久しぶりにエアコンをつけたら、出てくる風から「酸っぱい臭い」「生臭い臭い」などの嫌な臭いがして困っている方がいらっしゃるかもしれません。
これは内部に溜まったカビや雑菌が原因となっていることが多いですが、他にも様々な原因が考えられます。
主な臭いの原因4つと、臭いを解消する方法を解説します。
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エアコンの臭いの原因1. エアコン内部のカビ・雑菌
エアコンの風が臭う原因の1つは、内部に発生するカビや雑菌です。「酸っぱい臭い」「生乾きの臭い」がした場合、エアコン内部でカビや雑菌が繁殖していると考えてよいでしょう。
エアコンを冷房や除湿で稼働させると、空気を冷やす過程で熱交換器という部品から結露が発生します。発生した水分はドレンホースを通って屋外に排出されるものの、完全に乾くのには時間がかかります。
冷房運転で発生する水分と取り込んだ空気に含まれる汚れ、適度な温度がそろっているエアコン内部は、カビや雑菌の温床なのです。
多くの場合、自分では掃除できない熱交換器や送風ファンが汚れてしまっています。エアコンクリーニング業者に依頼し、部品を取り外して分解洗浄をしてもらうのがおすすめです。
取り急ぎ自分で何とかしたい場合、低い温度の冷房運転でわざと結露を発生させ、カビや雑菌を洗い流すという手があります。
ただし内部が濡れた状態になるので、その後臭いが再発する可能性も高いです。あくまで応急処置という位置付けになるでしょう。
エアコンの臭いの原因2. 部屋の生活臭
エアコンは送風するとき、一度室内の空気を取り込んでから吐き出します。部屋の空気中に含まれるハウスダストや油がエアコン内部に吸い込まれて汚れが溜まり、臭いの元になってしまうのです。
室内でタバコを吸う習慣がある方や、臭いの強い料理や油を使う料理をよく作る方は、特に注意が必要です。タバコのヤニや油を含んだ空気がエアコンに吸い込まれると、内部が汚れでベタついて、カビや雑菌が発生しやすくなります。
またエアコンがペットや人の汗の匂いを吸い込んで不快な臭いが生まれている可能性もあります。
汚れてしまったエアコン内部はクリーニングするしかありませんが、部屋の掃除をこまめにすることは今後の臭い予防になるでしょう。
エアコンの臭いの原因3. ドレンホースの詰まりや屋外の排水溝の臭い
エアコンから下水のような臭いがする場合、ドレンホースから屋外の臭いが伝わっている可能性があります。ドレンホースの近くに排水溝があったり、室外機付近が汚れていて悪臭が発生していたりすると、その臭いが室内まで届くのです。
この場合はドレンホースの排出口の位置を排水溝から離したり、室外機付近を掃除して清潔にしたりすることをおすすめします。
またドレンホース内でカビや雑菌が繁殖すると、イヤな臭いが発生することがあります。これはドレンホースに溜まったゴミや汚れ、エアコンからうまく排出しきれず残った結露水などがカビのエサになっているのが原因です。
ドレンホース用クリーナーを使ったり、エアコンクリーニングを依頼したりしてドレンホース内の汚れを取り除きましょう。
エアコンの臭いの原因4.購入直後のプラスチックやコーティング剤の臭い
新品のエアコンを購入した直後は、プラスチックや塗料特有の人工的な臭いがすることがあります。これは新品にときどき見られる現象で、しばらく使用しているうちに徐々に軽減していくでしょう。
ただし、1週間ほど使い続けても臭いが改善しない場合は、製品に問題がある可能性があります。そのような場合は、エアコンを購入した販売店やメーカーの修理相談窓口に連絡して、点検を依頼しましょう。
車のエアコンの臭いが気になるという方は、以下の記事をご覧ください。
エアコンの臭いを解消する5つの方法
エアコン
原因 | 方法 | 所要時間 |
---|---|---|
エアコン内部のカビ・雑菌(軽度) | 1. 16℃の冷房運転 2. 30℃の暖房運転 |
約1時間 |
部屋の生活臭 フィルターのホコリ・カビ |
3. フィルターやルーバーの掃除 | 約20分+乾かす時間 |
ドレンホースの詰まりや屋外の排水溝 | 4. ドレンホースに逆流防止弁をつける | 約5分 |
エアコン内部のカビ・雑菌(重度) | 5. エアコン用スプレーで掃除する | 約1時間 |
極端な温度での冷房・暖房運転は、道具が必要なくすぐに試せます。ただしカビや汚れがひどいと効果が薄く、根本的な解決に至らないこともあります。
長年蓄積した内部の汚れによるエアコンの嫌な臭いは、プロのエアコンクリーニングでないと解決できません。
屋外から臭いが侵入している場合は、ドレンホース周りの清掃や逆流防止弁の設置が効果的です。
1. 16℃の冷房運転
- 所要時間:約1時間
- 費用:約30円
窓を開けて換気をしながら16℃で1時間ほど冷房運転を続けると、臭いが消えることがあります。
エアコンを低い温度で運転することで内部に結露をたくさん発生させ、熱交換器やドレンパンに付いたカビや雑菌を洗い流す仕組みです。カビや汚れを含んだ結露水は、ドレンホースから屋外に排出されます。
エアコンの風と部屋の温度差が大きいほど結露がたくさん発生するので、気温と湿度が高い夏に行うと最も効果が高いです。
ただし湿度が高いときにこの方法を実践すると、室内機に露がついて周辺を濡らすおそれがあります。ビニールシートなどで養生してから行ってください。
また、内部が濡れたままだと再びカビや雑菌が繁殖してしまうので、運転停止後に内部クリーン機能または送風運転で内部を乾燥させましょう。
この方法は過去にSNSで話題になりましたが、三菱電機、富士通などの主要なエアコンメーカーも、臭いが気になるときの対処法として紹介しています。
2. 30℃の暖房運転
- 所要時間:約1時間
- 費用:約50円
冷房だけでなく、換気をしながら1時間ほど30℃の暖房運転を続けるという方法も効果があるといわれています。
カビの生育最適温度は25~28℃で、湿気を好みます。エアコンを最高温度で運転することで、内部の温度を上げて乾燥させ、カビの好まない環境を作るのです。
完全に死滅させる温度には達しませんが、繁殖の抑制やカビの減少が期待できます。
こちらもある程度は効果があるようですが、全てのカビの死骸を排出することは難しく、臭いが全くなくなるわけではありません。
3. フィルターやルーバーの掃除
- 所要時間:約20分+フィルターを乾かす時間
- 費用:なし
フィルターにたまったホコリやルーバーのカビ汚れも臭いの原因の1つです。エアコンが料理の油汚れやタバコのヤニ汚れを吸い込んでいる場合は、フィルターがベタついて嫌な臭いを発していることもあります。
自分でかんたんに掃除できる範囲なので、以下の手順できれいにしてみましょう。フィルターを乾かす時間を除くと、作業時間は20分ほどです。
用意するもの |
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手順 |
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定期的なエアコン清掃は臭いの対策だけでなく、電気代の節約やアレルギー対策などの効果もあります。
快適な生活のために、2週間に1回を目安にエアコン掃除をするのがおすすめです。
4. ドレンホースに逆流防止弁をつける
- 所要時間:約5分
- 費用:約500円
ドレンホースを伝って屋外の臭いが室内まで届いている場合は、ドレンホースの先端に逆流防止弁(エアカットバルブ)を取り付けると臭いが軽減されることがあります。
逆流防止弁をつけると、室内機で発生した結露水は排出する一方で、外側から害虫や外気が侵入してくるのを防げるのです。
ただしドレンホースの内部に汚れがたまって悪臭の原因となっている場合は、逆流防止弁をつけても効果がありません。
このケースなら、16度で冷房運転をして結露水で洗い流すほうが効果的です。それでも効果がなければドレンホース用クリーナーで内部の汚れを取るか、エアコンクリーニング業者に洗浄を依頼しましょう。
5. 専門業者にエアコンクリーニングを依頼する
- 所要時間:約2時間(1台あたり)
- 費用:約7,000~12,000円(お掃除機能なしエアコン1台)
エアコン内部にカビや雑菌の汚れがかなり広がっていると、冷房16℃運転だけでは汚れを洗い流しきれない可能性が高いです。その場合は、プロのエアコンクリーニング業者に内部洗浄を依頼しましょう。
専用の洗剤と高圧洗浄機で、熱交換器(フィン)やドレンパン、送風ファンなど内部の部品についた汚れを浮かせて洗い流してくれます。
また、ほとんどの部品を分解して取り外し、持ち帰って洗浄する「完全分解洗浄」を提供している事業者もいます。通常のクリーニングでは一部届かない箇所もあるので、クリーニングをしても臭いがとれない場合は完全分解洗浄を検討してみても良いかもしれません。
エアコン洗浄スプレーを使って自分で掃除するのは、故障や臭いの悪化のリスクがあるので極力避けましょう。
エアコンの臭い対策の注意点
エアコンの臭いを解消するとき、やってはいけないことや気を付けるべき点がいくつかあります。
間違った対処をすると、かえって臭いが悪化したり、エアコンが故障して修理・交換にお金がかかってしまったりするかもしれません。
①エアコンに消臭スプレーをかけない
臭いを消したいからといって、「ファブリーズ」「リセッシュ」などの消臭・除菌スプレーをエアコンに吹きかけてはいけません。
エアコン内部にスプレーの成分が付着してベタつき、汚れや臭いがひどくなる可能性が高いです。それだけでなく、成分が冷媒配管に付着して徐々に腐食し、時間が経ってから冷媒ガスが漏れる故障につながることもあります。
またスプレーが電装部分にかかると、温度センサーが故障して正常な温度調整ができなくなったり、基板のショートで火災が起こったりするリスクもあります。
②市販のエアコン洗浄スプレーをむやみに使わない
市販のエアコン洗浄スプレーは、正しく使えばそれなりに効果が期待できます。ただし使い方が難しく、用法を間違えるとかえって臭いが悪化してしまうこともあるので、なるべく使わないのが望ましいです。
洗浄液を流し切れず内部に残ってしまうと、部品の錆び、カビや雑菌の繁殖につながります。悪臭が広がるだけでなく、故障や火災のリスクもあります。
どうしても使いたい場合は、販売元の注意書きをしっかり読み、説明書の手順を守りましょう。
③掃除したフィルターはよく乾かしてから戻す
エアコンのフィルターを洗って水で流した後は、完全に乾かしてから取り付けましょう。
臭いの元となるカビや雑菌は、水分があるところで繁殖します。フィルターを濡れたまま取り付けると、せっかく掃除したのにむしろ臭いを悪化させる原因になりかねません。
フィルターを早く乾かすには、タオルではさんで水気を吸い取ってから、風通しの良い日陰に半日ほど置いておきます。
乾燥時間を短縮したいからといってドライヤーを使うと、プラスチックの枠が変形してしまうおそれがあるのでやめましょう。