスクの高い制度を活用してくれるのは、相続税の専門性の有る税理士ならではです。

相続税申告を相談する税理士の選び方はどうする?11のチェックポイントで確認!

相続税専門の税理士はどうやって選べばいいの?

年間の相続税申告件数は約5万4千件ですが、一方税理士の登録数は約7万5千人です。つまり、一年の間に一件も相続税申告をしたことがない税理士が大勢いることになります。このことからも、相続税申告を専門とする税理士とそれ以外の税理士の経験値の差は歴然としているといえます。

相続税の申告件数と税理士登録数
相続税の申告件数と税理士登録数

それではどうやって、相続税申告に強い税理士を探し、選べばいいのでしょうか。そのポイントをみていきましょう。

相続税に強い税理士の選び方【11項目】
1.相続税の経験豊富な税理士である
2.年間の申告実績が多い
3.税務調査率の低さに注目
4.メールや質問へのレスポンスが速い
5. 相性が良くクライアントの味方になってくれそう
6.他の専門家と連携が取れている
7.費用が明確になっている
8.担当者が明確になっている
9.書面添付制度の提案があるか
10.申告後のアフターサービスの有無
11.セカンドオピニオンも検討しよう

1.相続税の経験豊富な税理士である

相続税申告の専門性の有無を判断する上で、実績は最も重要な指標です。インターネットや広告などで、相続税申告の実績を公表している税理士を探しましょう。

中には申請件数ではなく、「相談件数」を公表している税理士もいます。相談件数では、実際にどれだけ実績があるのかまったく分かりません。たとえば、知り合いに「兄弟二人で相続する場合に、いくら以上相続財産があれば相続税がかかるのか」といった、初歩的な質問までも相談件数に加えている可能性があるからです。

<相続税申告の知識・経験が豊富であるかのチェックポイント>

  • 税理士試験の選択科目で「相続税法」を選び合格しているか
  • 「相談数」ではなく「申告実績数」が多いか(実務をこなしているか)
  • 税理士事務所の全体ではなく1人あたりの申告実績数が多いか
  • 実際に対応している業務範囲が広いか(税務調査対応・財産の評価額算出など)

「全11科目中5科目を選んで合格する」という税理士試験の特性上、相続税法にあまり触れていない税理士がいるのも実情です。事前に「相続税法」を学んだ「経験豊富な」税理士かどうかを見極めてください。

2.年間の申告実績が多い

相続税の申告に強い税理士は、年間の相続税申告件数が多い税理士です。「相続税に強い」とうたっていても、実際の申告件数は少ない税理士もいます。相続税の申告件数がどれくらいなのかを確認しましょう。

税理士事務所の中には、「相続税の相談件数〇〇件」とアピールしているところもありますが、重要なのは申告件数です。相談件数は、無料相談を受け付ければ、いくらでも増やすことができます。メールでの問い合わせを1件としてカウントしているケースもあります。相談ばかりで実際の申告経験がない税理士は信用しない方がよいでしょう。

目安として、年間で少なくとも50件以上、望ましくは100件以上の申告件数があれば、相続税に強い事務所と考えられます。ホームページを見ても年間申告件数がわからない場合には、電話やメールで直接問い合わせてみましょう。

3.税務調査率の低さに注目

相続税の申告では、4~5人に1人が税務調査を受けると言われています。税務調査を受けることになると、申告漏れを指摘され、追徴課税を受ける可能性があります。できることなら、税務調査は避けたいでしょう。

相続税に強い税理士は、税務調査率が低いという特徴があります。税務調査率が低いということは、税務署からも「この税理士が申告したのなら間違いがない」と信用されているということです。目安として、税務調査率が4~5%以下なら安心でしょう。

4.メールや質問へのレスポンスが速い

問い合わせをしたときに対応でも、信頼できる税理士かどうかがわかります。メールを送っても何日も返事がないような税理士事務所は、あまり信用しない方がよいでしょう。

相続税には申告期限もあるので、スピーディーな対応が欠かせません。質問を送ったらすぐに回答してくれるかどうかをチェックし、レスポンスが早い事務所に依頼しましょう。

5.相性が良くクライアントの味方になってくれそう

遺産相続というセンシティブな問題への対応なため、担当税理士との関係性は重要です。必ず「あなたが心から信頼でき、あなたの味方になってくれそうな税理士」に相続税申告の対応を依頼しましょう。依頼する前に、以下のポイントを確認してみてください。

<相性が良い税理士のチェックポイント>

  • クライアント第一に行動し、税務署・国税局の味方にならないか
  • 親族の内情を話しても問題なさそう・仲裁を任せられそうか
  • できるだけ近くの税理士事務所の所属であるか

パッと見でわかりにくいのが「クライアント第一に動いてくれるか」です。たとえば税理士の中には、税務署での実務経験を経て税理士になった国税局・税務署OB・OGの方がいます。彼らは税務署の目線を持っているため、どうしてもクライアント優先の選択ができない場合があるのです。

税務署関係のOB・OGであるか、信頼できる税理士であるか等の判断するには、直接会って質問したり人柄を見たりするのが1番効果的です。プロフィールや電話越しの声だけではなく、会ったときの雰囲気や会話の相性を考慮して依頼しましょう。

6.他の専門家と連携が取れている

相続税申告の専門性がある税理士であったとしても、対応できる業務は相続税の申告に限定されます。しかし、相続業務全般で考えてみると、預貯金や株式の名義変更、不動産の名義変更、自動車の名義変更、法定相続情報一覧図の交付手続など、司法書士や行政書士に依頼しなくては対応できない業務が山積みされています。

相続税申告に関して頼れる税理士を苦労の末見つけたと思ったら、続けて司法書士や行政書士を探さないといけないとなると、その負担は計り知れません。さらに相続そのものが紛争の可能性があるのなら、弁護士まで用意しないといけないのです。

連携ありの事務所のメリットは、税分野以外のカバーができるだけではありません。たとえば相談の末に相続税が発生しないと判明したとき、税務手続き以外の依頼を他の専門家にすぐ頼めます。各分野の専門性を活かすためにも、他の専門家と連携している事務所の利用がオススメです。

7.費用が明確になっている

税理士との契約前に、「依頼料はいくらなのか」「成功報酬制なのか」など、こちらが支払う費用が明確になっているかをチェックしましょう。ここが不明瞭だと、あとで高額な費用になったり、難癖をつけられ報酬額を上げられたりする可能性も否定できません。

とくに気をつけたいのは成功報酬です。成功報酬とは、税理士の関与により税額が安くなった場合に、その税額に対して一定の割合の報酬を請求するというものです。これを見落とした結果、見積もった報酬額以上を支払うことも十分にありえます。

8.担当者の税理士が明確になっている

税理士への正式な依頼する前に「税理士自身がすべてに対応してくれるのか」も明確にするとよいでしょう。

いくら相続に実績のある税理士事務所に依頼したとしても、実際に業務をこなしていくのは、担当税理士になります。大手になればなるほど、優秀な税理士とそれ以外の税理士の差な相当の開きがあります。そればかりか税理士資格のない補助者が担当することもあり得るのです。

最初の相談に行った際に応対した税理士の感じがよかったから、その税理士事務所に依頼をしたのに、まったく別の税理士もしくは補助者が担当したということはよくある話です。

この場合は後から税理士のチェックがあったとしても、見落としや記入間違いなどで追徴課税が発生する危険性も否定できません。必ず税理士の業務範囲の確認を取り、できればすべて税理士が作業してくれるところを選ぶとよいでしょう。

9.書面添付制度の提案がある

相続税の書面添付制度とは、相続税申告書と一緒に税理士が作成した書面を添付して、申告の背景にある事実や判断について説明できるというものです。「税理士法第33条の2の書面添付」とも呼ばれています。

書面添付制度を利用すれば、税務調査を受ける確率が下がるというメリットがあります。というのも、税務署が疑問に思うであろう点について、あらかじめ添付した書面で説明してあるからです。もし疑問点が発生した場合でも、税務調査前に税理士への意見聴取が行われるため、実際に税務調査を受ける可能性はかなり低くなります。

書面添付制度は、申告者にとってはありがたい制度ですが、税理士にとっては責任が重くなってしまいます。ですから、書面添付制度の提案をしてくれる税理士は、相続税申告に自信がある税理士と考えていいでしょう。

10.申告後のアフターサービスの有無

相続税の申告後に、申告書の誤りに気付くことがあります。申告書が間違っていた場合、納税額が不足していれば「修正申告」、逆に納税額が過大であれば「更正の請求」をしなければなりません。申告後の手続きにも対応してくれる税理士かどうかを確認しておきましょう。

修正申告が必要な場合、不足していた税額について、申告期限の翌日以降の延滞税が加算されます。税務調査で指摘され追徴課税された場合には、過少申告加算税もかかってしまいます。修正申告や追徴の必要性が生じたとき、税理士が速やかに対応してくれるかどうかは特に重要です。

11.セカンドオピニオンも検討しよう

相続税の申告をした後、納税額が高すぎると感じた場合には、他の税理士に相続税の計算をやり直してもらうことも検討しましょう。相続税は、どの税理士が計算しても同じになるわけではありません。土地のように評価が難しい財産は、税理士によって評価額が変わり、納税額が大きな差が出ることがあります。

セカンドオピニオンにより、納税額が多すぎたことがわかれば、更正の請求をすることにより税金の還付を受けられます。

相続税を税理士に依頼する際の税理士報酬

税理士報酬
税理士報酬相続税を依頼するときの税理士報酬

税理士に相続税の申告を依頼すると、税理士報酬が発生します。ただでさえ税金を払わなければならないのに、報酬が高すぎれば納得がいかないものです。税理士の選び方として、報酬を基準にしたいと考える人も多いでしょう。以下、相続税の税理士報酬の相場について説明します。

一般的な税理士報酬

相続税申告の税理士報酬額の相場は、遺産総額の0.5%~1.0%程度と言われています。一般には、報酬額として次の表の範囲内の金額が設定されているケースが多くなっています。

遺産総額 税理士報酬
5,000万円未満 20~50万円
5,000万円以上7,000万円未満 25~70万円
7,000万円以上1億円未満 35~100万円
1億円以上3億円未満 50~150万円
3億円以上5億円未満 60~200万円
5億円以上10億円未満 150~300万円
10億円以上 要相談

【例1】遺産総額5,000万円以下の場合

税理士の基本報酬は遺産総額の0.5%~1.0%が相場なので、遺産総額が5,000万円の場合には25~50万円程度です。ただし、案件の難易度等によって別途加算報酬がかかることがあります。

加算報酬がかかる場合には、相続人が1人増えるごとに基本報酬の10%程度が追加されます。たとえば、基本報酬が50万円の場合、相続人が3人(2人追加)であれば、10万円が加算されるということです。

また、土地や非上場株式など評価が難しい財産が含まれる場合にも、1物件につき10~15万円が加算されるケースがあります。

なお、遺産総額が次の計算式で算出される「基礎控除額」以下の場合には、相続税はかかりません。

  • 基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

たとえば、夫が亡くなり、妻と長男、次男が相続人である場合、法定相続人は3人なので、基礎控除額は「3,000万円+600万円×3=4,800万円」となります。このケースで遺産総額が4,800万円以下なら、相続税はかからず、相続税の申告も不要です。

【例2】遺産総額1億円以上の場合

遺産総額が1億円の場合、基本報酬を相場どおりの0.5%~1.0%とすると、50万~100万円程度です。ここに、相続人の人数や遺産の種類による加算報酬が追加されます。

遺産総額が1億円を超えるようなケースでは、遺産の中に土地をはじめとした不動産が多数含まれるのではないかと思います。この場合には、不動産の評価に手間がかかる分、報酬も高くなります。

成功報酬型の相続専門税理士もいるの?

成功報酬型というのは、通常の報酬設定をした上で、税理士の力量により相続税額が想定よりも安くなった場合に別途報酬を求める報酬設定をしているものです。多くの場合は、広大地評価の適用を受けた際に、この成功報酬を請求してきます。

広大地というのは、その名のとおり広大な土地をさします。土地の立地条件や用途地域などの関係で、マンション敷地や工場敷地になる可能性がないものがその対象となります。1,000平方メートル以上の敷地が開発許可を要する自治体などで、広大な敷地を分譲地にしようと思えば、一般的には道路を設置する必要があります。3,000平方メートル以上だと、さらに公園設置の義務が課せられることがあります。このように広大地では、道路や公園のように分譲できない土地が発生するために、土地の評価額を下げることができるのです。

つまり広大地評価を得たのは何も税理士の手腕によるものではなく、不動産評価の世界では常識ともいえる領域なのです。

成功報酬は、税理士との契約書の中に密かに記載されていることが多いので、契約前に成功報酬が含まれていないかを確認をしてください。最後まで成功報酬にこだわる税理士であれば契約を見直した方がいいかもしれません。成功報酬を求めない税理士はいくらでも存在します。

税理士報酬が高い税理士は何が違うの?

相続税申告を専門に扱っている税理士で報酬が高いということは、多くの申請をこなした証になりますから信頼を置く一つの指標にはなります。しかし、大手の事務所の場合は実際に力量のある税理士が担当になってくれるとは限りませんから、本当に報酬に見合った税理士が担当してくれるのかの見極めが大切です。

相続財産が、相続税が課せられるかどうかのボーダーにあるような場合は、あまり税理士の力量の差がでることはありません。しかし、資産が億単位になってくると、報酬の差額以上に納税額の差が生じてきます。過大に税金を納めたり税務調査によって追徴課税を支払うことのないよう、税理士を選ぶ際には、報酬の高い安いよりも税務処理能力の高い税理士を選ぶことが大切です。

税理士からのコメント: 『良い税理士を選ぶためのポイント』

税理士法人原・久川会計事務所(平塚橋事務所) - 東京都品川区平塚

東京の下町、品川の戸越銀座で税理士事務所をしております、久川です。税理士開業10年、税理士開業前は東京国税局に30年弱勤務していた国税OB税理士です。税務については安心しておまかせいただけます。専門分野は、相続税対策、相続税申告や中小企業や個人事業者の記帳・経理代行、決算・税務申告などです。費用についても、安心感についても、よろずご相談対応についても、自信を持っております。ぜひなんでもご相談くださいませ。

『1.HPに相続税の報酬金額の料金表を明示していない場合には、あまり相続分野に注力していない可能性があります。相続分野に注力している税理士は全体事務量が大体把握できるため、料金表をベースにスピーディに見積もりをすることができます。

2. 多くの税理士は、本体価格と消費税、税込みの総額をHPなどに表示しています。もしそのあたりが明記されていないなど、見積もりに疑問があれば、確認するようにしましょう。

3. 報酬金額が安いというだけで税理士事務所を選ぶのは避けたほうが良いかもしれません。不動産を多く所有している地主様や都心部にビルを所有しているビルオーナー様の場合には、相続税が多額になる可能性が高いため、多少費用がかかっても高度な相続税対策をすることで、節税効率の良い相続にできる可能性があります。

4. 相続税に限らず、近場で良い税理士を選ぶことも重要です。近場の税理士事務所に依頼した場合、例えば「相続した土地を駐車場で貸したい」という要望があった際に、ニーズに合った業者の紹介までサポートしてもらえたりします。そして、なにより近場の税理士事務所を選ぶと直接事務所に出向くことも比較的容易となるため、顔を見て相談しやすいというメリットがあります。』

相続税を税理士に依頼する4つのメリット

相続税について税理士に相談する夫婦
相続税を税理士に依頼するメリット

相続税の申告は自分でもできますが、税理士に依頼するのがおすすめです。相続税を依頼する税理士の選び方を知る前に、そもそも相続税申告を税理士に頼む必要性があるのかについて疑問を持つ人も多いかもしれません。相続税を税理士に依頼するメリットを知っておきましょう。

【4つ】の税理士に依頼するべきメリット

  • 相続税の申告をする時間の削減になる
  • 適切な財産の評価ができる
  • 税務調査対策ができる
  • 節税対策ができる
  • 相続税の申告をする時間の削減になる

税理士に相続税申告を依頼すれば、相続手続きにかかる時間や手間を大きく省くことができます。相続税申告書の作成は簡単ではありません。慣れない人が自分で申告書を作成しようとすると、時間ばかりがかかってしまい、全く前に進まないという恐れもあります。

相続税申告には、相続開始の翌日から10か月という期限もあります。期限に遅れると延滞税などのペナルティも発生してしまいますので、専門家に任せるのが安心です。

  • 適切な財産の評価ができる

相続税申告をするためには、相続財産が金額にするといくらであるかを評価しなければなりません。相続財産の中には、不動産や株式など、評価が難しいものもあります。もし相続財産の評価方法が適切でなければ、余分な税金を払わなければならなかったり、不足分を追徴課税されたりするおそれがあります。相続税に強い税理士に申告手続きを頼んだ場合には、財産を適切に評価してもらえるというメリットがあります。

  • 税務調査対策ができる

相続税の申告後には、税務調査が入る可能性があります。税理士に相続税申告を頼んでいれば、税務調査への対応も依頼できる点もメリットです。

税務調査の際には、税額計算の根拠について、調査官に説明を求められることもあります。もし適切な対応ができなければ、追徴課税されてしまうかもしれません。税理士が付いていれば、税理士が代わりに説明をしてくれるので、安心感が大きくなります。

税理士が申告書を作成していれば、そもそも税務調査が入る確率が低くなり、特に書面添付制度(税理士法第33条の2の書面添付)を利用した場合には、税務調査が入る確率が大幅に下がります

  • 節税対策ができる

相続税の申告を税理士に依頼すれば、節税のアドバイスも受けられます。たとえば、相続税の計算の際には、土地の評価額を80%減額できる小規模宅地等の特例が利用できることがあります。素人が申告すれば、こうした特例を適用し忘れ、税額が大幅に高くなってしまうこともありますから注意しなければなりません。

また、亡くなった人の配偶者は大幅に税額が軽減される特例があり、遺産分割で配偶者の取り分を大きくすれば相続税額を抑えられることは多くの方がご存じでしょう。しかし、今発生している相続の相続税額を安くすることだけ考えていれば、二次相続の相続税が高くなってしまうケースもあります。税理士にアドバイスを受ければ、将来も含めて、家族の中でかかる相続税額の総額を抑えることも可能です。

相続税を税理士に依頼するタイミング

カレンダー
相続税を税理士に依頼するタイミング

相続税の申告には期限があります。税理士の選び方に迷っている間に期限がきてしまえば、元も子もありません。相続税の申告期限を知っておき、税理士に依頼するタイミングを逃さないようにしましょう。

相続税の申告・納税期間は10カ月以内

相続税がかかるケースでは、申告期限までに相続税の申告書を税務署に提出しなければなりません。相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月です。もし申告期限に遅れたら、延滞税や無申告加算税といったペナルティの税金まで課されてしまいます。税理士には、相続開始後速やかに相談するのがおすすめです。

なお、申告期限までに遺産分割が終わっていない場合でも、法定相続人が法定相続分で相続したものと仮定して、申告・納税を行わなければなりません。この場合には、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例といった相続税が安くなる特例を適用できないため、納税額が多くなってしまうことがあります。

ただし、本来の申告期限から3年以内(相続開始を知った日の翌日から3年10か月以内)に遺産分割が終われば、申告し直すことで、税金の還付を受けられます。後で還付を受けたい場合には、当初の申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておく必要があります。

修正申告の期間に注意!

相続税の申告後、納税額が間違っていた場合には、訂正の手続きが必要になります。納税額が少なかった場合には「修正申告」をして不足分を納めなければなりません。一方、納税額が多すぎた場合には、「更正の請求」を行うことにより、税金の還付が受けられます。

修正申告が必要な場合、申告期限以降の延滞税が課されてしまいますから、気付いた時点で速やかに申告しなければなりません。税務調査で指摘されてから修正申告をすることになれば、さらに追加のペナルティがかかってしまいます。

また、更正の請求をして還付を受けたい場合には、本来の申告期限から5年以内(相続開始を知った日の翌日から5年10か月以内)に手続きしなければなりません。それ以降はお金が戻ってきませんから、注意しておきましょう。

信頼できる相続税専門税理士の探し方

税理士の探し方!

信頼できる相続税専門税理士に出会うためには、どんな探し方をしたらいいのでしょうか。様々なパターンから探っていましょう。

知り合いの紹介を受ける

身近に相続税申告をした方がいれば、その方から紹介を受けるのもひとつの方法です。ただ他の税理士と比べることができないので、実際の力量を判断できないのが不安材料といえます。可能であれば、その知り合いに税務調査がなかったかを確認してみるのもいいでしょう。5年経過して税務署から音沙汰がないのであれば、一定の技量のある税理士ということが判断できます。

関係業者の紹介を受ける

被相続人が亡くなると、生命保険会社、金融機関、葬儀会社などと繋がりができることがあります。これらの業界の人は、税理士とつながりがあることが多いので、担当者から紹介してもらう方法があります。ただし法人税専門と相続税専門のこだわりなく紹介されることがあるので、相続税申告の実績がどれだけあるのかについて尋ねることが必要です。

インターネットで探す

現在では、インターネットで探すのがもっとも手っ取り早い手段といえます。ただし、税理士事務所それぞれのホームページは書き手の自由に書けますから、内容は少し疑ってかかる必要があるでしょう。

大手の税理士事務所であれば、誰の紹介状もない飛び込み客の場合、新人の税理士や補助者が担当になることがあります。担当税理士と相性が合わないと判断した際には、契約を見送った方がいいでしょう。

最近では、一度に最大5人の税理士から見積りをとることができるサービスもあります。複数の税理士を比較すれば、自分に合った税理士を見つけられる可能性も高まるでしょう。

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ミツモアで実際にあった相続税申告依頼内容と税理士からの見積り例

それでは依頼内容とそれに対する見積もり例を見ていきます。

相続税申告の税理士への依頼内容

依頼主 Aさん(相続人)
相続財産の種類 現金・預金、土地・建物、上場会社株式
土地・建物の数 1か所
相続財産の総額 5000万~1億円
希望業務 相続税の節税対策、遺産分割作成協議書の作成サポート、相続税申告書の作成

この依頼者の方は、すでに相続が発生しており、節税対策から相続税申告書の作成まで一貫したサポートを求めているようです。

相続財産は現金・預金だけではなく土地建物や株式まであるので、財産評価が大変そうですね。

では、この相続税申告の依頼に対してどのような見積りがついたのか見てみましょう。

見積り例: A税理士事務所

金額 730,000円
内容 ○○エリアにある税理士事務所の代表の○○と申します。

この金額に含まれる相続税申告サービスの流れは以下のとおりとなります。

  • 初回面談(不安・お悩みについて分かりやすく説明いたします)
  • 業務内容・報酬の説明(申告までのスケジュール、報酬の見積)
  • 契約(業務契約書作成)
  • 資料収集のお願い(必要書類の説明)
  • 財産の調査及び評価
  • 遺産分割協議のアドバイス(分割協議案のシュミレーションを提示)
  • 相続税申告書作成・提出

当事務所は、国税出身の資産税OB税理士と綿密に連携した体制で受注いたしております。そうすることで、税務調査対策を含め、資産評価等で高度な税務判断が要求される事案につきましても対応できますので、ご安心ください。

報酬額につきましては、 (取得財産評価額)×0.5%+300,000円+消費税 の算式により算定しまして、共同相続人が2人を超える場合、1人増すごとに10%相当額を加算します。    なお、見積額(税込)は、申告期限まで4か月以上あり、取得財産が7,500万円、共同相続人が3人未満の場合の受注金額ですので、申告期限、取得財産額、共同相続人の人数により申告手数料は前後しますのでご了承下さい。

A税理士事務所は、国税の資産税出身のOB税理士と連携してくれるとのことです。

国税庁や税務署はその職務によって役職が細分化されています。法人税等を担当する法人課税部門や消費税などを扱う個人課税部門、そして相続税等を担当する資産課税部門などに分かれています。

ひとくちに国税庁や税務署出身といっても、部門が違えばその専門性は異なります。国税出身の中でも資産税OBの税理士さんがいるということで、正確な相続税申告が期待できそうですね。

見積り例: B税理士事務所

金額 750,000円
内容 初めまして、会計士税理士の〇〇と申します。

相続税の申告料ですが、基本的には遺産総額の1%(各種控除前)を基準にして、料金を算定いたします。内容が簡単であればディスカウントもありますが、不動産があればこの金額に近くなると思います 遺産総額が5千万〜1億円とのことですので、平均値の7500万を 前提として75万で提案させていただきましたが、5千万であれば50万になります。

弊社は開業10年で顧問先数は150件を超えまして、相続関係の業務は、相続税申告・生前の対策入れると 年間10~20件の実績があります 何卒よろしくお願いいたします

B税理士事務所は開業10年、顧問先数150件を超える税理士事務所とのこと。年間10件~20件の実績があるということなので、税理士全体の平均(1.3件)からはかなり多いほうと言えるでしょう。

見積り例: C税理士事務所

金額 702,000円
内容 税理士法人〇×事務所の税理士の〇〇です。

〇〇市内のお客様の相続税の申告に数多く関与致しております。

費用に関しては仮に遺産総額1億円・相続人2名として算出致しました。

①基本料金10万円

②遺産の総額に対して0.5%。

②に関しては相続人の数に応じて10%加算する。(相続人が2人の場合は②×1.1) ①と②の合計額を報酬の額とします。 ②の金額は実際の遺産の内容により変動致します。 宜しくおご検討の程お願い申し上げます。

C税理士事務所は、実は依頼者と同じ市内に位置する税理士事務所でした。

近くにあることで対面で相談しやすいというのは利点ですね。この依頼者さんは相続財産に土地・建物も含まれているため、現地に見にいかなければならない事情が発生しても迅速に対応してくれそうです。

見積り例: D税理士事務所

金額 700,000円
内容 はじめまして、税理士の〇〇と申します。

私は〇〇駅前で税理士事務所を営んでおります。

東証一部上場の〇〇株式会社で通算100回以上の相続セミナーの講師をさせて頂き、多くの相続税の申告書を作成してまいりました。

相続税の場合約2年後に4件に1件税務調査が入ります。税務調査に強いという意味では強い味方になれると思います。

申告報酬ですが遺産総額の1%前後というのが税理士業界での一般的価格だと思います これより高い事務所も安い事務所もあると思いますが重要な事は信頼できる税理士かどうかですね。

当事務所は同じビルの同じ階で親類が司法書士事務所を開設しておりますので、相続税の申告から法務局への相続登記までワンストップサービス(登記費用は別途)を提供させて頂いております。

D税理士事務所は、通算100回以上も相続セミナーの講師を行ってきたとのことですから、相続に関する専門性は一般的な税理士のレベルよりもかなり高いといえるのではないでしょうか。また、同じビルで司法書士の方のネットワークがあるということなので、司法書士にお願いしないといけないことが出てきても密に連携してサービスを提供してくれるでしょう。

相続税申告を税理士に相談するなら比較検討して選ぼう

このように、ミツモアでは近隣の実力ある税理士から見積りを無料でとることができます。

その腕によって納める税金の額が変わってしまう相続税申告の税理士。複数の税理士さんを比較してベストな人を選びたいですね。